マンション解体費用の相場について
1964年の東京オリンピック以降マンションの開発が進み日本も戸建住宅のみでなくマンションも入り混じるイメージに変わってきました。築40年以上を超えるマンションも増え、マンションの法定耐用年数は47年と国税庁が設定されています。これを越えて住むことは出来ますが資産価値が下がるため建替え・解体することもあります。マンションの構造について述べた後、構造別解体費用の相場についてご紹介していきます。
マンションの寿命は?
マンションの寿命とは何を基準に判断されるかというと、メンテナンスを定期的にされているかによって異なります。国税庁が設定しているマンションの法定耐用年数は47年とされており、この法定耐用年数とは会計上の建物の資産価値がなくなるまでの年数を表しているもので、建設47年でマンションに住めなくなるという意味ではなく、資産価値が下がるとされている年数のことです。
マンションを売ることを考えていないのであれば、メンテナンスを定期的にし、修繕・補修を行うことにより100年近く住むことが出来るとされています。
マンションの建替え・解体理由
マンションはメンテナンスを定期的にすると100年近く住むことが出来るとお伝えしましたが、老朽化したエレベーターなどの設備や外壁・共用部分の補修、水回りなど修繕・補修を行うには膨大な費用がかかります。
建替えの場合は、エレベーターがないマンションにエレベーターの設置やバリアフリー化、リフォームなどがつきまといます。
また地震の多い日本では老朽化したマンションでは耐震化対策がされているかも問題視されます。新耐震基準と呼ばれる1981年の建築基準法施行令改正以降の耐震基準を満たしていないと震度6以上の大きな地震に対して崩壊しない保証がないため安全性でも不安が残ります。
このような背景から老朽化したマンションは建替え・解体されることが多いです。
マンションの構造の種類・種類別の解体費用
マンションを解体する場合、構造の種類別に解体費用は異なってきます。またマンションの解体費用の相場は戸建住宅と比べて費用は大幅に高くなります。マンションの構造は、大きく分けて鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄骨造(S造)の3種類に分かれます。
1.鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄筋コンクリート造(RC造)とは、型枠と呼ばれる建物の形をした仮設の枠の中に鉄筋を組み、コンクリートを流し込んで固めた構造のことです。
メリットとしては耐久性・耐震性・耐火性・断熱性・防音性が高いこと、デメリットとしてはコンクリートや鉄筋でできた重量が大きいため鉄骨造(S造)と比べると大きな空間が作りにくいこと、気密性が高いため結露が発生しやすいことが挙げられます。
さまざまな規模、高さのマンションで採用されている構造です。
鉄筋コンクリート造(RC造)の解体費用は鉄骨造(S造)より高く坪単価平均は45,000円です。解体にかかる振動や音が大きいため解体に時間がかかります。
2.鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)とは、鉄筋コンクリート造(RC造)の芯の部分に鉄骨を入れた構造のことです。
メリットとしては鉄筋コンクリート造(RC造)に鉄骨を組み合わせることえ硬く、粘り強くなり耐震性に優れていること、デメリットとしては鉄筋コンクリート造(RC造)同様に気密性が高いため結露が発生しやすいこと、鉄筋コンクリート造(RC造)に比べ建設コストが高いことが挙げられます。
中高層マンションに採用されることが多い構造です。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の解体費用は、鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨造(S造)と比べ最も高く坪単価平均は60,000円です。鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨造(S造)のいいとこ取りをした造りのため最も高額となり、解体にも時間がかかります。
3.鉄骨造(S造)
鉄骨造(S造)とは、柱や梁などに鉄骨を使用した構造で鉄骨の厚さが6mm以上は重量鉄骨造、6mm未満は軽量鉄骨造に分類されます。
メリットとしては建設コストが比較的安価なこと、工期が比較的短くすむこと、デメリットとしては鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)と比べ遮音性・耐久性・耐震性などが劣ることが挙げられます。
重量鉄骨造は3階以上の建物で採用され、鉄筋コンクリート造(RC造)よりも大きな空間がつくりやすく広さが必要な工場などで使われる構造です。軽量鉄骨造は2階建ての住宅や小規模な店舗で採用されることが多い構造です。
鉄骨造(S造)の解体費用は、鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)と比べ最も安く坪単価平均は35,000円です。解体の時間も鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)と比べて短くなっています。
このようにマンションの構造の種類によって解体費用は異なります。
マンションの解体費用は誰が負担するか
マンションの解体には膨大な費用がかかります。では、この解体費用は誰が負担するのでしょうか。賃貸マンションの解体の場合は、解体費用についてはオーナーが負担します。
賃貸マンションの場合は居住者が負担することはないといえます。ただし解体が決まった場合は退去しなくてはなりません。
分譲マンションで売却のためにマンションを解体する場合は、解体費用については居住者が負担します。マンション内で問題にならないために分譲マンションを売却する場合は居住者の5分の4の賛成が必要です。居住者に解体するか否か判断する権利があることを、「建物の区分所有等に関する法律」を略して一般的には区分所有法と言います。
分譲マンションで新しいマンションに建て替える場合は、毎月集める修繕積立金の一部から出る場合があり、その場合は修繕積立金で賄えない部分を居住者が負担することが多いです。
修繕積立金の積立金額により解体費用が決まるといえます。
高額なマンションの解体費用の補助金
マンションの解体には全額負担であれば莫大な費用がかかります。そこで国土交通省がマンションの解体費用に関連し補助金を出してくれる場合があります。
補助金の制度として優良建築物等整備事業・都心共同住宅供給事業・都市再生住宅制度があります。
優良建築物等整備事業とは、市街地の環境の整備改善、良好な市街地住宅の供給のため土地の利用の共同化、高度化等に寄与する優良建築物等の整備を国が支援する事業です。10人以上の区分所有者により老朽化したマンションの建替えを補助してくれます。
都心共同住宅供給事業とは、居住に関する機能が低下している大都市の都心地域における住宅供給を推進するための事業です。他の居住者と土地を共同化することにより土地を有効活用できます。土地整備料や共同施設整備費を補助してくれます。
都市再生住宅制度は、マンション建替え、市街地再開発事業などにより自宅からの転出や住宅に困窮することになる居住者のために住宅を補助・支援し供給する制度のことです。事業者には事業費用の一部に対しての補助や居住者には家賃補助を補助してくれます。
これらの補助に関して対象になるかどうかは確認する必要があります。
最後に
マンションの解体工事の費用はマンションの構造により異なることを述べてきました。また解体工事そのものの費用に加え重機回送費、廃棄物運搬費、その他役費が加わります。解体時にアスベストが使用されている場合はさらに費用が高くなります。マンションを解体する場合は解体業者に見積もり依頼することが大切です。
株式会社エコ・テックの解体工事について
株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。
全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください
参考URL
・マンション政策|国土交通省
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000040.html)
・耐用年数(建物/建物附属設備) | 国税庁 (https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html)
・建物の区分所有等に関する法律| e-Gov法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069)
・優良建築物等整備事業|国土交通省
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000080.html)
・都心共同住宅供給事業|国土交通省
(https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/048/77000255/77000255.html)
・都市再生住宅制度|国土交通省
(https://www.mlit.go.jp/toshi/crd_machi_tk_000021.html)