近年増え続け問題視されている空き家。最終的には地方自治体への確認が必要となりますが、空き家の解体に補助金が出る場合があります。空き家の問題、国による空き家の解体における補助金、地方自治体の補助金制度の一部について述べていきます。
空き家の分類・空き家が増えている理由
空き家は大きく分けて「売却用の住宅」、「賃貸用の住宅」、「二次的住宅」、「その他の住宅」の4つに分類されます。
(1)売却用の住宅…新築・中古を問わず、売却のために空き家になっている住宅
(2)賃貸用の住宅…新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっている住宅
(3)二次的住宅…別荘など普段は人が住んでいない住宅
(4)その他の住宅…1~3以外の人が住んでいない住宅で、転居・入院などで長期不在の住宅や取り壊し予定の住宅など
年々増え続ける空き家!空き家にしないためのポイントは? | 政府広報オンライン (https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202206/1.html#secondSection)より
「売却用の住宅」、「賃貸用の住宅」、「二次的住宅」に関しては売買や賃貸、別荘として使用など管理されていると考えられますが、「その他の住宅」に関してはそのまま放置される可能性が高いとされています。「その他の住宅」に分類される空き家の原因は、核家族化で実家を継ぐ子どもがいない、相続税の負担を考慮しそのままにしているといった面が大きく空き家になっているといえます。
空き家のデメリット
なぜ空き家のまま放置だといけないのかというと、空き家であるだけで土地を所有していることとなり、固定資産税や都市計画税などの税金もかかってきます。一番大きい問題として挙げられるのが近隣に迷惑をかけてしまうことです。家は手入れをしていないと劣化していきます。放置された空き家は、動物が棲み着く・不法投棄される・放火の危険性・不審者や犯罪の危険性や直接的に隣家に影響を及ぼすこととして虫・雑草が生い茂り隣家に侵入し迷惑をかける等が挙げられます。
また、空家法で次の状態が1つでも当てはまれば自治体から「特定空家等」と認められ罰則が適応されることがあります。
「特定空家等」とは
(1)倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態
(2)アスベストの飛散やごみによる異臭の発生など、著しく衛生上有害となるおそれがある状態
(3)適切な管理がされていないことで著しく景観を損なっている状態
(4)その他、立木の枝の境界や棲みついた動物のふん尿などの影響によって、周辺の生活環境を乱している状態
「特定空家等」に認定されると自治体は所有者に適切に管理するよう助言や指導を行い、それでも改善が見られない場合は勧告や命令を行います。所有者が命令に従わなければ最大50万円以下の過料に処される場合があります。(空家法 第14条、第16条)
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「特定空家等」に認定されないためにも空き家には対策が必要です。売買や賃貸、別荘として使用されない「その他の住宅」は、解体することにより空き家でなくすことができます。空き家の解体にはお金がかかりますが、国・地方自治体から補助金が出る場合があります。
空き家対策総合支援事業
空き家対策総合支援事業とは、平成27年施行の空家等対策の推進に関する特別措置法による財政面での支援措置の一つです。空き家や不良住宅の除却、空き家の活用、関連事業など総合的な空き家対策に取り組む市区町村の対象事業に対して、定められた割合での支援を国が行うものです。令和4年度では45億円の予算を費やしています。
補助の対象は、空家等対策計画を策定(実態把握を除く)・空家特措法に基づく協議会を設置するなど地域民間事業者等との連携体制がある市町村となります。すなわち個人への補助金ではなく国から地方自治体へ出る補助金で、個人が補助金を使うには地方自治体への問い合わせが必要となります。
補助率について-空き家対策基本事業
空き家対策総合支援事業内の空き家対策基本事業における空き家除却等の補助は、以下の通りとなります。
○空き家の除却【補助率2/5】地域環境の整備・改善を目的とし空き家を解体する場合、これにかかる費用が補助されます。
- ①特定空家等の除却(行政代執行・略式代執行に係る除却費用のうち回収不能なものを含む)
- ②不良住宅の除却
- ③各種災害により被害が生じた又は被害が見込まれる空家住宅等の緊急的又は予防的な除却
- ④上記以外の空き家、空き建築物の除却であって、除却後の跡地が地域活性化のための計画的利用に供される場合
※崖地や離島など通常想定される除却費と比較して高額となる場合のかかりまし費用も補充
○空き家を除却した後の土地の整備【補助率:直接1/2、間接1/3(かつ市町村の1/2)】
(地域活性化要件が適用されない特定空家や不良住宅等を除却した後の土地を、公益性の高い用途で10年以上活用を行う場合)
○空き家の活用【補助率:直接1/2、間接1/3(かつ市町村の1/2)】
○空家等対策計画の策定等に必要な空き家の実態把握【補助率:1/2】
○空き家の所有者の特定【補助率:1/2】
空き家対策総合支援事業|国土交通省
(https://www.mlit.go.jp/common/001378951.pdf)より
地方自治体別解体における補助金一例
空き家対策総合支援事業において国から地方自治体へ補助金が出ることを紹介してきました。ここからは、地方自治体が個人に対し補助金を出す一例を弊社の本社が位置する東京都港区、本店が位置する大阪府大阪市の地方自治体別に紹介していきます。
①東京都港区
弊社の本社がある東京都港区では住宅の解体に対する補助金は設けられていませんが、「ブロック塀除却・設置工事等支援事業」を設けており、ブロック塀の除却・設置に対して補助金を支給しています。
除却の対象はコンクリートブロック塀、万年塀、大谷石塀、レンガ積塀等で、補助額は6,000円/m以内(除却長さ上限なし)となっています。
②大阪府大阪市
弊社の本店がある大阪府大阪市では解体関連の補助金はいくつかありますが解体に関する補助金について紹介いたします。
