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ダイオキシンは、人間の健康や環境に深刻な影響を及ぼず可能性がある有害な化学物質の一種です。特に焼却施設や産業廃棄物の不適切な処理によって発生しやすく、空気や水、土壌に蓄積されやすいため、環境を通じて人間の体内に入りやすい性質があります。今回は、ダイオキシンの健康被害などのリスクについてご紹介します。
ダイオキシンとは
ダイオキシンは、ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(PCDDs)やポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)などの化学物質の総称で、約400種類の異なる化合物を含んでいます。その中でも、2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(TCDD)は特に毒性が高い物質として知られています。ダイオキシンは自然環境ではほとんど分解されず、土壌や水中に長期間残留します。1980年代以降、毒性が強く、環境中で分解されにくいことが問題視され、特定の種類は「持続性有機汚染物質」(POPs)にも分類されています。これらの物質は、微量でも人体に深刻な悪影響を与える可能性があるため、国際的な規制の対象となっています。
ダイオキシンは、主としてものを燃やすところから発生し、処理施設で取り切れなかった部分が大気中に出ます。また、かつて使用されていたポリ塩化ビフェニル(PCB)や一部の農薬に不純物として含まれていたものが環境中に蓄積している可能性があります。
ダイオキシンの主な発生源は以下の通りです。
■廃棄物の焼却処理(特に不完全燃焼)
■化学工業による副産物
■農業や除草剤の使用
■森林火災や家庭ごみの焼却
ダイオキシンは意図的に作られることはありません。炭素・酵素・水素・塩素を含む物質が熱せられるような過程で自然にできてしまう副生成物です。
通常は無色の固体で、水に溶けにくく、蒸発しにくい反面、脂肪などには溶けやすいという性質を持っています。また、ダイオキシンは他の化学物質や酸、アルカリにも簡単に反応せず、安定した状態を保つことが多いのですが、太陽光の紫外線で徐々に分解されるといわれています。
ダイオキシンの発生源と拡散メカニズム
ダイオキシンの発生源として、特に問題とされているのが産業廃棄物の焼却や森林火災、家庭用ごみの焼却などです。ダイオキシンは高温で塩素を含む物質が燃焼した際に副産物として生成されるため、不完全燃焼が起こる焼却プロセスで発生しやすい特徴があります。焼却施設で発生したダイオキシンは空気中に放出され、周囲の大気、土壌、そして水を汚染し、最終的には食物連鎖を通じて生物の体内に蓄積されます。
環境中に出た後の動きの詳細はまだよくわかっていませんが、例えば、大気中の粒子などにくっついたダイオキシンは地上に落ちてきて土壌や水を汚染し、様々な経路から長い年月の間に土壌など環境の中にすでに蓄積されているものも含めて、プランクトンや魚介類に食物連鎖を通じて取り組まれていくことで生物にも蓄積されていくと考えられています。
さらに、ダイオキシンは脂肪に溶けやすい性質を持つため、生物の体内では脂肪組織に蓄積されることが多く、一度体内に取り込まれると排出されにくくなります。この蓄積性と生体濃縮性が、特に人間の健康リスクを高める原因の一つとなっています。
ダイオキシン発生抑制のためにできること
ダイオキシンはものを焼却する過程などで発生するため、ごみの量を減らすことがダイオキシンの発生量を抑制する上でも効果的です。そのため、ものを大切に長く使ったり、使い捨て製品を使わないようにすることを心がけ、ごみを減らし、再利用やごみの分別・リサイクルに協力することがとても重要です。
ダイオキシンの健康被害
ダイオキシンは、「青酸カリよりも毒性が強く、人工物質としては最も強い毒性を持つ物質」といわれることがありますが、これは日常生活の中で摂取する量の数十万倍の量を摂取した場合の急性毒性のことです。ダイオキシンは意図的に作られる物質ではなく、実際に環境中や食品中に含まれる量は超微量なので、私たちが日常生活で摂取する量により急性毒性が生じることはないと考えられます。
ダイオキシン自体の発がん性は比較的弱く、遺伝子に直接作用して発がんを引き起こすのではなく、他の発がん物質による遺伝子への直接作用を受けた細胞のがん化を促進する作用であるとされています。(プロモーション作用)
しかし、現在の日本において通常の環境の汚染レベルではダイオキシンによりがんになるリスクはほぼないと考えられています。
私たちが日常生活で摂取する量により急性毒性が生じることはないと考えられていますが、以下で具体的な健康リスクについて詳しくみていきましょう。
①発がん性リスク
ダイオキシンは国際がん研究機関(IARC)によって「ヒトに対して発がん性がある」と分類されています。研究によれば、ダイオキシンに長期間さらされることで、特に皮膚がんや肝臓がんなどのリスクが高まるとされています。ダイオキシンは細胞内の遺伝子に損傷を与え、異常な細胞増殖を引き起こす可能性があるため、がん発生のメカニズムに直接関与することが示唆されています。
②生殖および発達への影響
ダイオキシンは生殖機能や胎児の発達にも悪影響を与えることが確認されています。特に妊婦がダイオキシンにさらされると、胎児の成長に影響を与え、先天的な発達障害や異常を引き起こすリスクが高まるとされています。また、ダイオキシンの曝露は精子の質の低下やホルモン異常を引き起こし、不妊や子どもの発育不全につながる可能性もあります。
③免疫系への影響
ダイオキシンは免疫系に悪影響を及ぼし、免疫力の低下を招くことがわかっています。免疫系が弱まることで感染症にかかりやすくなり、健康全般に悪影響が出る可能性があります。特に子どもや高齢者など、免疫力がもともと弱い人々にとって、ダイオキシン曝露はさらにリスクを高める要因となります。
④内分泌攪乱物質としての作用
ダイオキシンは内分泌系に影響を与える「内分泌攪乱物質」としても知られており、ホルモンの分泌や代謝に悪影響を及ぼします。これにより、成長や発達、さらには代謝機能にまで幅広い影響が及び、生活習慣病のリスクが増加する可能性があるとされています。
ダイオキシンの摂取量について
ダイオキシンの耐用一日摂取量(TDI)は、1日・体重1kg当たり4pg-TEQとされています。一方厚生労働省の調査によると、日本人の一般的な食生活で1日に取り込まれるダイオキシンの量は、合計で1日・体重1kg当たり約1.06pg-TEQと推定され、この水準は耐用一日摂取量(TDI)を下回っており、健康に影響を与えるものではないとされています。
ダイオキシンは脂肪組織に溶けやすく残留しやすいため、食生活で取り込まれるダイオキシンのうち、魚介類からの摂取量が約90%を占め、肉、卵、乳、乳製品を含めた3食品群で約99%を占めていますが、国民の平均的な食品の摂取量であれば耐用一日摂取量(TDI)を下回るものであり、各種の食品に含まれる栄養素は健康のために大切なので、たくさんの種類の食品をバランスよく食べることが大切であるとされています。
食品に含まれるダイオキシンの量は、食品の種類によって異なるほか、同じ食品でも産地や時期によっても異なります。なお、ダイオキシンが体内に入ると、その大部分は脂肪に蓄積されて体内にとどまります。分解されたり体外に排出される速度は非常に遅く、人間の場合は半分の量になるのに約7年かかるとされています。
最後に
ダイオキシンは極めて有害で蓄積性の高い化学物質であり、人間や環境に深刻な影響を与えるリスクがあるため、注意が必要です。ダイオキシン発生抑制のためにも、私たち一人一人が持続可能な社会を目指して、ごみを減らし再利用やごみの分別・リサイクルに協力することが求められています。
株式会社エコ・テックの土壌汚染対策工事について
株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
参考URL
・関係省庁パンフレット ダイオキシン類| 環境省
(https://www.env.go.jp/chemi/dioxin/pamph/2012.pdf)
目次:
建築解体に関する都道府県の補助金(大阪編)について
- 1. 建築解体に関する補助金について
- 2. 大阪府内の自治体で受けられる解体工事の補助金
- 3. 大阪市で受けられる解体工事の補助金・助成金
- 4. 東大阪市で受けられる解体工事の補助金・助成金
- 5. まとめ
1. 建築解体に関する補助金について
家屋や建物の解体工事には多額の費用がかかることも珍しくなく、施主としては少しでも費用負担を軽減したいと考えることもあるでしょう。そこで活用したいのが補助金や助成金といった制度です。
全国約800の自治体には、耐震化促進事業などの一環として、解体費用を賄うための助成金制度がありますが、この助成金制度がまだ一般的にはあまり知られていないようです。ここでは、現時点で公開されている大阪府の補助金(2024年11月6日時点)について説明いたします。
2. 大阪府内の自治体で受けられる解体工事の補助金
大阪府内で受けられる補助金は下記のとおりです。その他の市町村でも建築解体に関する補助金制度が設定されている可能性があります。詳細は各市町村の公式サイトや担当部署で確認することをお勧めします。
今回はこれらのうち、大阪市と東大阪市の例について紹介します。
大阪市
・建替建設費補助制度(集合住宅への建替え、戸建住宅への建替え)
・狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度
・防災空地活用型除却費補助制度
東大阪市
・空き家解体費補助制度
八尾市
・木造住宅除却補助制度
堺市
・住宅市街地総合整備事業補助金(新湊地区内に限る)
高槻市
・除却工事費の一部補助(木造住宅)
岸和田市
・不良空き家除却事業の募集
和泉市
・老朽危険空家除却補助金について
・木造住宅の除却工事費補助事業について
豊中市
・木造住宅等の除却費補助
3. 大阪市で受けられる解体工事の補助金・助成金
(1) 建替建設費補助制度(集合住宅への建替え、戸建住宅への建替え)
対象となる条件
集合住宅への建て替えで対象となるのは、大阪市内で重点対策地区とされたエリア。戸建て住宅への建て替えの場合は、大阪市内で重点対策地区に加えて対策地区とされているエリアです。
対象となる建て替え前の建築物は、集合住宅に建て替える場合も戸建て住宅の場合も、昭和56年5月31日以前に建てられた住宅です。
建て替え後の要件は、集合住宅への建て替えなら
・敷地面積:100平方メートル以上
・階数:3階建て以上
・住戸規模:35平方メートル以上120平方メートル以下
・空地・緑地の整備:接道部の周辺に敷地面積の5%以上の空地(緑地含む)を設置
戸建て住宅への建て替えなら以下の通りです。
・戸建住宅(耐火建築物、準耐火建築物など)
・住宅部分の面積:50平方メートル以上
・壁面や塀等を道路境界線から0.5m以上後退または接道部周辺に敷地面積の5%以上の空地を確保
補助内容
古いアパートや長屋などを集合住宅であるマンション・アパートに建て替える場合に、設計費や解体費、共同施設の整備費の一部が補助されるというものです。
大阪市では「大阪市密集住宅市街地整備プログラム」が策定され、これに基づいて戸建てや集合住宅への建て替え建設費を補助する制度が施工されたのです。
集合住宅の設計費・解体費・共同施設整備費ともに補助率は2/3以内、戸建て住宅の場合は対策地区なら設計・解体費に要する1/2以内、重点対策地区なら2/3以内です。
(2) 狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度
対象となる条件
大阪市内の「大阪市密集住宅市街地整備プログラム」の、対策地区および重点対策地区と定められたエリアが補助の対象となっています。
対策地区の場合には、以下の条件を満たす建物が、
・幅員が4m未満の道路に面する敷地
・昭和25年以前に建てられた木造住宅
重点対策地区の場合には以下の条件を満たす建物が対象となります。
・幅員が6m未満の道路に面する敷地
・昭和56年5月31日以前に建てられた木造住宅
重点対策地区の場合、店舗や事務所等との併用住宅であれば床面積合計の1/2以上が住宅用とされている必要があるなど、細かな条件も存在します。
補助内容
この制度で補助が適用されるのは、建物の解体および整地に必要な費用だけです。建物内に残っている残存物を撤去するための費用などは、補助の対象外とされているため注意が必要です。
補助率は対策地区の場合、「解体および整地に要する費用」と「大阪市が定める額」の低い方の1/2以内。重点対策地区の場合にはこれの2/3以内までの費用が認められます。
補助の限度額は対策地区の戸建て住宅が75万円/棟、集合住宅なら150万円/棟。重点対策地区なら戸建て住宅で100万円/棟、集合住宅で200万円/棟です。
解体後の敷地の利用目的や用途は問われません。
(3) 防災空地活用型除却費補助制度
対象となる条件
対象となるのは、「大阪市密集住宅市街地整備プログラム」の対象エリアのうち、重点対策地区となっているエリアのみです。
補助が認められるのは、以下の要件を満たす建物です。
・幅員6m未満の道路に面する敷地に存する昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅を解体
・避難に有効な大規模空地や幹線道路に隣接していない敷地
・面積が50㎡以上で、地域の防災性の向上に有効な形状である敷地
・土地所有者等が5年以上の土地の無償使用貸借契約を市と締結
・土地所有者等、地域住民等、市の三者で防災空地の管理等に関する協定を締結
補助内容
木造住宅の解体費用のうち、一部が補助されます。補助率は2/3であり、補助限度額は以下のように決められています。
・戸建住宅:100万円
・集合住宅:200万円
・長屋等の一部解体は100万円
空地の整備費用の場合には、一部である2/3の補助率で補助が受けられます。整備項目は舗装・植栽・防災倉庫の設置・かまどベンチなど。補助限度額は120万円です。
4. 東大阪市で受けられる解体工事の補助金・助成金
(1) 空き家解体費補助制度
対象となる条件
測定基準表において、評点の合計が100点以上の住宅を「不良住宅」とし、職員が随時現地確認してから補助の対象として認めます。
補助を受けるには、以下の8つの要件をすべて満たし、証明する必要があります。
・申請者は1名とし、空家等対策の推進に関する特別措置法第2条第2項に規定する「特定空家等」または、住宅地区改良法第2条第4項に規定する「不良住宅」に該当する空き家を解体する者であること
・申請者が空き家の所有者と異なる場合、もしくは空き家の所有者が複数の場合には、補助金を受けて解体することについて、不利益を受けることになるすべての者から承諾を得ていること。
・補助金の交付決定日までに、解体工事に着手していないこと
