産業廃棄物の中でも最も排出量が多く、全体の4割以上を占める汚泥。汚泥の処理は産業廃棄物処理法に基づいて処理を行わなければなりません。今回は汚泥について述べた後汚泥の処理方法についてご紹介します。

そもそも汚泥とは

汚泥とは、水中に浮遊していた汚れやごみが水の中で底にたまったり、水面に浮かび上がったりして、泥のような物質になるものを指します。汚泥は様々な産業活動から出る水の中に含まれている不要なもので、その処理過程で出てくるゴミや汚れのことです。汚泥は事業活動をするうえで発生するもので、産業廃棄物に分類されます。

汚泥には、大きく分けて2つの種類があります。1つは「有機汚泥」で、これは下水処理場や食品工場、紙・パイプ工場等の主として有機汚濁された排水を処理する設備で発生します。もう1つは「無機汚泥」で、これは土木工事現場や浄水場、金属メッキ工場等の砂や金属などを多く含む無機汚濁された排水を処理する設備で発生します。

要するに、汚泥は泥のようになった汚れた物質やゴミのことです。産業廃棄物であり、汚泥は放置すると雑菌の繁殖や貴金属や有毒性を持つもの、悪臭など衛生面に悪影響を及ぼすため環境を守るためにも適切に処理される必要があります。

種類

特徴

発生場所

有機汚泥

有機汚濁された排水から出る汚泥

下水処理場・食品工場・紙・パイプ工場等

無機汚泥

砂や金属など無機汚濁された排水から出る汚泥

土木工事現場・浄水場・金属メッキ工場等

汚泥処理・汚泥資源化とは

汚泥処理とは、濃縮・脱水・焼却などによって汚泥の容量を減容化し、環境への負担を減らすことです。衛生的で取り扱いやすい状態にするとともに埋め立て処分量を削減する技術です。また、汚泥資源化とは、汚泥をエネルギーや原料に再生利用する技術のことです。

有機汚泥の処分・再生利用

有機汚泥のうち下水処理の過程で発生する下水汚泥は、有機汚泥の中で一番発生量が多いとされています。下水汚泥は、大部分が水分で出来ていますが、固体部分は主に下水処理過程で有機物を分解・同化して増殖した微生物菌体です。そのため水分を適切な方法で取り除くことができれば再生可能な動植物から生まれた有機性の資源、バイオマスとして扱うことが出来るようになります。

下水汚泥に次いで発生量の多い、紙・パイプ工場等から出る汚泥は、脱水後に焼却処分されます。焼却時に発電などの形でエネルギー回収をする場合もあり、焼却灰は、セメント原料や土壌改良材等に利用されます。

食品工場等で発生する汚泥については、他のたい肥の主原料になるような粗大有機物とともに推肥(コンポスト)化されて、たい肥等に再生利用される傾向にあります。

無機汚泥の処分・再生利用

無機汚泥の中で大きな割合を占めるのは、建設汚泥です。建設汚泥とは、建設工事にかかわる建物や道路を作る際に土を掘り起こしたり、水を使って汚れた泥を出したりする、掘削工事という工事から生じる泥状の掘削物及び泥水のことをいいます。建設汚泥の再生利用として焼成・溶融処理することで土木資材とする方法や、脱水・乾燥処理またはセメント等の固化材を添加して安定処理することで盛土材や埋戻し材とする方法があります。

浄水場汚泥は、濃縮・脱水・乾燥した後、埋め立て処分されますが、最近ではこの汚泥をセメントの原料や土として再利用する方法も増えています。

メッキ工場等で発生する汚泥は、以前は埋め立て処分されていましたが、最近ではメッキ汚泥に含まれる金属の回収を目的とした設備の開発・実用化が進んでいます。

汚泥の処理方法について

それでは汚泥はどのように処理すれば良いのでしょうか。汚泥の処理は、汚泥の種類や汚染度によって異なります。基本的には「焼却」や「脱水」により減量化され最終処分が行われますが、種類によっては再生利用(リサイクル)されるものもあります。一般的な汚泥の処理方法を紹介します。

