目次:
建築解体に関する都道府県の補助金(大阪編)について

1. 建築解体に関する補助金について

家屋や建物の解体工事には多額の費用がかかることも珍しくなく、施主としては少しでも費用負担を軽減したいと考えることもあるでしょう。そこで活用したいのが補助金や助成金といった制度です。

全国約800の自治体には、耐震化促進事業などの一環として、解体費用を賄うための助成金制度がありますが、この助成金制度がまだ一般的にはあまり知られていないようです。ここでは、現時点で公開されている大阪府の補助金(2024年11月6日時点)について説明いたします。

2. 大阪府内の自治体で受けられる解体工事の補助金

大阪府内で受けられる補助金は下記のとおりです。その他の市町村でも建築解体に関する補助金制度が設定されている可能性があります。詳細は各市町村の公式サイトや担当部署で確認することをお勧めします。

今回はこれらのうち、大阪市と東大阪市の例について紹介します。 

大阪市

・建替建設費補助制度(集合住宅への建替え、戸建住宅への建替え)

・狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度

・防災空地活用型除却費補助制度

東大阪市

・空き家解体費補助制度

八尾市

・木造住宅除却補助制度 

堺市

・住宅市街地総合整備事業補助金(新湊地区内に限る)

高槻市

・除却工事費の一部補助(木造住宅)

岸和田市

・不良空き家除却事業の募集 

和泉市

・老朽危険空家除却補助金について

・木造住宅の除却工事費補助事業について

豊中市

・木造住宅等の除却費補助

3. 大阪市で受けられる解体工事の補助金・助成金

(1) 建替建設費補助制度(集合住宅への建替え、戸建住宅への建替え) 

対象となる条件

集合住宅への建て替えで対象となるのは、大阪市内で重点対策地区とされたエリア。戸建て住宅への建て替えの場合は、大阪市内で重点対策地区に加えて対策地区とされているエリアです。 

対象となる建て替え前の建築物は、集合住宅に建て替える場合も戸建て住宅の場合も、昭和56年5月31日以前に建てられた住宅です。 

建て替え後の要件は、集合住宅への建て替えなら

・敷地面積:100平方メートル以上

・階数:3階建て以上

・住戸規模:35平方メートル以上120平方メートル以下

・空地・緑地の整備:接道部の周辺に敷地面積の5%以上の空地(緑地含む)を設置

戸建て住宅への建て替えなら以下の通りです。

・戸建住宅(耐火建築物、準耐火建築物など)

・住宅部分の面積:50平方メートル以上

・壁面や塀等を道路境界線から0.5m以上後退または接道部周辺に敷地面積の5%以上の空地を確保

補助内容

古いアパートや長屋などを集合住宅であるマンション・アパートに建て替える場合に、設計費や解体費、共同施設の整備費の一部が補助されるというものです。

大阪市では「大阪市密集住宅市街地整備プログラム」が策定され、これに基づいて戸建てや集合住宅への建て替え建設費を補助する制度が施工されたのです。

集合住宅の設計費・解体費・共同施設整備費ともに補助率は2/3以内、戸建て住宅の場合は対策地区なら設計・解体費に要する1/2以内、重点対策地区なら2/3以内です。

(2) 狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度

対象となる条件 

大阪市内の「大阪市密集住宅市街地整備プログラム」の、対策地区および重点対策地区と定められたエリアが補助の対象となっています。 

対策地区の場合には、以下の条件を満たす建物が、 

・幅員が4m未満の道路に面する敷地

・昭和25年以前に建てられた木造住宅 

重点対策地区の場合には以下の条件を満たす建物が対象となります。 

・幅員が6m未満の道路に面する敷地

・昭和56年5月31日以前に建てられた木造住宅 

重点対策地区の場合、店舗や事務所等との併用住宅であれば床面積合計の1/2以上が住宅用とされている必要があるなど、細かな条件も存在します。

補助内容

この制度で補助が適用されるのは、建物の解体および整地に必要な費用だけです。建物内に残っている残存物を撤去するための費用などは、補助の対象外とされているため注意が必要です。