・補助金の交付決定日から60日以内に着手すること
・補助金の申請年度内の3月15日または、3月15日が休日の場合は直後の休日でない日までに解体工事の完了報告の提出が見込まれること
・同一物件の解体に関して、本市における各事業の補助金の交付を受けないもの
・解体する空き家に所有権以外の権利が設定されていないこと
・申請者は、暴力団もしくは暴力団員または暴力団密接関係者でないこと
補助内容
周辺の生活環境に悪影響を及ぼしているとされる、「特定空き家等」もしくは「不良住宅」に該当する、危険な空き家を解体する費用を一部補助するものです。
補助金額は以下の3通りの方法で算出した額のうち、最も低い額が補助限度額とされます。
・補助対象空き家の解体に要する費用【業者見積額】(税抜)×補助率(4/5)
・補助対象空き家の延床面積[平方メートル]×単価12,000円
・補助限度額 500,000円/棟
解体工事を完了した後も、敷地が管理不全の状態にならないように自己責任で管理する必要があります。
5. まとめ
解体工事に利用できる補助金の給付額は自治体によって異なるものの、空き家の場合で解体費用の1/5から1/2程度がほとんどです。また、その上限は、平均で20〜100万円の範囲となっている地域が多いようです。
補助金制度の有無はもちろん、対象となる条件、助成率や上限金額には自治体によって大きな差がありますので、詳細は自治体ごとに公式ホームページや窓口で確認してください。
今後、大阪府以外の他の都道府県の補助金についても記事にしたいと思います。本記事の情報をぜひ有効にご活用ください。
株式会社エコ・テックの解体工事について
株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。
全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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アスベストに関する都道府県の補助金(島根編)について
1. アスベストに関する国の補助金の対象について
アスベストに関する国の補助金につきましては、
https://www.eco-j.co.jp/blog/20230418.html(アスベスト除去の補助金について)
こちらの記事で以前記載しております。
アスベストに関する都道府県の補助金は、実はさまざまな種類がありますので、今回は現時点で公開されている島根県の補助金について、説明いたします。
※本コラムは、2024年11月5日時点での情報を元に記載しております。実際の補助金についてはご相談時に内容が変わっている可能性がございますので、必ず自治体に直接確認するようにお願いいたします。
2. 吹付けアスベスト等の対策に関する補助制度について(島根県)
島根県にはフリーダイヤルをはじめとしたアスベストに関する相談窓口が設置されていますが、具体的な補助金制度については市町村ごとの対応となります。
2024年11月5日現在で、島根県内でアスベストに関連する補助金制度を設けていることが確認できているのは、下記の市町村となります。
・浜田市(都市建設部 建築住宅課)※除去工事のみ
その他の市町村でもアスベストに関する対策が進められている可能性があります。詳細は各市町村の公式サイトや担当部署で確認することをお勧めします。
3. 吹付けアスベスト除去等事業補助金交付(浜田市)
浜田市では、令和5年4月1日より吹付けアスベストの除去等に対する補助制度を設けています(令和8年3月31日まで)。
補助対象建築物
市内に存する建築物(国、地方公共団体その他の公共団体が所有し、又は所有していた建築物を除く。)であって、アスベスト含有調査により吹付けアスベスト等が施工されていることを確認されたもの
補助対象事業
補助対象建築物について吹付けアスベスト除去等を行う事業。
補助対象建築物の敷地内に存する全ての補助対象建築物について当該吹付けアスベスト除去等を行うことが条件となります。
吹付けアスベスト等の除去を行う場合は、交付申請日の属する年度の3月31日までに耐火被覆等の施工を行ってください。ただし、当該吹付けアスベスト等の除去を行った後に、補助対象建築物を使用せず、当該年度の翌年度の3月31日までに当該補助対象建築物の解体を開始する場合については、この限りではありません。
次のいずれかに該当するものは補助対象事業とはなりません。
- ①アスベスト含有調査
- ②申請日の属する年度の 3月 31 日までに補助対象事業が完了しないもの
- ③他の同種の補助金等の交付を受けて行うもの
- ④その他市長が適当でないと認めるもの
補助対象者
補助対象建築物の所有者又はその相続人
補助対象経費
吹付けアスベスト除去等の工事(補助対象建築物の天井等の撤去及び復旧に係る工事を除きます。)に要する経費(吹付けアスベスト等の除去を行った後に講じる耐火被覆等の施工に係る経費を含みます。)
補助金額
補助対象経費の3分の2以内の額(その額に1,000円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てた額)とします。ただし、500万円を限度とし、補助金の総額については、予算の範囲内とします。
交付申請
次に掲げる書類を添えて、補助対象事業の着手前7日までに市長宛に提出してください。
- ①補助対象者であることを証する書類
- ②補助対象建築物の位置図
- ③アスベスト含有調査報告書(アスベスト含有調査により、吹付けアスベスト等が施工されていることを確認できる書類をいう。以下同じ。)の写し
- ④特定管理産業廃棄物管理責任者証(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和 46年厚生労働省令第 35号)第 8条の 17に規定する特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を証する書類をいう。以下同じ。)及び石綿作業主任者証(石綿障害予防規則(平成 17 年厚生労働省令第21 号)第 19 条に規定する石綿作業主任者の資格を証する書類をいう。以下同じ。)の写し
- ⑤吹付けアスベスト除去等の工事着工前の写真
- ⑥見積書の写し
- ⑦その他市長が必要と認めるもの
なお、この申請は、補助対象建築物の敷地当たり1回に限り行うことができます。
実績報告
補助事業が完了したときは、速やかに吹付けアスベスト除去等事業実績報告書(様式第3号)に次に掲げる書類を添えて、市長宛に提出してください。
- ①領収書の写し
- ②吹付けアスベスト除去等の工事期間中及び工事完了後の写真
- ③マニフェストE票の写し(吹付けアスベスト等の除去を行う場合に限る。)
- ④その他市長が必要と認めるもの
交付請求
補助金の交付の請求をしようとするときは、吹付けアスベスト除去等事業補助金交付請求書(様式第5号)に市長が必要と認める書類を添えて、市長宛に提出してください。
申請から補助金振込までの流れ
①交付申請書(様式第1号)の提出【申請者→建築住宅課】
※工事着工の7日前までに提出
↓
②交付決定通知書の交付【建築住宅課→申請者】 ※概ね1週間程度
↓
③アスベスト除去等の契約と工事着手
↓
④アスベスト除去等の工事完了
↓
⑤実績報告書(様式第3号)の提出【申請者→建築住宅課】
↓
⑥確定通知書の交付【建築住宅課→申請者】 ※概ね1週間程度
↓
⑦請求書(様式第5号)の提出【申請者→建築住宅課】
↓
⑧補助金の振り込み【建築住宅課→申請者】
※概ね1か月程度
※必ず、除去等の工事着手前に申請を行ってください。工事着手後の申請は受付けておりませんのでご注意ください。
※申請書等の作成・提出・受取については、申請者に代わって工事業者が行っていただきますようお願いいたします。なお、補助金は申請者の口座に振り込みます。
※予算がなくなり次第、申請の受付を終了します。
Q&A ※一部のみ掲載
Q:既に吹付けアスベストを除去しましたが、補助の申請をすることはできますか。
A:できません。補助の対象となるのは、除去等を行う前の申請のみです。
Q:自分で吹付けアスベストを除去しても補助の対象となりますか。
A:補助の対象とはなりますが、吹付けアスベストは有資格者でなければ除去することができません。なお、適正に撤去・処分を行っていないものは補助の対象となりません。
Q:以前公共建築物だったものに吹付けアスベストがあった場合も補助の対象となりますか。
A:公共建築物又は公共建築物であったものは補助の対象となりません。市内にある民間建築物のみが補助の対象となります。
Q:建築物の所有者が共有名義となっている場合は、他の所有者の同意書の添付は必要ですか。
Q:建築物に抵当権等の他の権利がある場合は、その権利者の同意書の添付は必要ですか。
A:同意書の添付は不要ですが、申請者において他の所有者や権利者の同意を取っておいてください。なお、所有者や権利者に関するトラブルが発生しても、市では対応いたしません。
Q:吹付けアスベスト除去等の工事業者は、申請者になれますか。
A:工事業者は申請者にはなれません。建築物の所有者か相続者に限定しています。
問合先
浜田市 都市建設部 建築住宅課
〒697-8501 島根県浜田市殿町1番地
電話番号:0855-25-9632
4. まとめ
アスベストに関する補助金としては、アスベスト調査にかかる費用を補助対象とした補助金と、アスベストの除去にかかる工事費用などを補助対象とした補助金に分けられます。一般的にはアスベスト調査にかかる補助金の方がかかるコストも少ないことから補助金の総額が15万円〜25万円ほどと少なく、一方でアスベスト除去に関する補助金は2/3以内を上限としており、120~180万円が上限額(地域によって異なります)とされているなど、比較的大きい金額の補助を受けることができます。
自治体に事前の連絡や相談は必要ですが、2022年4月1日にアスベスト関連法令の改正が実施され、アスベスト含有を調べる事前調査の結果報告が義務付けられており、これには当然、調査や除去工事はコストがかかるため、解体工事全般のコスト増が懸念されているという中で、国や都道府県、市区町村などで補助金が適用できるようになっております。
これは島根県だけでなく、他の都道府県でも補助金がありますので、これらについては追って記事にしたいと思います。本記事の情報をぜひ有効にご活用ください。
株式会社エコ・テックのアスベスト対策工事について
株式会社エコ・テックでは、事前調査からアスベスト除去工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。
全国(東京、名古屋、大阪、岡山、福岡など)で無料相談、無料見積もりを実施しておりますので、土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
解体工事を行う前にすることの一つとして「お祓い」があります。特に日本では、建物や土地に対して神聖な意味を持たせたり、霊的な存在に対する敬意を示す文化が根強く残っています。今回は解体工事前のお祓いについてご紹介します。
解体工事前のお祓いとは
解体工事前のお祓いとは、建物を解体する際に、その建物の土地に宿る「穢れ(けがれ)」や悪霊を清め、解体工事の安全を祈願するための儀式です。日本の神道や仏教においては、すべてのものには魂が宿っているとされ、その中でも長年使用されてきた建物には、特に多くの思い出や感情が蓄積されていると考えられています。
解体工事は、新しい建物を建てるための前段階ですが、古いものを取り除く過程では、何かしらの「けじめ」をつけることが必要です。そのけじめとして、神主や僧侶に依頼して行うのが「お祓い」です。これにより、解体工事に伴う災厄や事故を防ぎ、土地や建物に感謝を示し、新たな始まりへの一歩を踏み出すことができるのです。
お祓いの目的
お祓いの主な目的は、以下の3つに分けられます。
①土地や建物に感謝する
長い間使われてきた建物には、多くの人々の生活や営みが詰まっています。特に自宅などの住宅は、家族の思い出や歴史が深く刻まれており、それらに対して感謝の意を表すことは非常に重要です。解体工事前のお祓いでは、これまで住んでいた建物やその土地に対して、感謝の気持ちを込めて清めの儀式を行います。
②解体工事の安全祈願
解体工事は、大型の重機を使用したり、建物を取り壊したりするため、危険が伴います。そのため、解体工事が無事に終わるように、安全を祈願することもお祓いの目的の一つです。神道では地鎮祭などの儀式を通じて土地や建物を鎮め、事故や災害から守るという考え方が根付いています。解体工事前のお祓いも、これに基づいて行われることが多いです。
③邪気や霊的な影響を取り除く
古い建物や土地には、さまざまな思いが積み重なっているため、時には悪い気や霊的な存在が残っていると考えられます。特に、人が長期間住んでいた場所では、その地に霊的な存在が留まっていると信じられることも少なくありません。お祓いによって、これらの悪影響を取り除き、解体工事がスムーズに進むようにすることが目的となります。
祓いを行うべき場合と行わなくてもよい場合
お祓いを行うかどうかは、必ずしも法律で定められたものではなく、個人の信仰や文化的背景に依存します。以下のような場合には、特にお祓いを行うことが推奨されることがあります。
・土地や建物に対して感謝の気持ちを表したい場合
・長期間使用されてきた住居や商業施設などを解体する場合
・安全な解体工事を祈願したい場合
・霊的な影響や気の乱れが気になる場合
一方、ビジネス施設や工場など、感情的な意味合いが薄い場所の解体工事の場合や、信仰に基づかない場合には、お祓いを省略することもあります。
お祓いを行う上での注意点
解体工事前のお祓いを行う際には、以下の点に注意することが大切です。
①時期とタイミング
お祓いは、解体工事が始まる前に行うのが一般的です。解体工事のスケジュールを確認し、余裕を持って日程を決めることが大切です。また、神社やお寺の都合もあるため、早めに依頼しておくとスムーズに進行できます。
②解体工事業者との連携
解体工事を担当する業者と事前に連絡を取り、お祓いのタイミングや内容を共有しておくことが重要です。場合によっては、解体工事業者が儀式に参加することもあるため、祭壇の設置場所などを確認する必要もあります。
③お供え物の準備
お祓いに必要なお供え物は、神社やお寺によって異なる場合があるため、事前に確認して準備しましょう。お供え物としては、お米、酒、塩、魚や野菜などが一般的ですが、宗教的な慣習に基づいて必要なものが異なる場合があります。
お祓いの流れ
お祓いの儀式は、神主や僧侶によって執り行われ、土地や建物の状況によって若干異なる場合がありますが、基本的な流れは以下のようになります。
①依頼と準備
まず、解体工事を行う前に、地元の神社やお寺にお祓いを依頼します。依頼する際には、解体予定の建物の場所や規模、解体工事の開始日を伝え、適切な日時を相談します。また、儀式の際に必要な道具やお供え物(お米、酒、塩など)を準備することが求められる場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