焼却

有機汚泥や一部の無機汚泥は高温で焼却することで処理することが出来ます。汚泥を減量化させるための方法の一つで、脱水し乾燥させた汚泥を焼却炉で燃やす方法です。汚泥を灰に変えて、有害な物質を分解しエネルギーを生み出すことが出来ます。ただし焼却は他の二次廃棄物が出る等環境への影響があるので十分な制御が必要です。

脱水と乾燥

汚泥から水分を取り除いて乾燥させる方法です。これにより汚泥の体積が減少し運搬と廃棄物処分が容易になります。脱水には機械的なプレスや科学的処理が使用されます。

溶融

汚泥を加熱することで減容化や含有物の抽出・無害化を行う処理方法です。溶融処理で発生する溶融スラグは、建設資材などに活用されます。

埋め立て

汚泥を都道府県の認可を受けている埋め立て施設に埋める方法です。この方法は環境に悪影響を及ぼすことがあるため現在では環境への影響を最小限に抑えるために厳格な基準が設けられています。

セメント原料化

汚泥にセメントや他の固化材料を添加して、堅いブロックや板に変える方法です。これにより汚泥の安定性が向上しセメントやコンクリートの原料として再生利用しやすくなります。

造粒固化

主に無機汚泥にセメント系材料や特殊吸水材を混合し土木資材に再生利用する方法です。

推肥化

主に有機汚泥で行われる処分方法の一つで、汚泥を発酵させ推肥原料として再生利用する方法です。推肥化は環境負担が少ない方法ですが処理に時間がかかります。

メタン発酵

主に有機汚泥を微生物の助けを借りて分解し、メタンガスを生産しエネルギー源に用いたりして処分する方法です。また、有機物を分解する段階で発生する液肥は肥料としても活用出来ます。

再生利用出来ない下水汚泥の処理方法について

前項では一般的な汚泥の処理方法について述べました。有機汚泥の中で一番発生量が多い下水汚泥は前項で紹介した再生利用が出来るものもありますが、廃棄物となる場合もあります。下水汚泥を廃棄物として捉えた場合の処理方法を紹介します。

①濃縮

下水処理の過程で不要となって除去された汚泥の濃度を高め、濃縮汚泥とする工程です。濃縮方法は、重力濃縮・浮上濃縮・遠心濃縮の3種類あります。

②消化

嫌気性条件下で汚泥中の有機物を分解することで汚泥の減容化・安定化図る工程です。消化は脱水工程の前に実施されますが省略されることもあります。

③脱水

濃縮または消化した汚泥からさらに水分を除去し脱水ケーキ(固形の汚泥)とする工程です。汚泥の性状や後段の工程との兼ね合いで薬品を添加することもあります。脱水装置には、ベルトプレス脱水機・遠心脱水機・加圧脱水機・真空脱水機・造粒調質式高効率直接脱水法・多重円盤型脱水機・スクリュウプレス型脱水機・電気浸透式脱水機などがあり、機械動力によって圧力をかける方法が多いです。

④乾燥

脱水した汚泥からさらに水分を除去し乾燥汚泥とする工程です。乾燥後の汚泥は含水率が50%程度まで減少しており、肥料・緑地還元・バイオマス燃料等の用途に利用出来ます。

⑤焼却

埋め立て処分のために、乾燥汚泥または脱水汚泥を焼却し、減容化する工程です。焼却時の熱を利用した発電や焼却後の物質の回収を目的とする場合もあります。

⑥最終処分

再利用しなかった汚泥を安全に埋め立てる工程です。サンドイッチ方式やセル方式、額縁方式という方法があります。

参考:汚泥処理・資源化| 環境展望台 国立環境研究所
(https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=75)より

最後に

技術の進歩や環境への意識の高まりにより、汚泥処理と資源化はますます重要になっています。産業廃棄物である汚泥は、汚泥を排出した企業が最後まで責任を持ち処理をしなければなりません。そのため信頼出来る業者に依頼するのが安心です。

株式会社エコ・テックの土壌汚染対策工事について

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参考URL
汚泥処理・資源化| 環境展望台 国立環境研究所 (https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=75)