ガイドラインとは
法律の条文は読んでいて、なかなか理解できないことが多いのではないでしょうか。土壌汚染対策法は民法などの古くからある法律と比べると比較的新しく、わかりやすい方ですが、一読しただけでは簡単できないでしょう。そこで環境省はガイドラインを作り、ホームページ上に公開しています。
ガイドラインとは「指針」「指標」といえば抽象的なので「法律や政策を守るための指針」というと幾分か理解度が高まるでしょう。同じような言葉にマニュアルがありますが、こちらは「ガイドラインの指針に従った行動内容、方法」と言えます。一般的には、取り扱い説明書といった方がわかりやすいでしょう。
ガイドラインは土壌汚染対策法をより理解するために作られたものです。これをもとに、各自治体は地域事情に合わせて発表しているので各HPを参照すればいいでしょう。地域の事情に応じた内容になっています。
環境省HPをのぞいてみると…
「土壌汚染対策法 ガイドライン」で検索すると、「ガイドライン・マニュアル等/土壌関係」の項目の中に、それを見つけることができます。そこには「令和4年8月31日に同ガイドライン公開しました」と書かれており、直下には「主な改定事項」とあるので、クリックすると62ページにわたって詳しく書かれています。
今回の同法一部改正では3つのガイドラインが示されています。
・「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改定第2版)」
・「汚染土壌の運搬に関するガイドライン(改定第3版)」
・「汚染土壌の処理業に関するガイドライン(改定第3版)」及び「土壌汚染対策法に基づく指定調査機関の情報開示・業務品質管理に関するガイドライン(新改訂版)」
以下、それぞれをまとめてみます。
主な内容
第1編 土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改定第3版)
第1編は、全体的な見直しが行われ、令和4年8月31日に改訂3.1版が公開されています。主な改訂は次の通りです。
まず、土壌汚染状況調査(法第3条〜第5条)において、汚染のおそれの由来ごとに調査することして、改正後の規定に基づいた調査方法に係る図解等を掲載しています。
中でも、新たに調査の深さ限定できる規定が盛り込まれたことから、深さ限定の考え方について図解で示すとともに、土壌汚染状況調査の結果を報告する際に使える記入シートが掲載されています。
次に、要措置区域について、「汚染除去等計画」の作成・提出が義務付けられ、措置の種類ごとに技術的基準が定められたことから、措置の種類ごとに同計画の記載例が掲載されています。
形質変更時要届出区域における土地の形質変更届出の例外として「臨海部特例区域」に係る規定が設けられたことで、「土地の形質の変更の施行及び管理に関する方針」の確認申請時の手続きや臨海部特例区域に指定された土地に係る運用等について詳しく解説されています。
第2編 汚染土壌の運搬に関するガイドライン(改定第4版)
ここでは、実際に案件に対応する地方公共団体や事業者が汚染土壌の運搬を行う際に参考となる方法が書かれています。
用語の定義や搬出時の届出や計画変更について、運搬に関係する基準、処理の委託義務、法の対象外となる不適合な土壌の処理や運搬方法が記されています。土壌汚染物の運搬には、様々な課題や問題点があるのかが理解できるでしょう。
具体的には、汚染土壌の搬出に関して、特例として「自然由来等形質変更時要届出区域間の移動」及び「飛地間の移動」が規定されているので、これらを搬出する際の届出の記載事項の具体例等が示されています。
第3編 汚染土壌の処理業に関するガイドライン(改定第4版)
処理業の実務に関することがまとめられています。用語や汚染土壌処理業の基本、汚染土壌処理業の許可申請の詳細や法から外れた不適合土壌の処理・運搬に関する構成となっています。
汚染土壌処理施設の種類に「自然由来等土壌利用施設」が追加されて、許可や処理の基準等が規定されていることから、許可申請書における記載内容、処理の方法に係る解説や留意事項等が記載されています。
第4編 指定調査機関に関するガイドライン
調査結果が信用できると証明するために、具体的な指定調査機関に関する情報がまとめられています。
指定調査機関が作成する業務規定の記載事項に「技術管理者による土壌汚染状況調査等に従事する他の者の監督に関する事項」が追加され、その具体的な記載は、技術管理者は1回以上現地踏査した上で、調査計画を策定して、調査結果の内容の確認や評価の最終判断を行うこと等が記載されています。
他に、「土壌汚染対策法に規定する指定調査機関に係る指定等の手引き(平成30年3月版)」の内容がこのガイドラインに統合されています。
以上の4つになります。
要点をまとめると…
・第1編は土壌汚染対策法の概要、土壌汚染の状況調査、要措置区域等の指定方法及びそのルール、実際に汚染を除去する際の措置など
・第2編では、地方公共団体や事業者が汚染土壌の運搬の際に参考となる手引きについて
・第3編は、処理業の実務に関する情報について
・第4編は調査結果が信用できるに足ることを証明するために、具体的な指定調査機関に関すること
Appendixとは
環境省から公開されているPDF版を調べていると、Appendixという言葉を見つけられるでしょう。この意味は、補足、追加、付録のことで、このガイドラインのブログでは解説のことを指しています。
第1編のAppendixでは1.「特定有害物質を含む地下水が到達し得る『一定の範囲』の考え方」をはじめ、27項目377ページにわたってわかりやすく書かれています。
『一定の範囲』とは、「地下水汚染が生じたとすれば規則第30条第1項各号に規定する地点が地下水汚染が拡大するおそれがある当該土地の周辺に該当することとなる場合の考え方(特定有害物質を含む地下水が到達し得る範囲)」のことで、その考え方の詳細が約2ページに書かれています。地下水が到達し得る距離の計算手法などが示されています。
以下2.「地下水の飲用利用等の判断基準」
3.「自然由来による基準不適合土壌の判断方法及びその解説」
4.「地表から一定の深さまでに帯水層がない旨の確認に係る手続」
5.「土壌ガス調査に係る採取及び測定の方法」
6.「地下水に含まれる試料採取等対象物質の量の測定方法」
7.「地下水試料採取方法」
8.「第二種特定有害物質及び第三種特定有害物質に係る土壌試料採取方法」
9.「土壌溶出量調査に係る測定方法」
10.「土壌含有量調査に係る測定方法」
以下、27.「土壌汚染状況調査の対象地の土壌汚染のおそれの把握等(地歴調査)における過去の調査結果の利用」
まで続きます。
ガイドラインの中でも、このAppendixがより実務に近く、業者のみならず、一般住民でも理解できる文章や図式で書かれています。
第2編「汚染土壌の運搬に関するガイドライン(改定第4版)」ではAppendix1.「管理票のしくみ」、2.「区域間移動が可能な要件の確認方法」。
第3編「汚染土壌の処理業に関するガイドライン(改定第4版)」ではAppendix1.「土壌溶出量調査に係る測定方法」など13項目。
第4編「指定調査機関に関するガイドライン」ではAppendix1.「提出書類の様式一覧」など4項目。
以上が補足として付加されています。ページ数の多さに尻込みしそうですが、実践的なAppendixを読んで業者選びの参考にしましょう。
株式会社エコ・テックの土壌汚染対策工事について
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