②お祓いの当日
お祓いの当日には、神主または僧侶が現地に赴き、祈りを捧げます。以下は一般的な神道の解体工事前のお祓いの流れです。
修祓(しゅばつ)
最初に、神主が参列者に対してお祓いを行い、参加者全員を清めます。これにより、心身ともに穢れを祓い、神聖な儀式に臨む準備が整います。
祝詞奏上(のりとそうじょう)
神主が土地や建物に向かって、祝詞(のりと)を奏上します。祝詞は、日本古来の言葉で神々に感謝や祈りを伝えるもので、解体工事の安全と無事を祈願する内容が含まれています。
玉串奉奠(たまぐしほうてん)
玉串奉奠(たまぐしほうてん)とは、榊(さかき)の枝に紙垂(しで)をつけたものを神前に備える儀式です。参列者全員が順番に玉串を奉奠し、土地や建物に対する感謝の気持ちと解体工事の安全を祈ります。
閉式の挨拶
最後に、神主が閉式の挨拶を行い、お祓いの儀式は終わりとなります。
解体工事前のお祓いにかかる時間は1時間ほどです。大々的にやりたい場合・時間をかけたくない場合など希望がある場合はあらかじめ地元の神社やお寺に伝えておきましょう。
解体工事前のお祓いの種類
解体工事前に行うお祓いにはさまざまなお祓いの種類があります。以下で見ていきましょう。
①解体清祓(かいたいきよはらい)
解体清祓(かいたいきよはらい)は、建物の解体工事前に行われる神道の儀式です。長年使われてきた建物や土地には、穢れや霊的な存在が宿ると考えられ、これを清めるために行われます。主な目的は、土地や建物に対する感謝を示し、解体工事中の安全を祈願することです。神主が現地で祝詞を奏上し、参列者が玉串を奉奠するなどして、神聖な場における清めと祈りを行います。この儀式により、土地が再生し、新たな建物が安全に建設されることを願います。
②魂抜き(たまぬき)
魂抜き(たまぬき)は、特に神道や仏教の儀式において行われる、物や場所に宿る霊的な存在を解放し、その穢れを取り除くための儀式です。主に仏壇や神棚のある古い建物や物品を処分する際に行われ、そのものに宿った魂や思い出を丁寧に扱い、感謝の意を示すことが目的です。魂抜きは、対象物が持つ霊的な影響を取り除くことで、新しいスタートを切るための準備とされます。
この儀式では、僧侶や神主が祝詞を唱え、対象物に対する敬意を表します。また参列者が一緒に祈りを捧げることもあります。魂抜きを行うことで、物を手放す際の心の整理ができるとされ、解体工事や遺品の処分など、感情的な意味を持つ場面で行われることが多いです。
③地鎮祭(じちんさい)
地鎮祭(じちんさい)は、新しい建物を建設する際に行われる神道の儀式で、土地を鎮め、解体工事の安全と繁栄を祈願するものです。この儀式は、土地に宿る神々や精霊に対して敬意を表し、解体工事中の事故や災害を防ぐ目的があります。
地鎮祭は通常、建物を建てる場所で行われ、神主が祝詞を奏上し、土地に向かって祈りを捧げます。また、参列者は玉串を奉納し、神々への感謝の気持ちを表します。さらにお供え物としてお米や酒、塩などが用意され、神前に捧げられます。
儀式の後には、土地を掘り起こすことが行われることが多く、これは「地鎮(じちん)」と呼ばれ、実際に解体工事が始まることを象徴しています。地鎮祭は新たな建物の誕生を祝う重要な儀式で、参加者にとっても特別な意味を持つ儀式です。
その他にも井戸を埋める際に、「井戸祓い(いどばらい)」、樹齢の長い樹木を伐採する際に、「樹木伐採清祓(じゅもくばっさいきよばらい)」などがあります。
最後に
解体工事前のお祓いは、単なる儀式ではなく、土地や建物に対する感謝の表れであり、解体工事の安全を祈願する大切なステップです。お祓いを行うかどうかは個々の判断に委ねられますが、長年住み続けた家や、感謝の気持ちを込めたい場所に対しては、その意味を理解し、心を込めてお祓いを行うことで、新たなスタートを切ることができます。
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ダイオキシンは、産業活動や廃棄物の不適切な処理過程で発生する有機化合物群であり、その中でも特に毒性が高い物質として知られています。ダイオキシンの土壌汚染は、人間の健康や環境に深刻な影響を及ぼすため、ダイオキシン対策は非常に重要です。今回は、ダイオキシンによる土壌汚染対策についてご紹介します。
ダイオキシンとは
ダイオキシンは、ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(PCDDs)やポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)などの化学物質の総称で、約400種類の異なる化合物を含んでいます。その中でも、2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(TCDD)は特に毒性が高い物質として知られています。ダイオキシンは自然環境ではほとんど分解されず、土壌や水中に長期間残留します。
ダイオキシンの主な発生源は以下の通りです。
■廃棄物の焼却処理(特に不完全燃焼)
■化学工業による副産物
■農業や除草剤の使用
■森林火災や家庭ごみの焼却
これらの活動によってダイオキシンが大気中に放出され、それが降雨などを介して土壌に蓄積されることで、土壌汚染が発生します。
ダイオキシンの土壌汚染の影響
ダイオキシンは、非常に微量でも人体に有害な影響を及ぼす可能性があります。ダイオキシンが土壌に蓄積されると、以下のようなリスクが生じます。
①食物連鎖への影響
ダイオキシンは、植物や動物に吸収され、それを食べる人間の体内に蓄積されます。特に脂肪組織に蓄積されやすく、長期にわたって体内に残留します。
②健康リスク
ダイオキシンは発がん性があることが知られており、免疫系、内分泌系、神経系にも悪影響を及ぼす可能性があります。特に発達中の子どもにとっては、少量の暴露でも深刻な健康問題を引き起こすことがあります。
③生態系への影響
ダイオキシンは、環境中で分解されにくいため、土壌や水中で長期間残存し、生態系全体に悪影響を与える可能性があります。
ダイオキシンによる土壌汚染対策を実施する契機
ダイオキシンによる土壌汚染のおそれがある土地では、施設の廃止等の契機を捉えて土壌汚染対策を実施することが望ましいと考えられます。ダイオキシンによる土壌汚染対策を実施する契機としては、以下の通りです。
①特定施設を廃止したとき
②ダイオキシン類を含む固体、液体の飛散、漏洩等のおそれがある事故が発生したとき
③特定施設を設置している土地または過去に特定施設やその他ダイオキシン類を発生させるおそれがある施設が存在していた土地、廃棄物等が埋設されている土地等で土地の形質の変更を行うとき
④PCB(ポリ塩化ビフェニル)による土壌汚染が確認されたとき
事業者や土地の所有者は、これらの契機が生じた場合は、ダイオキシンによる土壌汚染対策の実施を検討することが望ましいとされています。
ダイオキシンによる土壌汚染の調査
ダイオキシンによる土壌汚染の調査を行う際は、まず、資料等調査を行い、調査対象地のダイオキシンによる土壌汚染のおそれの有無や汚染のおそれが存在する位置及び深さ等を把握します。
資料等調査で調査対象地に土壌汚染のおそれが存在することが確認された場合は、資料等調査の結果をもとに試料採取地点や深さを設定した試料採取計画を作成し、計画に従って試料採取、測定を行います。この場合、調査は土壌汚染対策法に基づき指定された指定調査機関が実施することが求められます。
測定の結果、測定値が1,000pg-TEQ/gを超過した場合は、土壌環境基準の超過した試料を採取した位置の周囲で汚染範囲確認のための調査を行うことが考えられます。
調査の結果は、汚染が確認された場合及び確認されなかった場合のいずれにおいても、試料等調査結果や試料採取位置、測定結果等をとりまとめ、事業者や土地の所有者が保管しておくことが望ましいとされます。
ダイオキシンによる土壌汚染対策
ダイオキシン汚染を効果的に対策するためには、汚染の防止、除去、および管理が重要です。以下で具体的な対策方法を紹介します。
土壌汚染の防止
ダイオキシンによる土壌汚染を防止するためには、まずその発生源を特定し、適切な対策を講じることが重要です。具体的には以下の方法が考えられます。
①廃棄物焼却施設の適正管理
不完全燃焼がダイオキシンの発生原因となるため、焼却温度の適正管理や、排ガス処理装置の導入・メンテナンスを徹底する必要があります。高温での完全燃焼や、廃棄物の適切な分別によりダイオキシンの発生を抑制できます。
②農薬の適正使用
過去にはダイオキシンを含む除草剤が使用されていましたが、現在ではその使用は禁止されています。しかし、土壌や水中に残存するダイオキシンが依然として問題となっているため、今後の農薬使用についても環境負荷を考慮した選択が重要です。
③工場排出の管理
化学工場からの排出ガスや排水には、ダイオキシンが含まれる可能性があります。これらの排出物の処理を厳格に管理し、ダイオキシンの環境放出を防ぐための技術導入が必要です。
土壌の浄化
すでにダイオキシンで汚染された土壌に対しては、浄化技術が必要です。主な浄化技術は、以下の通りです。
①掘削除去法
汚染された土壌を物理的に掘削し、汚染部分を除去する方法です。この方法は迅速に土壌汚染を取り除くことができますが、大量の土壌を処理する必要があるため、コストが高く、環境への二次的な影響も考慮しなければなりません。
②熱処理法
高温で汚染された土壌を加熱し、ダイオキシンを分解・揮発させる方法です。高効率な分解が可能ですが、処理装置の設置やエネルギーコストが高いという課題があります。
③バイオレメディエーション
微生物や植物の力を利用して、汚染物質を分解・吸収する方法です。バイオレメディエーションは、環境への負荷が少なく、長期的な処理が可能な一方で、ダイオキシンのような難分解性の汚染物質に対しては効果が限定的です。
また、土壌汚染対策法では、土壌含有量基準に適合しない土壌汚染が確認された土地における措置として、舗装、立入禁止、盛土、土壌入れ替え、土壌汚染の除去を適用することとしており、ダイオキシンによる土壌汚染についても、地下水経由での摂取に起因する影響を考慮する必要がない場合には、これらの措置も適用できると考えられます。
地下水経由での摂取に起因する影響が考えられる場合は、地下水の摂取等によるリスクに対応できる措置を行うことが考えられます。
汚染管理とモニタリング
汚染された土地が完全に浄化されるまでの間、または汚染が拡散しないように管理することも重要です。主な管理方法は以下の通りです。
①汚染地域の封じ込め
汚染された土壌をそのままにしておく場合は、汚染が拡散しないように封じ込め対策を行います。例えば、土壌を覆うカバー材を設置したり、汚染地域にバリアを設けたりすることで、ダイオキシンの拡散を防ぎます。
②モニタリングの強化
ダイオキシン汚染の拡大を防ぐためには、定期的なモニタリングが必要です。土壌や水質を定期的に検査し、汚染が広がっていないかを監視することが重要です。また、土壌のダイオキシン濃度に応じた対策を柔軟に実施するためのデータ収集も欠かせません。
最後に
ダイオキシンによる土壌汚染は、人体や環境に深刻な影響を与える問題であり、ダイオキシン対策には多角的なアプローチが必要です。土壌汚染の防止には、発生源の管理が重要であり、土壌汚染が発生した場合には迅速な除去や浄化が求められます。また、長期的なモニタリングと管理を通じて、土壌汚染の拡大を防ぐことが重要です。
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参考URL
・工場・事業場におけるダイオキシン類に係る土壌汚染対策の手引き| 環境省
(https://www.env.go.jp/content/900513874.pdf)
・ダイオキシン類による土壌汚染と事業者の責任| 日本CSR普及協会
(https://www.jcsr.jp/pdf/cases_13.pdf)
・パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」| 環境省
(https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/index.html)
アスベストの記事一覧
目次:
アスベストに関する都道府県の補助金(島根編)について
1. アスベストに関する国の補助金の対象について
アスベストに関する国の補助金につきましては、
https://www.eco-j.co.jp/blog/20230418.html(アスベスト除去の補助金について)
こちらの記事で以前記載しております。
アスベストに関する都道府県の補助金は、実はさまざまな種類がありますので、今回は現時点で公開されている島根県の補助金について、説明いたします。
※本コラムは、2024年11月5日時点での情報を元に記載しております。実際の補助金についてはご相談時に内容が変わっている可能性がございますので、必ず自治体に直接確認するようにお願いいたします。
2. 吹付けアスベスト等の対策に関する補助制度について(島根県)
島根県にはフリーダイヤルをはじめとしたアスベストに関する相談窓口が設置されていますが、具体的な補助金制度については市町村ごとの対応となります。
2024年11月5日現在で、島根県内でアスベストに関連する補助金制度を設けていることが確認できているのは、下記の市町村となります。
・浜田市(都市建設部 建築住宅課)※除去工事のみ
その他の市町村でもアスベストに関する対策が進められている可能性があります。詳細は各市町村の公式サイトや担当部署で確認することをお勧めします。
3. 吹付けアスベスト除去等事業補助金交付(浜田市)
浜田市では、令和5年4月1日より吹付けアスベストの除去等に対する補助制度を設けています(令和8年3月31日まで)。
補助対象建築物
市内に存する建築物(国、地方公共団体その他の公共団体が所有し、又は所有していた建築物を除く。)であって、アスベスト含有調査により吹付けアスベスト等が施工されていることを確認されたもの
補助対象事業
補助対象建築物について吹付けアスベスト除去等を行う事業。
補助対象建築物の敷地内に存する全ての補助対象建築物について当該吹付けアスベスト除去等を行うことが条件となります。
吹付けアスベスト等の除去を行う場合は、交付申請日の属する年度の3月31日までに耐火被覆等の施工を行ってください。ただし、当該吹付けアスベスト等の除去を行った後に、補助対象建築物を使用せず、当該年度の翌年度の3月31日までに当該補助対象建築物の解体を開始する場合については、この限りではありません。
次のいずれかに該当するものは補助対象事業とはなりません。
- ①アスベスト含有調査
- ②申請日の属する年度の 3月 31 日までに補助対象事業が完了しないもの
- ③他の同種の補助金等の交付を受けて行うもの
- ④その他市長が適当でないと認めるもの
補助対象者
補助対象建築物の所有者又はその相続人