(1)古い木造住宅の解体費用を補助する「大阪市民間老朽住宅建替支援事業狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」を設けています。解体の対象は対象地区で昭和25年以前に建てられ敷地が面する道路が幅員4m未満の道路の場所、重点対策地区で昭和56年5月31日以前に建てられ敷地が面する道路が幅員6m未満の道路であること、補助率は対象地区で1/2、重点対策地区で2/3となっています。補助限度額は対象地区で戸建住宅75万円、集合住宅150万円、重点対策地区で戸建住宅100万円、集合住宅200万円となっています。
(2)古い建物を集合住宅(マンション・アパートなど)に建て替える際にかかる費用(実施設計費、工事監理費、解体費、共同施設設備費)の一部を補助する「大阪市民間老朽住宅建替支援事業建替建設費補助制度」を設けています。
除却の対象は重点対策地区に当てられている地区で、補助額は設計・解体に要する費用の2/3以内となっています。
(3)密集住宅市街地における古い木造住宅のさらなる除却促進を図るため、重点対策地区を対象に、木造住宅を解体し、跡地を災害時の避難等に役立つ防災空地として活用する場合の補助制度「防災空地活用形除却費補助」を設けています。
除去の対象は重点対策地区に当てられている地区で、補助額は、木造住宅の解体の場合2/3で補助限度額は戸建て住宅で100万円、集合住宅で200万円となっています。
(4)防災コミュニティ道路沿道での新築・建替えの際の建築・解体費用を補助する「大阪市主要生活道路不燃化促進整備事業」を設けています。
除去の対象は防災コミュニティ道路沿道の敷地で、補助率は建替前の建物の解体費2/3、建替後の建物の設計費及び耐火構造費1/2、セットバックに係る道路整備費1/2となっています。
(5)地震に強い安全なまちづくりを目指すため、耐震診断・耐震改修設計・耐震改修工事・耐震除却工事に要する費用の一部を補助する「民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度」を設けています。耐震改修工事・耐震除却工事の対象は、大阪市内にある民間住宅で平成12年5月31日以前に建築された住宅、申請者の年間所得が1,200万円以下であることなどいくつか条件があり、耐震改修工事の補助率は1/2、1戸あたり100万円まで、耐震除却工事の補助率は1/3、1戸あたり50万円、1棟あたり100万円となっています。
(6)地震の際のブロック塀等の倒壊による人的被害の防止等を図るため、道路等に面した一定の高さ以上のブロック塀等の撤去および軽量フェンス等の新設工事に要する費用の一部を補助する「大阪市ブロック塀等撤去促進事業」を設けています。対象となるブロック塀等は、道路等に面し安全性の確認ができない高さ80cm以上のブロック塀等で、補助金との限度額は撤去が15万円、新設が25万円となっています。
最後に
上記で述べてきた通り、解体における補助金は国が地方自治体に予算を出し、地方自治体によって個人に補助があります。そのため地方自治体により取り組みが異なります。対象地区の制度について地方自治体への確認が必要です。
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参考URL
・年々増え続ける空き家!空き家にしないためのポイントは? | 政府広報オンライン (https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202206/1.html#secondSection)
・空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報|国土交通省
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html)
・空き家対策総合支援事業|国土交通省
(https://www.mlit.go.jp/common/001378951.pdf)
・ブロック塀除却・設置工事等支援事業|東京都港区
(https://www.city.minato.tokyo.jp/taishinkasuishintan/burokkubei.html)
・大阪市民間老朽住宅建替支援事業狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度|大阪府大阪市
(https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/cmsfiles/contents/0000531/531835/zyokyaku.pdf)
・大阪市民間老朽住宅建替支援事業建替建設費補助制度|大阪府大阪市
(https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/cmsfiles/contents/0000531/531918/tatekaer3.pdf)
・大阪市密集住宅市街地重点整備事業(防災空地活用型除却費補助) |大阪府大阪市
(https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/cmsfiles/contents/0000268/268918/bousaikuuchi_hp.pdf)
・大阪市主要生活道路不燃化促進整備事業|大阪府大阪市
(https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/cmsfiles/contents/0000062/62769/boukomi_hp.pdf)
・民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度|大阪府大阪市
(https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/page/0000370839.html)
・大阪市ブロック塀等撤去促進事業|大阪府大阪市
(https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/cmsfiles/contents/0000440/440127/burokku.pdf)