解体工事には騒音や振動が発生します。そのため、事前に解体工事について近隣へ周知や各自治体によって定められた規定に従う必要があります。今回は、解体工事の事前周知についてご紹介します。

解体工事の事前周知とは

解体工事は、建物や構造物を取り壊す過程であり、大規模な騒音、振動、粉塵の発生が伴うことが多いため、近隣住民に大きな影響を与える可能性があります。こうした影響を最小限に抑え、解体工事がスムーズに進行するようにするためには、解体工事の事前周知が極めて重要になります。

解体工事の事前周知は、各自治体によって定められた規定に従う必要があります。各自治体によって異なりますが、大体が、解体工事を行う前に、工事概要や石綿(アスベスト)使用有無などを記載した標識を設置し、工事開始前に近隣住民へ説明することが義務付けられています。説明内容には、工期、作業期間、騒音・振動対策、石綿(アスベスト)の除去方法などが含まれます。

対象となる解体工事は、

・床面積の合計が80㎡以上の建築物の全部又は一部を取り壊す解体工事

です。他にも、

・大気汚染防止法及に基づく届出が必要なアスベスト除去等工事

など規定されている自治体があります。解体工事を行う際は、各自治体ごとに確認が必要です。

解体業者の法的要件と責任

解体工事に関しては、騒音規制法や建設リサイクル法など、さまざまな法律が適用されます。これらの法律は、工事を実施する際に事前に関係者に対して適切な通知を行うことを義務付けられています。特に騒音規制法に基づく「特定建設作業」に該当する場合、一定の手続きを経て事前に周辺住民に通知する必要があります。これに違反した場合、罰則が科せられることもあるため、法的要件を遵守することは解体業者にとって必須の責任です。

特定建設作業の種類について

騒音規制法・振動規制法は特定建設作業に対して一定の制限がかけられています。特定建設作業とは、建設工事として行われる作業のうち著しい振動又は騒音を発生する作業であって政令で定められているものです。特定建設作業を行う場合には当該作業の開始日の7日前までに各市町村に届出が必要となります。

 騒音に係る特定建設作業の種類は、

①くい打機(もんけんを除く。)、くい打機又はくい打くい抜機(圧入式くい打くい抜機を除く。)を使用する作業(くい打機をアースオーガーと併用する作業を除く。)

②びょう打機を使用する作業

③さく岩機を使用する作業

④空気圧縮機(電動機以外の原動機を用いるものであって、その原動機の定格出力が15キロワット以上のものに限る。)を使用する作業(さく岩機の動力として使用する作業は除く。)

⑤コンクリートプラント(混練機の混練容量が0.45㎥以上のものに限る。)又はアスファルトプラント(混練機の混練重量が200キログラム以上のものに限る。)を設けて行う作業(モルタルを製造するためにコンクリートプラントを設けて行う作業を除く。)

⑥バックホウ(原動機の定格出力が80キロワット以上のものに限る。)を使用する作業

⑦トラクターショベル(原動機の定格出力が40キロワット上のものに限る。)を使用する作業

⑧ブルドーザー(原動機の定格出力が40キロワット以上のものに限る。)を使用する作業

振動に係る特定建設作業の種類は、

①くい打機(もんけん及び圧入式くい打機を除く。)、くい打機(油圧式くい打機を除く。)又はくい打くい抜機(圧入式くい打くい抜機を除く。)を使用する作業

②銅球を使用して建設物その他の工作物を破壊する作業

③舗装版破砕機を使用する作業

④ブレーカー(手持式のものを除く。)を使用する作業 

これらの機械を使用する作業が特定建設作業と定められており、騒音規制法や振動規制法の対象となっています。

近隣住民に配慮しながら工事する必要があります。

解体工事の事前周知の重要性

解体工事の事前周知を行うことで、近隣住民の理解と協力を得ることができます。これにより、トラブルの発生を防ぎ、工事の進行がスムーズに行われるだけでなく、地域社会との信頼関係を築くこともできます。逆に、事前周知が不十分な場合は、クレームや抗議、さらには工事の中断などのリスクが高まります。

解体工事の事前周知には、工事の概要や日程、影響が予測される範囲、対策方法など、具体的かつ詳細な情報を含める必要があります。また、周知の手段としては、書面での通知、掲示板の設置、説明会の開催などが考えられます。これらの手段を組み合わせることで、より多くの人々に情報を確実に伝達することができます。

解体工事の事前周知においては、単に情報を一方的に伝えるだけでなく、周辺住民との対話も重要です。説明会や個別相談の場を設けることで、住民からの質問や懸念に対応し、誤解や不安を解消することができます。また、近隣住民からの意見を工事計画に反映させることで、より良い工事環境を整えることができます。

近隣住民への影響と対策

近隣住民への解体工事の影響は多岐に渡りますが、主に懸念されるのは、①騒音・振動、②石綿(アスベスト)、③安全対策、が挙げられます。下記でこれらの影響と対策についてみていきましょう。

①騒音・振動

解体工事に伴う騒音や振動は、近隣住民の日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に、高齢者や小さな子どもがいる家庭では、健康被害のリスクが高まります。対策としては、作業時間を厳守し、解体工事期間を早朝や夜間を避けることが重要です。また、防音シートの設置や、低騒音・低振動の機器を使用することで、影響を最小限に抑える努力が求められます。

②石綿(アスベスト)

石綿(アスベスト)は発がん性があり、解体工事で飛散すると健康被害を引き起こすリスクがあります。対策として、石綿(アスベスト)が含まれている建材の有無を事前に調査し、適切な除去方法を選択することが必要です。除去作業は、専門の業者によって行われ、防塵対策を徹底することが求められます。

③安全対策

解体工事における安全対策は、作業員のみならず、近隣住民の安全を確保するためにも不可欠です。特に、解体工事現場周辺での事故や瓦礫の悲惨、倒壊の危険性など、近隣住民にとって大きなリスクとなり得ます。対策としては、解体工事エリアの明確な区画分けやバリケードの設置、警備員の配置を行い、近隣住民が不用意に解体工事区域に立ち入らないようにすることが重要です。また、緊急時の対応策を事前に周知し、避難経路の確認などを行うことで、万が一の事態に備えることが求められます。

今後の課題と改善策

解体工事の事前周知において、今後の課題としては、より効果的なコミュニケーション方法の確立や、デジタルツールの活用が挙げられます。特に、インターネットを活用することで、より多くの人々に迅速かつ効果的に情報を伝達することが可能です。また、近隣住民との対話を重視し、双方向のコミュニケーションを促進させるための取り組みも重要です。

解体工事は一度始まると、長期間にわたって行われることが多いです。そのため、事前周知だけでなく、解体工事期間中の継続的な情報提供と近隣住民との対話が求められます。定期的に進捗報告や状況説明を行うことで、近隣住民の信頼を維持し、トラブルの発生を未然に防ぐことができます。

最後に

解体工事は一度始まると、長期間にわたって行われることが多いです。そのため、事前周知だけでなく、解体工事期間中の継続的な情報提供と近隣住民との対話が求められます。これらを徹底してやってくれる解体業者を探すことが重要です。

 株式会社エコ・テックの解体工事について

株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。

全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください

参考URL

・特定建設作業の規制について| 大阪府
(https://www.pref.osaka.lg.jp/kotsukankyo/oto/kensetsu.html)