補助対象経費
吹付けアスベスト除去等の工事(補助対象建築物の天井等の撤去及び復旧に係る工事を除きます。)に要する経費(吹付けアスベスト等の除去を行った後に講じる耐火被覆等の施工に係る経費を含みます。)
補助金額
補助対象経費の3分の2以内の額(その額に1,000円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てた額)とします。ただし、500万円を限度とし、補助金の総額については、予算の範囲内とします。
交付申請
次に掲げる書類を添えて、補助対象事業の着手前7日までに市長宛に提出してください。
- ①補助対象者であることを証する書類
- ②補助対象建築物の位置図
- ③アスベスト含有調査報告書(アスベスト含有調査により、吹付けアスベスト等が施工されていることを確認できる書類をいう。以下同じ。)の写し
- ④特定管理産業廃棄物管理責任者証(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和 46年厚生労働省令第 35号)第 8条の 17に規定する特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を証する書類をいう。以下同じ。)及び石綿作業主任者証(石綿障害予防規則(平成 17 年厚生労働省令第21 号)第 19 条に規定する石綿作業主任者の資格を証する書類をいう。以下同じ。)の写し
- ⑤吹付けアスベスト除去等の工事着工前の写真
- ⑥見積書の写し
- ⑦その他市長が必要と認めるもの
なお、この申請は、補助対象建築物の敷地当たり1回に限り行うことができます。
実績報告
補助事業が完了したときは、速やかに吹付けアスベスト除去等事業実績報告書(様式第3号)に次に掲げる書類を添えて、市長宛に提出してください。
- ①領収書の写し
- ②吹付けアスベスト除去等の工事期間中及び工事完了後の写真
- ③マニフェストE票の写し(吹付けアスベスト等の除去を行う場合に限る。)
- ④その他市長が必要と認めるもの
交付請求
補助金の交付の請求をしようとするときは、吹付けアスベスト除去等事業補助金交付請求書(様式第5号)に市長が必要と認める書類を添えて、市長宛に提出してください。
申請から補助金振込までの流れ
①交付申請書(様式第1号)の提出【申請者→建築住宅課】
※工事着工の7日前までに提出
↓
②交付決定通知書の交付【建築住宅課→申請者】 ※概ね1週間程度
↓
③アスベスト除去等の契約と工事着手
↓
④アスベスト除去等の工事完了
↓
⑤実績報告書(様式第3号)の提出【申請者→建築住宅課】
↓
⑥確定通知書の交付【建築住宅課→申請者】 ※概ね1週間程度
↓
⑦請求書(様式第5号)の提出【申請者→建築住宅課】
↓
⑧補助金の振り込み【建築住宅課→申請者】
※概ね1か月程度
※必ず、除去等の工事着手前に申請を行ってください。工事着手後の申請は受付けておりませんのでご注意ください。
※申請書等の作成・提出・受取については、申請者に代わって工事業者が行っていただきますようお願いいたします。なお、補助金は申請者の口座に振り込みます。
※予算がなくなり次第、申請の受付を終了します。
Q&A ※一部のみ掲載
Q:既に吹付けアスベストを除去しましたが、補助の申請をすることはできますか。
A:できません。補助の対象となるのは、除去等を行う前の申請のみです。
Q:自分で吹付けアスベストを除去しても補助の対象となりますか。
A:補助の対象とはなりますが、吹付けアスベストは有資格者でなければ除去することができません。なお、適正に撤去・処分を行っていないものは補助の対象となりません。
Q:以前公共建築物だったものに吹付けアスベストがあった場合も補助の対象となりますか。
A:公共建築物又は公共建築物であったものは補助の対象となりません。市内にある民間建築物のみが補助の対象となります。
Q:建築物の所有者が共有名義となっている場合は、他の所有者の同意書の添付は必要ですか。
Q:建築物に抵当権等の他の権利がある場合は、その権利者の同意書の添付は必要ですか。
A:同意書の添付は不要ですが、申請者において他の所有者や権利者の同意を取っておいてください。なお、所有者や権利者に関するトラブルが発生しても、市では対応いたしません。
Q:吹付けアスベスト除去等の工事業者は、申請者になれますか。
A:工事業者は申請者にはなれません。建築物の所有者か相続者に限定しています。
問合先
浜田市 都市建設部 建築住宅課
〒697-8501 島根県浜田市殿町1番地
電話番号:0855-25-9632
4. まとめ
アスベストに関する補助金としては、アスベスト調査にかかる費用を補助対象とした補助金と、アスベストの除去にかかる工事費用などを補助対象とした補助金に分けられます。一般的にはアスベスト調査にかかる補助金の方がかかるコストも少ないことから補助金の総額が15万円〜25万円ほどと少なく、一方でアスベスト除去に関する補助金は2/3以内を上限としており、120~180万円が上限額(地域によって異なります)とされているなど、比較的大きい金額の補助を受けることができます。
自治体に事前の連絡や相談は必要ですが、2022年4月1日にアスベスト関連法令の改正が実施され、アスベスト含有を調べる事前調査の結果報告が義務付けられており、これには当然、調査や除去工事はコストがかかるため、解体工事全般のコスト増が懸念されているという中で、国や都道府県、市区町村などで補助金が適用できるようになっております。
これは島根県だけでなく、他の都道府県でも補助金がありますので、これらについては追って記事にしたいと思います。本記事の情報をぜひ有効にご活用ください。
株式会社エコ・テックのアスベスト対策工事について
株式会社エコ・テックでは、事前調査からアスベスト除去工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。
全国(東京、名古屋、大阪、岡山、福岡など)で無料相談、無料見積もりを実施しておりますので、土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
目次:
アスベスト調査の都道府県の補助金(群馬編)について
- 1. アスベストに関する国の補助金の対象について
- 2. 吹付けアスベスト等の対策に関する補助制度について(群馬県)
- 3. 高崎市民間建築物アスベスト含有調査事業について
- 4. 民間建築物アスベスト含有調査事業費補助金について(明和町)
- 5. まとめ
1.アスベストに関する国の補助金の対象について
アスベストに関する国の補助金につきましては、
https://www.eco-j.co.jp/blog/20230418.html(アスベスト除去の補助金について)
こちらの記事で以前記載しております。
アスベストに関する都道府県の補助金は、実はさまざまな種類がありますので、今回は現時点で公開されている群馬県の補助金について、説明いたします。
※本コラムは、2024年10月8日時点での情報を元に記載しております。実際の補助金についてはご相談時に内容が変わっている可能性がございますので、必ず自治体に直接確認するようにお願いいたします。
2. 吹付けアスベスト等の対策に関する補助制度について(群馬県)
群馬県にはアスベストに関する対策についての窓口が設置されています(感染症・疾病対策課疾病対策係、地域の保健所・保健福祉事務所、環境事務所・環境森林事務所、土木事務所等)が、具体的な補助金制度については市町村ごとの対応となります。
高崎市:
民間建築物のアスベスト含有調査に対する補助金があり、上限25万円/棟の補助を提供しています。調査費用が対象となり、申請期間が定められています(建設部建築指導課)。
明和町:
アスベスト含有調査費用に対する補助金制度があり、こちらも上限25万円です。町内の民間建築物に対するアスベスト調査費用を補助し、申請期間が年度ごとに設定されています(都市建設課 都市開発係)。
伊勢崎市:
アスベストに関する補助金については確認できませんでしたが、アスベストに関する相談窓口が設置されています。
その他の市町村でもアスベストに関する対策が進められている可能性がありますが、補助金制度の有無は確認できませんでした。詳細は各市町村の公式サイトや担当部署で確認することをお勧めします。
3. 高崎市民間建築物アスベスト含有調査事業について
高崎市では、民間建築物の壁、柱及び天井等に吹付けられたアスベスト等の飛散による市民の健康被害を予防し、生活環境の保全を図るため、アスベスト含有調査を行う建築物の所有者等に調査の費用を補助しています。
対象となる建築物
1. 吹付けアスベスト等※1が施工されているおそれがある市内の建築物であること。
ただし、解体を予定している建築物は対象となりません。
2. 過去に国等から同様の補助金の交付を受けていない建築物であること。
※1 吹付けアスベスト、吹付けロックウールでアスベストの重量が、当該吹付け建築材料の重量の0.1パーセントを超えるもの。
対象となる者
1. 含有調査を行う建築物の所有者※2
2. 国、地方公共団体、独立行政法人、地方独立行政法人、その他地方公共団体が設立し、または出資等を行っている法人ではない者
3. 同一棟の建築物について、この事業による補助の交付を受けていない者
※2 建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)に規定する区分所有者の団体及び管理者を含みます。
対象となる事業
調査方法はJISA1481-1、JISA1481-2、JISA1481-3又はJISA1481-4によるものとします。調査機関はJISA1481-1、JISA1481-2、JISA1481-3又はJISA1481-4の付属書の仕様に適合する装置及び機器を備え付ける機関を選定してください。
調査者は、建築物石綿含有建材調査者講習登録規程(平成30年厚生労働省・国土交通省・環境省告示第1号)第2条第2項、第3項又は第4項に規定する者であること。
補助金の額
含有調査事業に要する費用(検体の採取に要する費用を含む。)で、当該事業を実施する請負者に対して支払う額(消費税を除く。)に相当する額とし、上限は25万円/棟とします。
※1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額とします。
申請期間
令和6年度の募集は令和6年5月13日(月曜日)から令和6年12月13日(金曜日)までです。
募集棟数
募集棟数は先着で予算額に達するまでです。
申請に必要な書類
・申請書
・建築物の登記事項証明書または所有者を確認できる書類
・所有者全員の合意があることを証する書類(建築物が共有である場合。区分所有者は除く)
・区分所有者の集会等において、当該事業を実施する決議がなされたことを証する書類
・位置図、配置図及び調査箇所を確認できる平面図
・設計図書等がある場合は、調査箇所の使用が確認できる書類
・建物の全景及び調査箇所の状況を確認できる書類
・分析調査機関の調査仕様書
・見積書
・作業環境測定法に規定する作業環境測定機関のうちJISA1481-1、JISA1481-2、JISA1481-3又はJISA1481-4の仕様書に適合する装置及び機器を備える機関であることを証する書類
・委任状(代理者が申請する場合に限る。)
注意事項
- アスベスト含有調査の契約前に、必ず補助金交付申請の手続きを行ってください。
- 実績報告は、事業完了後30日以内または令和7年2月28日(金曜日)のいずれか早い日までに提出してください。
- 交付決定を受けた計画を変更しようとする場合は、変更の手続きが必要です。変更することが明らかになった時点で市に連絡してください。
問合先
建設部建築指導課
〒370-8501高崎市高松町35番地1 11階
電話番号:027-321-1271 ファックス番号:027-323-5296
4. 民間建築物アスベスト含有調査事業費補助金について(明和町)
明和町では、アスベストの有無を把握し、飛散による住民の健康被害の予防及び住環境の
保全を図ることを目的として、町内の民間建築物に吹付けられたアスベストの含有調査
に要する費用に対し補助金を交付しています。
対象となる建築物
吹付けアスベスト等が施行されているおそれがある町内の民間建築物
必要な書類
・含有調査に関する事業の積算内訳書
・建築物の位置図、区域図、配置図、平面図
・現況写真その他
申請書等
・明和町民間建築物アスベスト含有調査事業費補助金交付要綱
・アスベスト含有調査事業費補助金交付申請書
・アスベスト含有調査事業費補助金交付変更申請書
・アスベスト含有調査事業の中止(廃止)承認申請書
・アスベスト含有調査事業完了実績報告書
・アスベスト含有調査事業完了期日変更報告書
・アスベスト含有調査事業補助金交付請求書
補助金
調査費用に対して25万円を上限として補助します
募集期間(令和6年度)
令和6年4月1日から令和6年10月31日まで
問合先
都市建設課 都市開発係
〒370-0795
群馬県邑楽郡明和町新里250番地1 役場庁舎1階
電話番号:0276-84-3111(代表) ファックス番号:0276-84-3114
5. まとめ
アスベストに関する補助金としては、アスベスト調査にかかる費用を補助対象とした補助金と、アスベストの除去にかかる工事費用などを補助対象とした補助金に分けられます。一般的にはアスベスト調査にかかる補助金の方がかかるコストも少ないことから補助金の総額が15万円〜25万円ほどと少なく、一方でアスベスト除去に関する補助金は2/3以内を上限としており、120~180万円が上限額(地域によって異なります)とされているなど、比較的大きい金額の補助を受けることができます。
自治体に事前の連絡や相談は必要ですが、2022年4月1日にアスベスト関連法令の改正が実施され、アスベスト含有を調べる事前調査の結果報告が義務付けられており、これには当然、調査や除去工事はコストがかかるため、解体工事全般のコスト増が懸念されているという中で、国や都道府県、市区町村などで補助金が適用できるようになっております。
これは群馬県だけでなく、他の都道府県でも補助金がありますので、これらについては追って記事にしたいと思います。本記事の情報をぜひ有効にご活用ください。
株式会社エコ・テックのアスベスト対策工事について
株式会社エコ・テックでは、事前調査からアスベスト除去工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。
全国(東京、名古屋、大阪、岡山、福岡など)で無料相談、無料見積もりを実施しておりますので、土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
目次:
アスベストに関する都道府県の補助金(栃木編)について
- 1. アスベストに関する国の補助金の対象について
- 2. 建築物の吹付けアスベスト補助金制度について(小山市)