補助率は対策地区の場合、「解体および整地に要する費用」と「大阪市が定める額」の低い方の1/2以内。重点対策地区の場合にはこれの2/3以内までの費用が認められます。

補助の限度額は対策地区の戸建て住宅が75万円/棟、集合住宅なら150万円/棟。重点対策地区なら戸建て住宅で100万円/棟、集合住宅で200万円/棟です。

解体後の敷地の利用目的や用途は問われません。

(3) 防災空地活用型除却費補助制度 

対象となる条件 

対象となるのは、「大阪市密集住宅市街地整備プログラム」の対象エリアのうち、重点対策地区となっているエリアのみです。 

補助が認められるのは、以下の要件を満たす建物です。

・幅員6m未満の道路に面する敷地に存する昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅を解体

・避難に有効な大規模空地や幹線道路に隣接していない敷地

・面積が50㎡以上で、地域の防災性の向上に有効な形状である敷地

・土地所有者等が5年以上の土地の無償使用貸借契約を市と締結

・土地所有者等、地域住民等、市の三者で防災空地の管理等に関する協定を締結 

補助内容

木造住宅の解体費用のうち、一部が補助されます。補助率は2/3であり、補助限度額は以下のように決められています。

・戸建住宅:100万円

・集合住宅:200万円

・長屋等の一部解体は100万円 

空地の整備費用の場合には、一部である2/3の補助率で補助が受けられます。整備項目は舗装・植栽・防災倉庫の設置・かまどベンチなど。補助限度額は120万円です。

4. 東大阪市で受けられる解体工事の補助金・助成金

(1) 空き家解体費補助制度

対象となる条件

測定基準表において、評点の合計が100点以上の住宅を「不良住宅」とし、職員が随時現地確認してから補助の対象として認めます。

補助を受けるには、以下の8つの要件をすべて満たし、証明する必要があります。

・申請者は1名とし、空家等対策の推進に関する特別措置法第2条第2項に規定する「特定空家等」または、住宅地区改良法第2条第4項に規定する「不良住宅」に該当する空き家を解体する者であること

・申請者が空き家の所有者と異なる場合、もしくは空き家の所有者が複数の場合には、補助金を受けて解体することについて、不利益を受けることになるすべての者から承諾を得ていること。

・補助金の交付決定日までに、解体工事に着手していないこと

・補助金の交付決定日から60日以内に着手すること

・補助金の申請年度内の3月15日または、3月15日が休日の場合は直後の休日でない日までに解体工事の完了報告の提出が見込まれること

・同一物件の解体に関して、本市における各事業の補助金の交付を受けないもの

・解体する空き家に所有権以外の権利が設定されていないこと

・申請者は、暴力団もしくは暴力団員または暴力団密接関係者でないこと 

補助内容

周辺の生活環境に悪影響を及ぼしているとされる、「特定空き家等」もしくは「不良住宅」に該当する、危険な空き家を解体する費用を一部補助するものです。

補助金額は以下の3通りの方法で算出した額のうち、最も低い額が補助限度額とされます。

・補助対象空き家の解体に要する費用【業者見積額】(税抜)×補助率(4/5)

・補助対象空き家の延床面積[平方メートル]×単価12,000円

・補助限度額 500,000円/棟

解体工事を完了した後も、敷地が管理不全の状態にならないように自己責任で管理する必要があります。

5. まとめ 

解体工事に利用できる補助金の給付額は自治体によって異なるものの、空き家の場合で解体費用の1/5から1/2程度がほとんどです。また、その上限は、平均で20〜100万円の範囲となっている地域が多いようです。

補助金制度の有無はもちろん、対象となる条件、助成率や上限金額には自治体によって大きな差がありますので、詳細は自治体ごとに公式ホームページや窓口で確認してください。

今後、大阪府以外の他の都道府県の補助金についても記事にしたいと思います。本記事の情報をぜひ有効にご活用ください。 

株式会社エコ・テックの解体工事について 

株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。

全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。