これから解体・工事を行う建物にアスベストが含まれている場合、アスベスト除去作業が必要になります。アスベストの除去工事は危険を伴うため、専門知識や特別な措置や作業が必要なので、通常の解体作業と比較すると高額になります。本記事ではアスベストレベル3の解体費用、調査費用について解説していきます。
アスベストレベルについて
アスベスト含有建材(レベル3)とは、セメント、けい酸質原料などを主原料とし、成形した建材(アスベスト成形板)です。耐火性、耐久性などに優れており、内装材、外装材、屋根材などとして、広く使用されています。
レベル3建材の除去等作業は、特定建築材料の除去等作業に比べ相対的に石綿の飛散が少ないと言われています。しかしレベル3建材の除去等作業時の取扱いが不適切な場合、石綿が飛散する可能性があります。このため、除去前の建材の湿潤化や、手作業による取り外し等による飛散防止対策が必要となります。
アスベストレベル3の費用
レベル3はその他の石綿含有建材(成形板等)にあたり、屋根材やサイディング外壁材にアスベストが採用されているケースが多いです。
レベル3はレベル1やレベル2と比べると危険性は低いと言われており、手作業で除去工事が行われることもあります。このため、レベル3のアスベスト除去費用相場は0.3万円/㎡程度。例えば30坪程度の住宅の屋根であれば10~20万円程度、外壁であれば20~30万円程度の費用がかかると考えておけばよいでしょう。
アスベストレベル3の使用箇所と主な建材
使用箇所 |
使用建材 |
・建築物の天井、壁等に成形板、床のタイル等として施工 ・屋根材としてスレートなど ・外壁・内壁の建築用仕上塗材の下地調整材
・外壁・内壁の建築用仕上塗材 ・建築用下地調整材 ※建築用仕上塗材はレベル3相当の扱い
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・石綿スレート ・屋根用化粧スレート ・けい酸カルシウム板第一種 ・押出成形セメント板 ・窯業系サイディング ・フロー材 ・パルプセメント板 ・スラグせっこう板 ・ロックウール吸音天井板 ・石膏板(ボード) ・石綿円筒 ・ビニル床タイル ・その他石綿含有成形板 |
坪単価とは?
解体工事の単価とは?
解体工事の単価とは建物1坪(約3.3㎡)あたりの解体費用のことを指し、「坪単価」と言われます。この単価は建物全体の解体費用を求める時に用いられ、【坪単価(の相場)】に【延床面積(坪数)】を掛けることで、おおよその「建物本体の解体費用」が算出できます。
坪単価の相場はどのくらい?
建物の解体費用は構造によって相場が変わります。各構造の坪単価は以下のとおりです。
木造:3~5万円/坪
鉄骨造:6~7万円/坪
鉄筋コンクリート造:7~8万円/坪
種別 |
坪単価 |
総額※1 |
総額※2 |
木造 |
3万円~5万円/坪 |
105万円~175万円 |
150万円~250万円 |
鉄骨造 |
4万円~6万円 |
140万円~210万円 |
200万円~300万円 |
鉄筋コンクリート造 |
5万円~7万円 |
175万円~245万円 |
250万円~350万円 |
※1…延床面積35坪の場合
※2…延床面積50坪の場合
木造住宅が一番安く、次いで鉄骨造、鉄筋コンクリート造の順に単価が上がっていくのが一般的です。しかしながら、立地や廃材の処分量、方法など他の要因によって費用が左右されることが多く、上記はあくまでも目安です。
ただし、以下の条件下の場合は除外されます。
建築物の解体:対象の床面積の合計が80㎡未満
建築物の改造・補修、工作物の解体・改造・補修: 請負金額の合計が100万円未満
※請負金額には事前調査の費用は含まず、消費税は含む。
アスベストレベル別の除去作業費用相場
作業レベル |
作業箇所 |
1㎡あたりの単価 |
レベル1 |
天井・壁等の石綿含有吹き付け材 |
1.5万円~8.5万円 |
レベル2 |
内壁・配管・柱などの保温材・耐火被覆材・断熱材 |
1.0万円~6.0万円 |
レベル3 |
その他建材 |
0.3万円~1.0万円 |
国土交通省が紹介しているアスベストの処理費用は以下の通りです。
アスベスト処理面積 |
解体費用相場 |
300㎡以下 |