- 3. 民間建築物アスベスト除去等補助制度(宇都宮市)
- 4. 民間建築物吹付けアスベスト対策事業補助金(日光市)
- 5. まとめ
1. アスベストに関する国の補助金の対象について
アスベストに関する国の補助金につきましては、
https://www.eco-j.co.jp/blog/20230418.html(アスベスト除去の補助金について)
こちらの記事で以前記載しております。
アスベストに関する都道府県の補助金は、実はさまざまな種類がありますので、今回は現時点で公開されている栃木県の補助金について、説明いたします。
※本コラムは、2024年8月4日時点での情報を元に記載しております。実際の補助金についてはご相談時に内容が変わっている可能性がございますので、必ず自治体に直接確認するようにお願いいたします。
2. 建築物の吹付けアスベスト補助金制度について(小山市)
令和6年度の受付は4月1日から開始しています。
民間建築物吹付けアスベスト対策補助金制度について
民間建築物の壁、柱、天井等に吹付けられたアスベスト(石綿)の飛散による市民の健康障害を予防し、生活環境の保全を図るため、建築物に吹付けられた建材について行う、アスベスト含有等の「分析調査」及び吹付けアスベスト等の「除去等工事」を行う場合に、予算の範囲内でその費用の一部を補助します。
受付前には事前相談が必要となります。建築指導課までお問合せください。
「分析調査」の受付期間は、毎年度 4月1日から1月下旬です。
「除去等工事」の受付期間は、毎年度4月1日から9月下旬です。
上記受付期間中であっても、予算が無くなり次第、受付終了となります。
受付は先着順です。
アスベスト分析調査の費用の補助について
補助内容
吹付けアスベストに該当する恐れのある吹付け建材(綿状のもの、または吹付仕上塗材に限る)について、アスベストの含有の有無に係る定性分析及び含有量に係る定量分析に要する費用についての補助です。
「分析調査」は、建築物石綿含有建材調査者が実施します。
「分析調査」の方法は、「建材中の石綿含有率の分析方法について」(平成18年8月21日付け基発第0821002号厚生労働省労働基準局長通達)により示された分析方法を標準とします。
補助対象建築物
小山市内の建築物
吹付アスベストに該当する恐れのある吹付け建材が施工されている建築物
対象者
対象建築物の所有者または管理者
補助金の額
分析調査に要する経費(上限25万円)
実施期間
交付決定通知を受けてから30日以内に分析調査を完了してください。
申請した年度の2月末までに分析調査を完了してください。
分析機関
分析機関への見積りなどの相談は、一般社団法人 日本環境測定分析協会・公益社団法人 日本作業環境測定協会のホームページを参考にしてください。
除去等工事の費用の補助について
補助内容
吹付けアスベスト等(綿状のものに限る)の除去等に要する費用についての補助です。
なお、アスベスト除去等工事に併せてアスベスト除去等以外の改修工事を行う場合には、除去等工事相当分の費用のみが補助対象となります。
「除去等工事」とは、以下のいずれかの措置を行うことをいいます。
・除去
除去吹付け材をすべて除去する工事をいいます。
吹付け材が耐火被覆材として使用されている場合は、除去後は同等の耐火性能に戻す工事が必要です。
・封じ込め
吹付け材の表面に固化剤を吹付け、塗膜を形成したり、浸透させ、結合力を強化することによりアスベストを封じ込める工事をいいます。
・囲い込み
吹付けアスベストが存在する天井、壁等を非石綿建材で覆いアスベストを囲い込む工事をいいます。
対象建築物
小山市内の建築物
分析調査の結果、アスベスト含有率が0.1パーセントを超える吹付アスベスト及び石綿含有吹付ロックウール(綿状のもの、または吹付仕上塗材に限る)が施工されている建築物
対象者
対象建築物の所有者または管理者
補助金の額
除去等工事に要する経費の3分の2以内の額(上限180万円)
実施期間
交付決定通知を受けてから90日以内かつ除去等工事を完了してください。
申請した年度の2月末までに除去等工事を完了してください。
工事内容などによりやむを得ない事情がある場合は、小山市役所建築指導課までご相談ください。
その他
工事に伴い、その他届出等が必要な場合があります。詳細については各担当部署にお問い合わせくさだい。
小山市役所 建築指導課 建築指導係
〒323-8686 栃木県小山市中央町1丁目1番1号 4階
電話番号:0285-22-9233
ファクス番号:0285-22-9685
3. 民間建築物アスベスト除去等補助制度(宇都宮市)
建築物に使用されている吹き付けアスベストによる、健康被害を未然に防止するため、除去等にかかる費用を補助する制度です。(含有調査の補助は、平成29年度末で終了しました。)
補助制度の概要は下記のとおりですが、さらに詳しい内容についてや、アスベストに関する質問は、お問い合わせ先へお願いします。
当該補助事業は、市の予算の範囲内、かつ、活用している国の防災・安全交付金の交付決定を受けた場合に実施します。
令和6年(2024年)度は 1件 募集します。
(注意)補助制度の受付は先着順で、予算の範囲内での実施となります。
1. 補助の対象となる事業内容
・建築物石綿含有建材調査者による調査および建築物石綿含有建材調査者が除去等工事にかかる計画の策定等を行い、当該計画に基づく現場体制に基づき実施する除去等
・調査(平成29年度末で含有調査の補助を終了しました。)
・飛散の恐れのある吹付けアスベストの含有調査(成形板等の石綿含有建材は対象外)
・除去等
・露出していて、飛散の恐れのある吹付けアスベストの除去等(除去等とは、除去、封じ込め、囲い込み工事をいいます。)ただし、含有調査で石綿含有量が0.1パーセントを超えた場合に限ります。
(注意)建築物石綿含有建材調査者とは、建築物石綿含有建材調査者講習登録規程(平成25年国土交通省告示第748号)第2条第2項に規定する者をいいます。
2. 対象建築物の用途
・多数の人が利用する建築物(店舗・工場・事務所等)
・住宅(周辺に被害を及ぼす恐れのある住宅)
3. 補助金の額
・調査(平成29年度末で終了しました。)
・除去等:対象事業費の3分の2(1棟あたり、上限200万円)
4. 申請者
当該申請物件の所有者(市税の滞納がないことが条件になります。)
5. 問い合わせ先
宇都宮市役所 都市整備部 建築指導課 管理グループ(市役所11階)
電話番号:028-632-2573 ファクス:028-632-5421
4. 民間建築物吹付けアスベスト対策事業補助金(日光市)
建築物の壁、柱、天井等に吹付けられたアスベストの飛散による市民の健康被害を予防し、生活環境の保全を図るため、建築物に吹付けられたアスベストの除去、封じ込め又は囲い込みの措置に関する費用の一部を補助します。
(注意)令和6年度は事業費を予算化していないため受け付けしていません。
補助金額
補助金額は対象建築物1棟に関するアスベスト除去等事業に要する経費で、施工者に対して支払うものです。
補助対象経費に2分の1を乗じて得た額(1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)とし、100万円を上限とします。また、対象建築物1棟に対し、1回限りとし、予算の範囲内で交付します。
受付状況
予算の都合により補助件数には限りがあります。申請を検討している場合は、早めに相談してください。
補助金に関する問い合わせ
日光市役所建設部建築住宅課建築指導係
電話番号:0288-21-5197
ファクス番号:0288-21-5176
5. まとめ
アスベストに関する補助金としては、アスベスト調査にかかる費用を補助対象とした補助金と、アスベストの除去にかかる工事費用などを補助対象とした補助金に分けられます。一般的にはアスベスト調査にかかる補助金の方がかかるコストも少ないことから補助金の総額が15万円〜25万円ほどと少なく、一方でアスベスト除去に関する補助金は2/3以内を上限としており、120~180万円が上限額(地域によって異なります)とされているなど、比較的大きい金額の補助を受けることができます。
自治体に事前の連絡や相談は必要ですが、2022年4月1日にアスベスト関連法令の改正が実施され、アスベスト含有を調べる事前調査の結果報告が義務付けられており、これには当然、調査や除去工事はコストがかかるため、解体工事全般のコスト増が懸念されているという中で、国や都道府県、市区町村などで補助金が適用できるようになっております。
これは栃木県だけでなく、他の都道府県でも補助金がありますので、これらについては追って記事にしたいと思います。本記事の情報をぜひ有効にご活用ください。
株式会社エコ・テックのアスベスト対策工事について
株式会社エコ・テックでは、事前調査からアスベスト除去工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。
全国(東京、名古屋、大阪、岡山、福岡など)で無料相談、無料見積もりを実施しておりますので、土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
土壌調査の記事一覧
ダイオキシンは、産業活動や廃棄物の不適切な処理過程で発生する有機化合物群であり、その中でも特に毒性が高い物質として知られています。ダイオキシンの土壌汚染は、人間の健康や環境に深刻な影響を及ぼすため、ダイオキシン対策は非常に重要です。今回は、ダイオキシンによる土壌汚染対策についてご紹介します。
ダイオキシンとは
ダイオキシンは、ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(PCDDs)やポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)などの化学物質の総称で、約400種類の異なる化合物を含んでいます。その中でも、2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(TCDD)は特に毒性が高い物質として知られています。ダイオキシンは自然環境ではほとんど分解されず、土壌や水中に長期間残留します。
ダイオキシンの主な発生源は以下の通りです。
■廃棄物の焼却処理(特に不完全燃焼)
■化学工業による副産物
■農業や除草剤の使用
■森林火災や家庭ごみの焼却
これらの活動によってダイオキシンが大気中に放出され、それが降雨などを介して土壌に蓄積されることで、土壌汚染が発生します。
ダイオキシンの土壌汚染の影響
ダイオキシンは、非常に微量でも人体に有害な影響を及ぼす可能性があります。ダイオキシンが土壌に蓄積されると、以下のようなリスクが生じます。
①食物連鎖への影響
ダイオキシンは、植物や動物に吸収され、それを食べる人間の体内に蓄積されます。特に脂肪組織に蓄積されやすく、長期にわたって体内に残留します。
②健康リスク
ダイオキシンは発がん性があることが知られており、免疫系、内分泌系、神経系にも悪影響を及ぼす可能性があります。特に発達中の子どもにとっては、少量の暴露でも深刻な健康問題を引き起こすことがあります。
③生態系への影響
ダイオキシンは、環境中で分解されにくいため、土壌や水中で長期間残存し、生態系全体に悪影響を与える可能性があります。
ダイオキシンによる土壌汚染対策を実施する契機
ダイオキシンによる土壌汚染のおそれがある土地では、施設の廃止等の契機を捉えて土壌汚染対策を実施することが望ましいと考えられます。ダイオキシンによる土壌汚染対策を実施する契機としては、以下の通りです。
①特定施設を廃止したとき
②ダイオキシン類を含む固体、液体の飛散、漏洩等のおそれがある事故が発生したとき
③特定施設を設置している土地または過去に特定施設やその他ダイオキシン類を発生させるおそれがある施設が存在していた土地、廃棄物等が埋設されている土地等で土地の形質の変更を行うとき
④PCB(ポリ塩化ビフェニル)による土壌汚染が確認されたとき
事業者や土地の所有者は、これらの契機が生じた場合は、ダイオキシンによる土壌汚染対策の実施を検討することが望ましいとされています。
ダイオキシンによる土壌汚染の調査
ダイオキシンによる土壌汚染の調査を行う際は、まず、資料等調査を行い、調査対象地のダイオキシンによる土壌汚染のおそれの有無や汚染のおそれが存在する位置及び深さ等を把握します。
資料等調査で調査対象地に土壌汚染のおそれが存在することが確認された場合は、資料等調査の結果をもとに試料採取地点や深さを設定した試料採取計画を作成し、計画に従って試料採取、測定を行います。この場合、調査は土壌汚染対策法に基づき指定された指定調査機関が実施することが求められます。
測定の結果、測定値が1,000pg-TEQ/gを超過した場合は、土壌環境基準の超過した試料を採取した位置の周囲で汚染範囲確認のための調査を行うことが考えられます。
調査の結果は、汚染が確認された場合及び確認されなかった場合のいずれにおいても、試料等調査結果や試料採取位置、測定結果等をとりまとめ、事業者や土地の所有者が保管しておくことが望ましいとされます。
ダイオキシンによる土壌汚染対策
ダイオキシン汚染を効果的に対策するためには、汚染の防止、除去、および管理が重要です。以下で具体的な対策方法を紹介します。
土壌汚染の防止
ダイオキシンによる土壌汚染を防止するためには、まずその発生源を特定し、適切な対策を講じることが重要です。具体的には以下の方法が考えられます。
①廃棄物焼却施設の適正管理
不完全燃焼がダイオキシンの発生原因となるため、焼却温度の適正管理や、排ガス処理装置の導入・メンテナンスを徹底する必要があります。高温での完全燃焼や、廃棄物の適切な分別によりダイオキシンの発生を抑制できます。
②農薬の適正使用
過去にはダイオキシンを含む除草剤が使用されていましたが、現在ではその使用は禁止されています。しかし、土壌や水中に残存するダイオキシンが依然として問題となっているため、今後の農薬使用についても環境負荷を考慮した選択が重要です。
③工場排出の管理
化学工場からの排出ガスや排水には、ダイオキシンが含まれる可能性があります。これらの排出物の処理を厳格に管理し、ダイオキシンの環境放出を防ぐための技術導入が必要です。
土壌の浄化
すでにダイオキシンで汚染された土壌に対しては、浄化技術が必要です。主な浄化技術は、以下の通りです。
①掘削除去法
汚染された土壌を物理的に掘削し、汚染部分を除去する方法です。この方法は迅速に土壌汚染を取り除くことができますが、大量の土壌を処理する必要があるため、コストが高く、環境への二次的な影響も考慮しなければなりません。
②熱処理法
高温で汚染された土壌を加熱し、ダイオキシンを分解・揮発させる方法です。高効率な分解が可能ですが、処理装置の設置やエネルギーコストが高いという課題があります。
③バイオレメディエーション
微生物や植物の力を利用して、汚染物質を分解・吸収する方法です。バイオレメディエーションは、環境への負荷が少なく、長期的な処理が可能な一方で、ダイオキシンのような難分解性の汚染物質に対しては効果が限定的です。
