解体工事の過程で、地下に存在する浄化槽や地下室を撤去する場合、これらの空間を埋め戻す必要があります。埋め戻しを適切に行わなければ、大きな穴が開いたままになり、安全上の問題や土地の再利用に支障をきたす可能性があります。今回は、解体工事における埋め戻しについてご紹介します。

そもそも埋め戻しとは

 「埋め戻し」とは、解体工事などで浄化槽などの地中埋設物を撤去した場合や、井戸や地下室の解体工事を行った場合に生じる空間を埋める作業のことを指します。埋め戻しを行わないと、大きな穴が残り、地盤の不安定化や安全上のリスクが生じます。

地下に存在する空間が埋め戻されずに放置されると、地盤が不安定になり、沈下や崩壊のリスクが高まります。地盤の安定性は、後に建設される建物の安全性にも直結します。適切な埋め戻しにより、地盤の安定性を確保し、将来的なトラブルを防ぐことができます。

また、解体工事の目的の一つは、古い建物を取り壊し、その土地を新たな用途に再利用することです。浄化槽や地下室を撤去した後の空間を埋め戻すことで、土地を平らにし、新たな建設や利用が可能になります。これにより、土地の価値が保たれ、効果的な再利用が実現します。

埋め戻しの方法

埋め戻しの方法は、いくつかあります。早速みていきましょう。

①水締め

水締めは、土や砂利などの埋め戻し材料に水を加えて、その材料を締固める作業です。水を撒きながら埋め戻しをします。水を加えることで土粒子が密に詰まり、地盤の強度が増します。また、均等に締め固めることで将来的な地盤沈下を防ぎます。

②締固め

締固めは、締固めは、ローラーやランマーなどの機械を使用して、地盤や埋め戻し材料をしっかりと圧縮して固める作業です。これにより、地盤の強度と安全性を高め、沈下や崩壊を防ぐことができます。浸透性の低い砂や粘土質の土を埋め戻す際に使用される方法です。 

③余盛

余盛は、地盤や埋め戻し作業で行う土の盛り上げを意味します。水締めや締固めの方法で埋め戻した場合でも、埋め戻した土や砂は時間経過とともに収縮し、埋め戻しをした部分の沈下が発生してしまいます。そのため、あらかじめ余分に埋め戻しを行うことを、余盛といいます。

埋め戻し材料の選定

埋め戻しに使用される材料の選定は、地盤の性質や目的によって異なります。埋め戻しに使用されている砂は、金額や性質によってA種からD種に分類されています。また、他にも流動化処理土やセメントミルクがあります。これらについて下記でみていきましょう。 

A種:山砂類

埋め戻しに最もよく使われている材料です。いろいろな場所で採れますが、埋め戻しに最適なのは山にある砂です。安価で使いやすい材料として人気の素材で、予算を抑えたい場合やセメント材を使えない場所などは、利用される頻度が一番高いです。

しかし、山砂類による埋め戻しは、締固めや転圧がうまくできない場合があります。その結果陥没や地盤沈下の原因になるため、山砂類を使用する際は、使う場所を考慮し使用しなければなりません。 

工法は、水締め、締固めが使用されます。 

B種:根切り土(掘った土)の良質土

根切り土は、基礎を作るために地面を掘り下げた際に出る土です。この掘り出された土の中でも、再利用可能な「良質土」は、元の地盤との親和性が高く、コストも抑えることができます。 

しかし、汚染されている土壌のものや、地盤が粘土層や有機物の多い場所ではそのまま埋め戻しを行うことはできないので注意が必要です。 

工法は、締固めが使用されます。

C種:他現場で発生した土の中の良質土

他現場で発生した土の中で、再利用が可能な品質の高い土のことです。他現場から搬入するため、良質土を有効活用することができ、コスト削減、環境負荷の軽減に寄与します。

工法は、締固めが使用されます。

D種:再生コンクリート砂

再生コンクリート砂は、廃棄されたコンクリートから回収し、再利用するために加工された砂のことを指します。コンクリートを粉砕し、砂状に加工して得られます。主にコンクリートの骨材(砂や砕石)が使用されます。 

再生コンクリート砂は、一般的に密度が高く、強度も高いですが、場合によっては環境基準を超えた六価クロムが土壌内に溶け出す恐れがあるため、再生コンクリート砂を使用する場合は、使用する前に六価クロム溶出検査を実施することが義務付けられています。 

工法は、水締め、締固めが使用されます。

流動化処理土

流動化処理土は、工事中に発生した残土に、水とセメントを混ぜた素材です。転圧機械による締固めが難しい場所への埋め戻し工事の際に使用されます。 

しかし、コンクリートのように時間が経つと硬化する性質があるため、やり直しがきかない欠点もあります。

セメントミルク

セメントミルクは、セメントと水を混合して得られる流動性の高い混合物です。それぞれの配合量により、ほぼ同一のものをつくることができるため、工事の進捗や急なトラブルにも対処しやすく、追加が必要になりやすい工事現場や少量だけ埋め戻ししたい場合にも重宝されます。

埋め戻しの流れについて

 埋め戻しの流れは、現場の状況や使用する材料によって異なります。以下で一般的な埋め戻しの流れをみていきましょう。

①調査と材料の選定

埋め戻し作業を開始する前に、現場の地盤や排水状況を調査し、適切な埋め戻し材料と方法を選定します。また、埋め戻しの範囲や深さ、必要な機材や作業時間などを計画します。

②除去作業

解体工事後に残る基礎や地下構造物、地中埋設物を完全に取り除きます。この際、不必要な破片やゴミを取り除き、埋め戻し作業がスムーズに進行するようにします。 

③埋め戻し材料の搬入

選定した埋め戻し材料を現場に搬入します。材料は、必要な量を計算し、過不足なく用意することが必要です。一般的な材料としては、前述の通り、砂や流動化処理土、セメントミルクなどが使用されます。 

④分層埋め戻し

埋め戻しは一度に大量の土を投入するのではなく、薄い層ごとに行うのが一般的です。これにより、均等に締固めすることができ、沈下を防ぐことができます。各層は、通常、200mmから300mmの厚さに対して、しっかりと締固めます。

⑤締固め、水締め

各層を埋め戻した後、ローラーやランマー、プレートコンパクターを使用してしっかりと締固めます。これにより、地盤の強度を確保します。締固めが不十分な場合、将来的に地盤が沈下し、建物やインフラに影響を及ぼす可能性があります。

また、水締めの場合は、水を撒きながら締固めを行っていきます。

⑥排水設備の設置

必要に応じて、排水設備を設置します。これにより、雨水のたまりや浸透による地盤の弱体化を防ぎます。排水設備には、ドレーン管や暗渠排水などが使用されます。 

⑦最終整地

埋め戻しが完了した後、地面を平らに整地します。この際、必要に応じて追加の土や砂利を投入し、最終的な高さや傾斜を調整します。

埋め戻しの注意点

埋め戻しの注意点としては、埋め戻し後の土地が適切に排水されるようにする必要があります。これにより、雨水のたまりや浸透による地盤の弱体化を防ぎます。特に、降雨の多い地域や水はけの悪い土地では、排水計画が非常に重要です。

最後に

解体工事における埋め戻しは、安全性、地盤の安定化、土地の再利用のために欠かせない重要な工程です。適切な材料の選定、分層埋め戻し、締固め、水締め、排水計画など、細心の注意を払いながら作業を進めることで、長期的な安定性を確保することができます。 

株式会社エコ・テックの解体工事について

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