2.0万円/㎡ ~ 8.5万円/㎡ |
300㎡~1000㎡ |
1.5万円/㎡ ~ 4.5万円/㎡ |
1000㎡以下 |
1.0万円/㎡ ~ 3.0万円/㎡ |
アスベスト除去費用の内訳は以下です。
解体工事内訳書とは、解体工事における工事項目と費用が記載された見積書のことをいいます。解体工事の内訳には以下のものが含まれています。
1 本体工事費
2 付帯工事費
3 仮設工事費
4 廃棄処分費
5 整地費
6 重機回送費
7 その他の費用
1.本体工事費
本体工事費は、解体工事の費用の中でも大部分を占めるものです。そのほとんどは人件費に当てられますが、強度が高い建物ほど工事費も上がっていきます。解体工事の費用は坪単価を出す時は、この本体工事と廃棄処分費を合わせて計算します。鉄筋コンクリート・鉄骨は木造よりも強度が高く、壊しにくいため、費用は高くなります。建物本体の解体費用は1坪あたりの工事単価「坪単価」を元に算出します。
2.付帯工事
解体工事の際には面となる本体建物の他にも撤去しなければならないものがあります。例えば、「樹木」「ブロック塀」「倉庫」「門や扉」などです。これらの撤去・処理にかかる費用が付帯工事費用です。この他にもそれぞれの現場によって様々な付帯工事が発生する可能性があります。どの付帯工事についても、処分するべき物の量や作業の危険性、必要な人員、重機の種類などによって金額の振れ幅が大きいことが特徴です。
3.仮設工事
工事に取り掛かる前に必要となる作業経費です。主に「足場養生費」と呼ばれます。養生とは、周囲の家への騒音やほこりなどの被害を抑える為に行う作業です。
解体工事中は建物内に残っているゴミやホコリ、建材を壊した際の細かな破片やガラス片などが広範囲に飛散します。もし養生を設置していなければ、これらが隣家に飛散し洗濯物を汚してしまう、車を傷つけてしまう、部屋の中をホコリだらけにしてしまう、現場前を通りかかった人が吸い込んで健康被害を招いてしまうといったリスクが考えられます。
4.廃棄処分費
解体によって出た建築材料(瓦、木材、コンクリート、ブロック)の廃棄物を処理する費用です。解体費と処分費をまとめて「解体処分」「撤去処分」と表記する場合もあります。
主な産業廃棄物種類ごとの単価目安が以下です。市区町村によって違いはありますが参考にしていただければと思います。
種類 |
費用目安 |
アスファルト |
1,200円/1トン |
コンクリートガラ |
1,500円/1トン |
木くず |
14,000円/1トン |
金属くず |
3,500円/1トン |
繊維くず |
41,000円/1トン |
ガラス |
7,500円/1トン |
廃プラスチック |
56,000円/1トン |
5 整地費
整地費は、建物を解体した後に土地を整える作業にかかる費用です。整地は土地の用途に応じてきれいに整備された土地を指し、借地権が付いている場合もあります。 業者により解体した建築物から出た廃棄物、地中にある基礎部分のコンクリートなどの埋設物をすべて取り除き、その上で地面をならしていきます。重機で踏み固め、転圧作業を行った後、土地の活用に適した材料を用いて再度利用できる状態にします。解体工事後の整地費用は、各業者によって料金設定が異なる他、作業内容や作業場所の形状などによっても金額に差が出てきます。
地中埋設物などの作業がない整地費用は、1㎡当たり300円~600円程度*が目安となります。ですので、30坪では30,000~60,000円程度という計算になります。
これはあくまで特に作業がない場合です。庭木があれば根本を掘り返す費用がかかりますし、廃棄物が多いときは撤去費用が別途必要になります。
6.重機回送費
解体工事で使用する重機は、公道を走行できないため、重機を運ぶための重機回送費がかかります。重機の保有場所から解体現場までの距離が長いほど高くなります。
7.その他費用
見積り書に「諸費用」と書かれているものは、駐車場代や近隣挨拶費、届け出や必要な手続きなどにかかる細々とした経費です。
何かトラブルや追加費用があった時に備えるために、準備費用が加算されていることもあります。諸経費は見積り書を見ただけでは内容がわからないので、疑問に思ったのであれば業者に確認しましょう。