また、土壌汚染対策法では、土壌含有量基準に適合しない土壌汚染が確認された土地における措置として、舗装、立入禁止、盛土、土壌入れ替え、土壌汚染の除去を適用することとしており、ダイオキシンによる土壌汚染についても、地下水経由での摂取に起因する影響を考慮する必要がない場合には、これらの措置も適用できると考えられます。
地下水経由での摂取に起因する影響が考えられる場合は、地下水の摂取等によるリスクに対応できる措置を行うことが考えられます。
汚染管理とモニタリング
汚染された土地が完全に浄化されるまでの間、または汚染が拡散しないように管理することも重要です。主な管理方法は以下の通りです。
①汚染地域の封じ込め
汚染された土壌をそのままにしておく場合は、汚染が拡散しないように封じ込め対策を行います。例えば、土壌を覆うカバー材を設置したり、汚染地域にバリアを設けたりすることで、ダイオキシンの拡散を防ぎます。
②モニタリングの強化
ダイオキシン汚染の拡大を防ぐためには、定期的なモニタリングが必要です。土壌や水質を定期的に検査し、汚染が広がっていないかを監視することが重要です。また、土壌のダイオキシン濃度に応じた対策を柔軟に実施するためのデータ収集も欠かせません。
最後に
ダイオキシンによる土壌汚染は、人体や環境に深刻な影響を与える問題であり、ダイオキシン対策には多角的なアプローチが必要です。土壌汚染の防止には、発生源の管理が重要であり、土壌汚染が発生した場合には迅速な除去や浄化が求められます。また、長期的なモニタリングと管理を通じて、土壌汚染の拡大を防ぐことが重要です。
株式会社エコ・テックの土壌汚染対策工事について
株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
参考URL
・工場・事業場におけるダイオキシン類に係る土壌汚染対策の手引き| 環境省
(https://www.env.go.jp/content/900513874.pdf)
・ダイオキシン類による土壌汚染と事業者の責任| 日本CSR普及協会
(https://www.jcsr.jp/pdf/cases_13.pdf)
・パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」| 環境省
(https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/index.html)
有害物質の製造、使用又は処理を目的とする施設のことを、特定施設(有害物質使用特定施設)といいます。特定施設は、条例施行規制第32条において基準が設けられています。今回は、土壌汚染対策法の特定施設(有害物質使用特定施設)についてご紹介します。
特定施設(有害物質使用特定施設)とは
土壌汚染対策法の特定施設とは、有害物質の製造、使用又は処理を目的とする特定施設のことをいいます。特定施設は、「有害物質使用特定施設」とも呼ばれています。ここにおいて「製造」とは、当該特定施設において、有害物質を製品として製造することをいい、「使用」とは、当該特定施設において、有害物質をその施設の目的に沿って原料、触媒等として使用することをいい、「処理」とは、当該特定施設において、有害物質又は有害物質を含む水を処理することを目的として有害物質を分解又は除去することをいいます。
水濁法では、一定の要件を備える汚染又は廃液を排出する施設を施行令で指定し、これらの施設を設置している工場又は事業場からの排水の排出に対して規制を行うこととされており、そのために指定された施設が「特定施設」です。
水質汚染防止法第2条第2項に規定する特定施設であって、同項第1号に規定する有害物質(特定有害物質であるものに限る)を製造、使用又は処理するものです。
特定施設の対象となる施設
①水質汚濁防止法施行令第2条規定の有害物質を製造、使用、処理を行う施設
②有害物質を含む水を敷地外部の水域に排出する施設(施設排水の全量を下水道に排出する施設も含む)
特定施設の対象とならない施設
①施設内で発生する有害物質を含む汚水や廃液の全量を循環利用し、施設外に排出しない施設
②下水道終末処理施設、水質汚濁防止法施行令第1条別表第1第72号のし尿処理施設
③温泉旅館等の天然の有害物質を含む水を使用するような施設
特定有害物質とは、土壌や地下水に含まれることが原因で人の健康に被害を生ずるおそれがある有害物質として土壌汚染対策法施行令で定めた26物質のことです。
第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)、第二種特定有害物質(貴金属等)及び第三種特定有害物質(農薬等)があり、各物質ごとに土壌溶出量基準や土壌含有量基準等の基準値が設定されています。
特定有害物質の製造等を行う施設の構造に関する基準
特定有害物質の製造等を行う施設は、条例施行規制第32条において以下の通り基準が設けられています。
①特定有害物質の製造等を行う施設及びその周辺の床は、コンクリート構造等の十分な強度を有するものであって、その表面は、不浸透性及び耐薬品性を有する材質で被覆されていること。
②特定有害物質の製造等を行う施設から特定有害物質を含む薬液等が飛散し、流出し、又は地下に浸透しないように不浸透性及び耐薬品性を有する防液堤等を設置し、かつ、その容量を十分に確保すること
③特定有害物質の製造等を行う施設は、床面から離して設置する等容易に点検することができるものとすること
特定有害物質の取扱量等の記録・飛散等の点検について
特定有害物質の製造、使用又は処理を行う工場又は事業場を設置している者は、条例第46条の規則で定めるところにより、製造等を行う特定有害物質の量その他の事項を記録しておかなければなりません。記録内容は、
①特定有害物質の製造等を行う施設の名称、設置場所及び使用期間
②製造等を行う特定有害物質の種類及び量
③特定有害物質の製造等を行う施設における作業を含む工程
④特定有害物質の排出及び廃棄の方法
です。
特定有害物質の飛散等の点検については、条例第47条の規定で定めるところにより、特定有害物質の製造等を行う施設からの特定有害物質の飛散、流出又は地下への浸透の有無を定期的に点検し、その結果を記録しておかなければなりません。
また、点検の結果等から、当該工場又は事業場の敷地内において特定有害物質が地下に浸透しているおそれがあるときは、速やかに、規定で定めるところにより、当該箇所の周辺の土壌又は地下水の特定有害物質による汚染の状況を調査しなければなりません。
特定施設(有害物質使用特定施設)設置前の手続き
特定施設の設置には、水質汚濁防止法に基づいて都道府県等に設置工事の60日以上前までに届出を提出する必要があります。対象となるのは、
①工場又は事業場から公共用水域に水を排出する者が有害物質使用特定施設を設置しようとする場合
②工場又は事業場から地下に有害物質使用特定施設に係る汚水等(これを処理したものを含む)を含む水を浸透させる者が有害物質使用特定施設を設置しようとするとき
③工場もしくは事業場において有害物質使用特定施設を設置しようとする者(①・②を除く)
です。
届出後、都道府県等において審査の結果、問題がない場合には、受理書が交付されます。
特定施設(有害物質使用特定施設)設置後の手続き
特定施設の設置後に、特定施設の構造等の変更をする場合、水質汚濁防止法に基づいて都道府県等に変更工事の60日以上前までに届出を提出する必要があります。対象となる変更は、
①有害物質使用特定施設の構造
②有害物質使用特定施設の使用方法
③汚水等の処理の方法
④特定地下浸透水の浸透の方法
⑤特定地下浸透水に係る用水及び排水の系統
等が含まれます。
届出後、都道府県等において審査の結果、問題がない場合には、受理書が交付されます。
特定施設(有害物質使用特定施設)を廃止する際の手続き
特定施設を廃止する際、土地の所有者・管理者又は占有者は工場、事業場の敷地であった土地の土壌汚染状況調査を環境省が指定する指定調査機関に調査させ、有害物質使用特定施設を廃止した日から起算して120日以内に調査結果を都道府県知事に報告しなくてはなりません。
土壌汚染状況調査は使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場・事業場の敷地であった土地のすべての区域が調査対象となります。また、一時的であっても有害物質使用特定施設を設置する工場、事業場の敷地であった土地は調査の対象となります。
この土壌汚染対策法に基づく指定調査機関とは、土壌汚染対策法第3条、第4条、第5条及び第16条に基づいて土壌汚染状況調査等を実施することのできる唯一の機関のことです。指定調査機関以外が行う調査は法に基づいた調査とはなりません。指定調査機関は、土壌汚染状況調査等を行うことを求められた時には、正当な理由がある場合を除き土壌汚染状況調査等を行わなければならない義務が課せられています。
土壌汚染の調査は、試料の採取地点の選定、試料の採取方法などにより結果が大きく左右されるため、調査結果の信頼性を確保するためには調査を行うものに一定の技術的能力が求められます。そのため、調査を的確に実施出来る者を環境大臣又は都道府県知事が指定し、土壌汚染対策法に基づく調査を行う者は、当該指定を受けたもののみに限るとともに、指定調査機関について、必要な監督等を行っています。
土壌汚染状況調査は、専門知識と調査技術を有する専門業者に調査してもらうものです。国が土壌汚染対策法に基づく指定調査機関として認定している業者に頼むことで安心出来ます。
・土壌汚染対策法に基づく指定調査機関| 環境省
(https://www.env.go.jp/water/dojo/kikan/)
最後に
特定施設(有害物質使用特定施設)は、土壌や地下水に含まれることが原因で人の健康に被害を生ずるおそれがある特定有害物質を扱う施設であるため、常に特別な注意を払わなければなりません。特定有害物質の管理が適切に行われることで、土壌汚染のリスクを最小限に抑え、健康や環境への悪影響を防ぐことができます。
株式会社エコ・テックの土壌汚染対策工事について
株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承ります。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので土壌汚染に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
参考URL
・有害物質使用特定施設| 環境省
(https://www.env.go.jp/water/chikasui/brief2012/manual/div-main-2.pdf)
・有害物質使用特定施設(排出水なし)| 香川県公式ホームページ
(https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/2198/8_tebiki_yuugai2.pdf)
・有害物質使用特定施設を廃止した場合の手続について| 熊本県ホームページ
(https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/51/156029.html)
・土壌汚染対策法の概要| 環境省
(https://www.env.go.jp/water/dojo/gl_ex-me/pdf/01_chpt1.pdf)
・土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告知、通知)| 環境省
(https://www.env.go.jp/water/dojo/law/kaisei2009.html)
・パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」| 環境省
(https://www.env.go.jp/water/dojo/pamph_law-scheme/index.html)
土壌汚染対策には、様々な手法が存在しますが。その中でも「原位置封じ込め」という手法は特定の状況下で非常に有効です。今回は、土壌汚染対策の原位置封じ込めについてご紹介します。
原位置封じ込めについて
原位置封じ込めは、汚染された土壌をその場で処理する方法の一つです。原位置封じ込めでは、汚染物質を現場から移動させることなく、土壌や地下水への影響を最小限に抑えることを目的とします。目標土壌溶出量を超える汚染状態にある土壌に対して、側面は工事により構築する遮水壁で、底面は遮水性の高い地層(不透水層:透水係数1×10-7m/秒以下でかつ厚さが5m以上、又はこれと同等以上の遮水の効力を有する地層)で、また表面部は舗装措置と同等の構造の覆いで封じ込め、目標土壌溶出量を超える汚染状態にある土壌と地下水汚染の拡散を防止する措置です。
側面も底面部と同等の遮水性が求められており、上部も雨水の浸水を防ぐため、厚さ10cm以上のコンクリート又は厚さ3cm以上のアスファルト層で覆う必要があります。
第二溶出量基準に不適合な土壌に対して、この措置を用いることはできないため、第二溶出量基準に適合するように浄化又は不溶化等の処理を行う必要があります。
原位置封じ込めの完了後は、要措置区域の指定は解除され、改めて形質変更時要届出区域の指定を受けます。原位置封じ込めは、基準不適合土壌が残ることから、措置の完了後も封じ込め効果が適切に維持される必要があります。
封じ込め後は、封じ込め機能を確認するため自然地下水の流向を事前に把握し、封じ込め範囲の下流側において一つ以上の観測井を設け、最低2年間、年間4回以上の地下水の水質の測定を行い、目標地下水濃度を超えない汚染状態にあることを報告する義務があります。
また、内部の地下水位が上昇しないことを確認するため、封じ込め範囲の内部1箇所以上に観測井を設置し、封じ込めの機能が保たれているかどうかを上記と同様の頻度で監視する必要があります。
2年間にわたって上記2点が確認されれば、当該範囲は形質変更時要届出区域となりますが、その後も同様に封じ込めの効果が維持されていることを管理することが望ましく、万が一、遮水壁等の品質の劣化により問題が生ずれば、直ちに修復するか、又は他の措置を講ずる必要があります。
区域内措置優良化ガイドブック(改訂版)| 環境省
(https://www.env.go.jp/content/900539568.pdf)より
原位置封じ込めの対象物質
原位置封じ込めは、すべての汚染物質に適応可能です。なお、第一種特定有害物質と第二種特定有害物質において、第二溶出量基準に適合しない場合は、不溶化等の処理を行い第二溶出量基準に適合させた上で行う必要があります。また、第三種特定有害物質については、第二溶出量基準に不適合の場合は適用できません。
第二溶出量基準に適合させたことを確認する方法
第二溶出量基準に適合しない汚染状態にある土壌には、単独の措置として原位置封じ込めを用いることができません。第二溶出量基準に適合しない汚染状態にある土壌をオンサイト処理や原位置処理等により第二溶出量基準に適合させたことを確認する方法を以下でみていきましょう。
①詳細調査と同等以上の調査により確認する方法
第二溶出量基準に適合しない汚染状態にある土壌のある範囲について、深さ1mごとの土壌を採取し、当該土壌に含まれる特定有害物質の量を測定します。
②掘削除去を行った範囲及び該当土壌を処理したことを確認する方法
第二溶出量基準に適合しない汚染状態にある土壌の掘削範囲、当該汚染土壌の搬出、処理方法等を記録し、工事完了報告書に記載します。
③オンサイト処理された土壌を埋め戻す場合に確認する方法
100 m3以下ごとに、第一種特定有害物質についてはその中の1点から採取した土壌について、第二種及び第三種特定有害物質については5点から採取した土壌を同じ重量で混合し、当該土壌に含まれる特定有害物質の涼を測定します。
原位置封じ込めのメリットとデメリット
原位置封じ込めには、多くのメリットがありますが、一方で課題も存在します。それぞれの特性を理解することが適切な措置を講じるために重要です。
メリット
①コスト効率
汚染物質を現場から移動させる必要がないため、運搬や処分にかかるコストを削減することができます。また、封じ込め施設の建設費用も、汚染物質を取り除く方法に比べて低く抑えることができます。
②時間短縮
原位置封じ込めは、現場で即座に処理が可能であり、他の手法に比べて短期間での対策が可能です。これにより早急な環境リスクの軽減が期待できます。
③環境負荷の低減
土壌の掘削や搬出を行わないため、周囲の生態系に対する影響を最小限に抑えることができます。また、封じ込みに使用される材料も環境に配慮したものを選ぶことで、長期的な環境保護が可能です。
デメリット
①長期的な維持管理の必要性
封じ込め手法は、汚染物質を完全に除去するものではないため、長期にわたって封じ込めの状態を維持するための管理が必要です。バリアの劣化や漏出リスクを定期的に監視する必要があります。
②効果の不確実性
封じ込めの効果は、土壌や地下水の条件に大きく依存します。そのため、封じ込めが長期的に有効であるかどうかを事前に評価することが難しい場合があります。
原位置封じ込めにおける側面の遮水壁の施工方法
側面の遮水壁については、鋼製矢板工法、地中連続壁工法、ソイルセメント固化壁工法、薬液注入工法、高圧噴射撹拌工法等様々な工事方法があります。それぞれどのような工事方法かみていきましょう。
鋼製矢板工法
鋼製矢板工法は、鋼製の板(矢板)を地中に打ち込むことで、土壌を囲い込んで遮水壁を構築します。鋼製矢板は強度が高く、地盤をしっかりと支える能力があり、特に軟弱地盤や水位の高い地域で効果的です。矢板は地盤中で連続的に結合され、水や汚染物質の移動を防ぐためのバリアになります。鋼製矢板工法は、比較的早く施工が可能であり、堅固な遮水壁を構築することができます。
地中連続壁工法
地中連続壁工法は、地中に連続したコンクリート壁を構築する工法です。まず地中に溝を堀り、その中に鉄筋を配置し、コンクリートを流し込んで壁を形成します。壁は地盤に連続して構築されるため、高い遮水性と強度を持ち、特に深い地下や高圧地下水が存在する場所で効果を発揮します。
ソイルセメント固化壁工法
ソイルセメント固化壁工法は、地盤の土壌とセメントを混合して固化させ、連続した遮水壁を地中に形成する工法です。この方法では、まず掘削した地盤にセメントを混ぜ込み、機会を使って土壌を撹拌しながら固化させます。固化させた土壌は、コンクリートに似た強度と遮水性を持ち、汚染物質や地下水の移動を効果的に封じ込めます。ソイルセメント固化壁工法は、施工が比較的安易で、コストも他の工法に比べて低いため広く利用されています。
薬液注入工法
薬液注入工法は、地盤に薬液を注入して土壌を固化・改良する方法です。薬液注入工法では、地中にドリルで穴を堀り、そこに薬液(通常はセメント系の薬液や化学薬品)を注入します。薬液が土壌と反応することで、地盤が固化され、遮水性や強度が向上します。特に複雑な地盤条件や狭い場所で効果的です。薬液注入工法は、施工が柔軟であり、必要に応じて特定のエリアだけを処理できます。
高圧噴射撹拌工法
高圧噴射撹拌工法は、地中の土壌を高圧で噴射されるセメント系スラリーと混合し、固化することで強固な地盤や遮水壁を形成する工法です。高圧噴射撹拌工法では、特殊な機械を用いて地中にドリルを挿入し、高圧でスラリーを噴射しながら土壌を撹拌します。これにより、土壌とスラリーが均一に混ざり合い、硬化後には高い強度と遮水性を持つ改良地盤が形成されます。高圧噴射撹拌工法は、地下水が高い地域や、深い地中での施工に適しており、耐久性と安全性が求められる汚染封じ込め対策として広く利用されています。
最後に
原位置封じ込めは、土壌汚染対策として非常に有効な手法の一つです。土壌や地下水への影響を最小限に抑えます。土壌汚染対策法による措置の完了確認期間は2年間ですが、その後は同様に地下水の水質の測定を行うなどして、封じ込め効果を維持していくことが望ましいといえます。
株式会社エコ・テックの土壌汚染対策工事について
株式会社エコ・テックでは、調査・分析だけでなく対策方法のプランニングや土地の活用方法のご提案まで、土壌汚染の専門家として様々なアドバイスを行っています。土壌汚染にまつわる一連の問題解決に向け、調査から浄化、リサイクルまで、トータルで承りま
解体の記事一覧
目次:
建築解体に関する都道府県の補助金(大阪編)について
- 1. 建築解体に関する補助金について
- 2. 大阪府内の自治体で受けられる解体工事の補助金
- 3. 大阪市で受けられる解体工事の補助金・助成金
- 4. 東大阪市で受けられる解体工事の補助金・助成金
- 5. まとめ
1. 建築解体に関する補助金について
家屋や建物の解体工事には多額の費用がかかることも珍しくなく、施主としては少しでも費用負担を軽減したいと考えることもあるでしょう。そこで活用したいのが補助金や助成金といった制度です。
全国約800の自治体には、耐震化促進事業などの一環として、解体費用を賄うための助成金制度がありますが、この助成金制度がまだ一般的にはあまり知られていないようです。ここでは、現時点で公開されている大阪府の補助金(2024年11月6日時点)について説明いたします。
2. 大阪府内の自治体で受けられる解体工事の補助金
大阪府内で受けられる補助金は下記のとおりです。その他の市町村でも建築解体に関する補助金制度が設定されている可能性があります。詳細は各市町村の公式サイトや担当部署で確認することをお勧めします。
今回はこれらのうち、大阪市と東大阪市の例について紹介します。
大阪市
・建替建設費補助制度(集合住宅への建替え、戸建住宅への建替え)
・狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度
・防災空地活用型除却費補助制度
東大阪市
・空き家解体費補助制度
八尾市
・木造住宅除却補助制度
堺市
・住宅市街地総合整備事業補助金(新湊地区内に限る)
高槻市
・除却工事費の一部補助(木造住宅)
岸和田市
・不良空き家除却事業の募集
和泉市
・老朽危険空家除却補助金について
・木造住宅の除却工事費補助事業について
豊中市
・木造住宅等の除却費補助
3. 大阪市で受けられる解体工事の補助金・助成金
(1) 建替建設費補助制度(集合住宅への建替え、戸建住宅への建替え)
対象となる条件
集合住宅への建て替えで対象となるのは、大阪市内で重点対策地区とされたエリア。戸建て住宅への建て替えの場合は、大阪市内で重点対策地区に加えて対策地区とされているエリアです。
対象となる建て替え前の建築物は、集合住宅に建て替える場合も戸建て住宅の場合も、昭和56年5月31日以前に建てられた住宅です。
建て替え後の要件は、集合住宅への建て替えなら
・敷地面積:100平方メートル以上
・階数:3階建て以上
・住戸規模:35平方メートル以上120平方メートル以下
・空地・緑地の整備:接道部の周辺に敷地面積の5%以上の空地(緑地含む)を設置
戸建て住宅への建て替えなら以下の通りです。
・戸建住宅(耐火建築物、準耐火建築物など)
・住宅部分の面積:50平方メートル以上
・壁面や塀等を道路境界線から0.5m以上後退または接道部周辺に敷地面積の5%以上の空地を確保
補助内容
古いアパートや長屋などを集合住宅であるマンション・アパートに建て替える場合に、設計費や解体費、共同施設の整備費の一部が補助されるというものです。
大阪市では「大阪市密集住宅市街地整備プログラム」が策定され、これに基づいて戸建てや集合住宅への建て替え建設費を補助する制度が施工されたのです。
集合住宅の設計費・解体費・共同施設整備費ともに補助率は2/3以内、戸建て住宅の場合は対策地区なら設計・解体費に要する1/2以内、重点対策地区なら2/3以内です。
(2) 狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度
対象となる条件
大阪市内の「大阪市密集住宅市街地整備プログラム」の、対策地区および重点対策地区と定められたエリアが補助の対象となっています。
対策地区の場合には、以下の条件を満たす建物が、
・幅員が4m未満の道路に面する敷地
・昭和25年以前に建てられた木造住宅
重点対策地区の場合には以下の条件を満たす建物が対象となります。
・幅員が6m未満の道路に面する敷地
・昭和56年5月31日以前に建てられた木造住宅
重点対策地区の場合、店舗や事務所等との併用住宅であれば床面積合計の1/2以上が住宅用とされている必要があるなど、細かな条件も存在します。
補助内容
この制度で補助が適用されるのは、建物の解体および整地に必要な費用だけです。建物内に残っている残存物を撤去するための費用などは、補助の対象外とされているため注意が必要です。
補助率は対策地区の場合、「解体および整地に要する費用」と「大阪市が定める額」の低い方の1/2以内。重点対策地区の場合にはこれの2/3以内までの費用が認められます。
補助の限度額は対策地区の戸建て住宅が75万円/棟、集合住宅なら150万円/棟。重点対策地区なら戸建て住宅で100万円/棟、集合住宅で200万円/棟です。
解体後の敷地の利用目的や用途は問われません。
(3) 防災空地活用型除却費補助制度
対象となる条件
対象となるのは、「大阪市密集住宅市街地整備プログラム」の対象エリアのうち、重点対策地区となっているエリアのみです。
補助が認められるのは、以下の要件を満たす建物です。
・幅員6m未満の道路に面する敷地に存する昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅を解体
・避難に有効な大規模空地や幹線道路に隣接していない敷地
・面積が50㎡以上で、地域の防災性の向上に有効な形状である敷地
・土地所有者等が5年以上の土地の無償使用貸借契約を市と締結
・土地所有者等、地域住民等、市の三者で防災空地の管理等に関する協定を締結
補助内容
木造住宅の解体費用のうち、一部が補助されます。補助率は2/3であり、補助限度額は以下のように決められています。
・戸建住宅:100万円
・集合住宅:200万円
・長屋等の一部解体は100万円
空地の整備費用の場合には、一部である2/3の補助率で補助が受けられます。整備項目は舗装・植栽・防災倉庫の設置・かまどベンチなど。補助限度額は120万円です。
4. 東大阪市で受けられる解体工事の補助金・助成金
(1) 空き家解体費補助制度
対象となる条件
測定基準表において、評点の合計が100点以上の住宅を「不良住宅」とし、職員が随時現地確認してから補助の対象として認めます。
補助を受けるには、以下の8つの要件をすべて満たし、証明する必要があります。
・申請者は1名とし、空家等対策の推進に関する特別措置法第2条第2項に規定する「特定空家等」または、住宅地区改良法第2条第4項に規定する「不良住宅」に該当する空き家を解体する者であること
・申請者が空き家の所有者と異なる場合、もしくは空き家の所有者が複数の場合には、補助金を受けて解体することについて、不利益を受けることになるすべての者から承諾を得ていること。
・補助金の交付決定日までに、解体工事に着手していないこと
・補助金の交付決定日から60日以内に着手すること
・補助金の申請年度内の3月15日または、3月15日が休日の場合は直後の休日でない日までに解体工事の完了報告の提出が見込まれること
・同一物件の解体に関して、本市における各事業の補助金の交付を受けないもの
・解体する空き家に所有権以外の権利が設定されていないこと
・申請者は、暴力団もしくは暴力団員または暴力団密接関係者でないこと
補助内容
周辺の生活環境に悪影響を及ぼしているとされる、「特定空き家等」もしくは「不良住宅」に該当する、危険な空き家を解体する費用を一部補助するものです。
補助金額は以下の3通りの方法で算出した額のうち、最も低い額が補助限度額とされます。
・補助対象空き家の解体に要する費用【業者見積額】(税抜)×補助率(4/5)
・補助対象空き家の延床面積[平方メートル]×単価12,000円
・補助限度額 500,000円/棟
解体工事を完了した後も、敷地が管理不全の状態にならないように自己責任で管理する必要があります。
5. まとめ
解体工事に利用できる補助金の給付額は自治体によって異なるものの、空き家の場合で解体費用の1/5から1/2程度がほとんどです。また、その上限は、平均で20〜100万円の範囲となっている地域が多いようです。
補助金制度の有無はもちろん、対象となる条件、助成率や上限金額には自治体によって大きな差がありますので、詳細は自治体ごとに公式ホームページや窓口で確認してください。
今後、大阪府以外の他の都道府県の補助金についても記事にしたいと思います。本記事の情報をぜひ有効にご活用ください。
株式会社エコ・テックの解体工事について
株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。
全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
解体工事を行う前にすることの一つとして「お祓い」があります。特に日本では、建物や土地に対して神聖な意味を持たせたり、霊的な存在に対する敬意を示す文化が根強く残っています。今回は解体工事前のお祓いについてご紹介します。
解体工事前のお祓いとは
解体工事前のお祓いとは、建物を解体する際に、その建物の土地に宿る「穢れ(けがれ)」や悪霊を清め、解体工事の安全を祈願するための儀式です。日本の神道や仏教においては、すべてのものには魂が宿っているとされ、その中でも長年使用されてきた建物には、特に多くの思い出や感情が蓄積されていると考えられています。
解体工事は、新しい建物を建てるための前段階ですが、古いものを取り除く過程では、何かしらの「けじめ」をつけることが必要です。そのけじめとして、神主や僧侶に依頼して行うのが「お祓い」です。これにより、解体工事に伴う災厄や事故を防ぎ、土地や建物に感謝を示し、新たな始まりへの一歩を踏み出すことができるのです。
お祓いの目的
お祓いの主な目的は、以下の3つに分けられます。
①土地や建物に感謝する
長い間使われてきた建物には、多くの人々の生活や営みが詰まっています。特に自宅などの住宅は、家族の思い出や歴史が深く刻まれており、それらに対して感謝の意を表すことは非常に重要です。解体工事前のお祓いでは、これまで住んでいた建物やその土地に対して、感謝の気持ちを込めて清めの儀式を行います。
②解体工事の安全祈願
解体工事は、大型の重機を使用したり、建物を取り壊したりするため、危険が伴います。そのため、解体工事が無事に終わるように、安全を祈願することもお祓いの目的の一つです。神道では地鎮祭などの儀式を通じて土地や建物を鎮め、事故や災害から守るという考え方が根付いています。解体工事前のお祓いも、これに基づいて行われることが多いです。
③邪気や霊的な影響を取り除く
古い建物や土地には、さまざまな思いが積み重なっているため、時には悪い気や霊的な存在が残っていると考えられます。特に、人が長期間住んでいた場所では、その地に霊的な存在が留まっていると信じられることも少なくありません。お祓いによって、これらの悪影響を取り除き、解体工事がスムーズに進むようにすることが目的となります。
祓いを行うべき場合と行わなくてもよい場合
お祓いを行うかどうかは、必ずしも法律で定められたものではなく、個人の信仰や文化的背景に依存します。以下のような場合には、特にお祓いを行うことが推奨されることがあります。
・土地や建物に対して感謝の気持ちを表したい場合
・長期間使用されてきた住居や商業施設などを解体する場合
・安全な解体工事を祈願したい場合
・霊的な影響や気の乱れが気になる場合
一方、ビジネス施設や工場など、感情的な意味合いが薄い場所の解体工事の場合や、信仰に基づかない場合には、お祓いを省略することもあります。
お祓いを行う上での注意点
解体工事前のお祓いを行う際には、以下の点に注意することが大切です。
①時期とタイミング
お祓いは、解体工事が始まる前に行うのが一般的です。解体工事のスケジュールを確認し、余裕を持って日程を決めることが大切です。また、神社やお寺の都合もあるため、早めに依頼しておくとスムーズに進行できます。
②解体工事業者との連携
解体工事を担当する業者と事前に連絡を取り、お祓いのタイミングや内容を共有しておくことが重要です。場合によっては、解体工事業者が儀式に参加することもあるため、祭壇の設置場所などを確認する必要もあります。
③お供え物の準備
お祓いに必要なお供え物は、神社やお寺によって異なる場合があるため、事前に確認して準備しましょう。お供え物としては、お米、酒、塩、魚や野菜などが一般的ですが、宗教的な慣習に基づいて必要なものが異なる場合があります。
お祓いの流れ
お祓いの儀式は、神主や僧侶によって執り行われ、土地や建物の状況によって若干異なる場合がありますが、基本的な流れは以下のようになります。
①依頼と準備
まず、解体工事を行う前に、地元の神社やお寺にお祓いを依頼します。依頼する際には、解体予定の建物の場所や規模、解体工事の開始日を伝え、適切な日時を相談します。また、儀式の際に必要な道具やお供え物(お米、酒、塩など)を準備することが求められる場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
②お祓いの当日
お祓いの当日には、神主または僧侶が現地に赴き、祈りを捧げます。以下は一般的な神道の解体工事前のお祓いの流れです。
修祓(しゅばつ)
最初に、神主が参列者に対してお祓いを行い、参加者全員を清めます。これにより、心身ともに穢れを祓い、神聖な儀式に臨む準備が整います。
祝詞奏上(のりとそうじょう)
神主が土地や建物に向かって、祝詞(のりと)を奏上します。祝詞は、日本古来の言葉で神々に感謝や祈りを伝えるもので、解体工事の安全と無事を祈願する内容が含まれています。
玉串奉奠(たまぐしほうてん)
玉串奉奠(たまぐしほうてん)とは、榊(さかき)の枝に紙垂(しで)をつけたものを神前に備える儀式です。参列者全員が順番に玉串を奉奠し、土地や建物に対する感謝の気持ちと解体工事の安全を祈ります。
閉式の挨拶
最後に、神主が閉式の挨拶を行い、お祓いの儀式は終わりとなります。
解体工事前のお祓いにかかる時間は1時間ほどです。大々的にやりたい場合・時間をかけたくない場合など希望がある場合はあらかじめ地元の神社やお寺に伝えておきましょう。
解体工事前のお祓いの種類
解体工事前に行うお祓いにはさまざまなお祓いの種類があります。以下で見ていきましょう。
①解体清祓(かいたいきよはらい)
解体清祓(かいたいきよはらい)は、建物の解体工事前に行われる神道の儀式です。長年使われてきた建物や土地には、穢れや霊的な存在が宿ると考えられ、これを清めるために行われます。主な目的は、土地や建物に対する感謝を示し、解体工事中の安全を祈願することです。神主が現地で祝詞を奏上し、参列者が玉串を奉奠するなどして、神聖な場における清めと祈りを行います。この儀式により、土地が再生し、新たな建物が安全に建設されることを願います。
②魂抜き(たまぬき)
魂抜き(たまぬき)は、特に神道や仏教の儀式において行われる、物や場所に宿る霊的な存在を解放し、その穢れを取り除くための儀式です。主に仏壇や神棚のある古い建物や物品を処分する際に行われ、そのものに宿った魂や思い出を丁寧に扱い、感謝の意を示すことが目的です。魂抜きは、対象物が持つ霊的な影響を取り除くことで、新しいスタートを切るための準備とされます。
この儀式では、僧侶や神主が祝詞を唱え、対象物に対する敬意を表します。また参列者が一緒に祈りを捧げることもあります。魂抜きを行うことで、物を手放す際の心の整理ができるとされ、解体工事や遺品の処分など、感情的な意味を持つ場面で行われることが多いです。
③地鎮祭(じちんさい)
地鎮祭(じちんさい)は、新しい建物を建設する際に行われる神道の儀式で、土地を鎮め、解体工事の安全と繁栄を祈願するものです。この儀式は、土地に宿る神々や精霊に対して敬意を表し、解体工事中の事故や災害を防ぐ目的があります。
地鎮祭は通常、建物を建てる場所で行われ、神主が祝詞を奏上し、土地に向かって祈りを捧げます。また、参列者は玉串を奉納し、神々への感謝の気持ちを表します。さらにお供え物としてお米や酒、塩などが用意され、神前に捧げられます。
儀式の後には、土地を掘り起こすことが行われることが多く、これは「地鎮(じちん)」と呼ばれ、実際に解体工事が始まることを象徴しています。地鎮祭は新たな建物の誕生を祝う重要な儀式で、参加者にとっても特別な意味を持つ儀式です。
その他にも井戸を埋める際に、「井戸祓い(いどばらい)」、樹齢の長い樹木を伐採する際に、「樹木伐採清祓(じゅもくばっさいきよばらい)」などがあります。
最後に
解体工事前のお祓いは、単なる儀式ではなく、土地や建物に対する感謝の表れであり、解体工事の安全を祈願する大切なステップです。お祓いを行うかどうかは個々の判断に委ねられますが、長年住み続けた家や、感謝の気持ちを込めたい場所に対しては、その意味を理解し、心を込めてお祓いを行うことで、新たなスタートを切ることができます。
株式会社エコ・テックの解体工事について
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解体工事の現場にはさまざまな掲示物が設置されます。これらの掲示物は、工事現場での安全を確保し、周辺地域の住民や通行人に対して工事の進行状況や注意事項を知らせるものであり、法的に設置が義務付けられている場合もあります。今回は、解体工事の掲示物についてご紹介します。
解体工事の掲示物の目的
解体工事の掲示物は、主に下記の目的で設置されています。
①安全性の確保
解体工事は非常に危険な作業を伴います。重機の使用や高所での作業、さらには建物自体が不安定な状態にあるため、解体工事業者だけでなく、周辺を通行する一般市民にも危険が及ぶ可能性があります。掲示物は、工事の進行状況や安全上の注意点を周知し、無関係な人物が危険区域に立ち入らないよう警告します。
②近隣住民への周知
解体工事は騒音や振動、粉じんなど、周囲に影響を与える要素が多く含まれます。解体工事の開始日や終了予定日、作業時間帯などを掲示することで、近隣住民が事前に対応策を講じたり、解体工事に関する不安を軽減することができます。
③法的義務
建設業法・建設リサイクル法により、一定規模以上の工事現場では特定の掲示物を設置することが義務付けられています。次項で詳しく説明します。
解体工事における掲示物、看板設置の義務
解体工事における掲示物、看板設置は、建設業法第40条・建設リサイクル法第33条によって義務付けられています。そのため、解体工事を行う際は必ず看板を設置しなければなりません。
建設業法は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、公共の福祉の増進に寄与することを目的として作られた法律です。
建設業法第40条
建設業者は、その店舗及び建設工事(発注者から直接請け負ったものに限る。)の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令の定めるところにより、建設業の名称、一般建設業又は特定建設業の別その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
建設リサイクル法は、特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化等を促進するための措置を講ずるとともに、解体工事業者について登録制度を実施すること等により、再資源の十分な利用及び廃棄物の減量等を通じて、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的として作られた法律です。
建設リサイクル法第33条
解体工事業者は、主務省令で定めるところにより、その営業所及び解体工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、商号、名称又は氏名、登録番号その他主務省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
法令検索| e-Govポータル (https://laws.e-gov.go.jp/)より
また、石綿(アスベスト)を含む建築物の解体工事については、建設業法、建設リサイクル法の他にも、大気汚染防止法・石綿生涯予防規則により石綿(アスベスト)の事前調査の内容と撤去作業の実施内容を記載した看板の設置、立入禁止の看板の設置が義務付けられています。
解体工事の掲示物、看板設置についての補足
解体工事の掲示物、看板設置は法律で義務付けられていますが、施主の個人情報は掲示しなくて構いません。解体工事の掲示物、看板では解体工事業者の連絡先掲示は必要ですが、施主の個人情報は掲示する必要がありません。そのため、許可なく個人情報が掲示された場合は確認及び各自治体等へ問い合わせをするようにしましょう。
また、石綿(アスベスト)を含まない解体工事でも、「石綿(アスベスト)を使用していない」旨を記載した掲示物、看板の設置が必要となります。
解体工事現場で見られる主な掲示物の種類
解体工事の現場では、さまざまな掲示物が設置されます。一般的な掲示物の種類と内容について下記でみていきましょう。
①工事のお知らせ看板
「解体工事のお知らせ」などの看板は、工事の内容や日程を知らせるために設置されます。近隣住民や通行人に対して、解体工事がどの程度の期間にわたって行われるのか、さらにどのような工事が行われるのかを伝えるためのものです。この看板には、施工業者名、責任者の名前、連絡先、解体工事の目的、工期などが記載されます。
②安全標識
安全標識は、解体工事現場の安全を確保するために不可欠な掲示物です。「立入禁止」、「ヘルメット着用」などの標識が一般的です。これらの標識は、無関係な人々が危険区域に入らないよう警告するだけでなく、作業員が安全装備を着用することを促す役割も担っています。
③災害対策・避難経路表示
万が一の災害や事故に備えて、解体工事現場には避難経路や緊急時の対応を示す掲示物が設置されることが多いです。これにより、解体工事関係者や現場を訪れた第三者が緊急時に適切に対応できるように準備されます。
④法令に基づく掲示物
前述の通り、建設業法・建設リサイクル法等に基づいて、特定の掲示物を設置することが義務付けられています。例えば、建設工事計画書や解体作業計画書の写しが現場に掲示されることがあります。これにより、法的に求められる基準を満たしていることを確認できるだけでなく、作業内容や工事の進行に関する情報も提供されます。
⑤環境に関する掲示物
特に石綿(アスベスト)やポリ塩化ビフェニルなど有害物質が含まれる建物を解体する際は、その取り扱いに関する掲示が必要です。これにより、解体工事関係者や周囲の住民が適切な対応を取ることができ、健康被害を防止することができます。
解体工事掲示物を効果的に設置するためには
解体工事の掲示物の設置は、単に法的義務を満たすだけではなく、周囲の安全を守り、解体工事のスムーズな進行を促進するための重要な要素です。以下で、解体工事の掲示物を効果的に設置するための方法をご紹介します。
①目立つ場所に設置する
掲示物は、通行人や作業員が容易に見つけられる場所に設置する必要があります。工事現場の入口や主要な通行路沿いに設置し、必要に応じて大きく目立つデザインにすることで、周囲の人々に注意を促すことができます。
②内容を簡潔にわかりやすく表現する
掲示物に記載する情報は、誰が見てもすぐに理解できるように、簡潔かつ明瞭に記述することが重要です。複雑な表現や専門用語は避け、一般的な用語を使用することで、周囲の理解を得ることができます。
③定期的な更新を行う
解体工事の進行状況や予定が変更された場合、掲示物の内容もそれに応じて更新する必要があります。古い情報を掲示したままにしておくと、誤解を招き、トラブルの原因になることがあります。定期的に内容を確認し、必要に応じて修正を行うことが大切です。
④多言語対応を検討する
近年、外国人観光客や労働者が増加している地域では、掲示物を多言語で表示することが推奨されています。英語や中国語など、主要な外国語で情報を提供することで、より多くの人々に安全を確保するためのメッセージが伝わります。
最後に
解体工事の掲示物は、解体工事現場の安全性を確保し、近隣の住民や通行人に情報を提供するために不可欠な要素です。法的義務を満たすだけでなく、周囲への配慮や環境保護の観点からも重要です。正しい設置と適切な管理が行われることで、解体工事のトラブルを未然に防ぎ、円滑に解体工事を進めることができます。
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【参考URL】
・法令検索| e-Govポータル
(https://laws.e-gov.go.jp/)
・特定建設作業の規制について| 大阪府
(https://www.pref.osaka.lg.jp/kotsukankyo/oto/kensetsu.html)