まず単価表ありき

解体工事の費用がいくらかかるか、おおまかに知るには単価表を見ることです。坪あたりいくら、撤去費用いくらなど明記されており、初めて工事を発注する人にとって便利なツールと言えます。しかし、中には「重機が使えないから工事が数日延びます」「クルマが横付けできないから、追加で費用が必要になります」とか、当初の見積もりが雪ダルマのように増えることも珍しくありません。

そこで単価表を見る前に、読み解く知識を身につけてからでも遅くはありません。工事は安全第一ですが、工事費の見積もりも安全第一に考えましょう。

総費用は?

解体工事費用を算出するには、解体に必要な「1坪あたりの単価」と「延べ床面積」を掛け算すると求められます。大体、坪単価は4〜5万円です。これは普通に工事が進捗して滞りなく終わったケースで、例えば、自動車を購入する際の〝本体価格〟のことと考えていいでしょう。つまり自動車の本革シートなどの〝オプション〟がない状態です。普通、クルマをオプションなしで購入する人は少数派です。同様に解体工事でもプラスアルファとなるオプション分も頭の中に入れておくべきです。

プラス分は「付帯工事費」です。

「解体工事費用」は「1坪あたりの単価」×「延べ床面積」+「付帯工事費」

となります。

ここで注意しなければならないのは、「1坪あたりの単価」に人件費や処分費が含まれているか、どうかです。人件費は工事の状況、例えば重機が道路から搬入できないことがわかった結果、人力で対応することになり、その費用が急きょ追加で加算されることがあります。

解体工事費はいくつかの項目に分けることができます。上記にある「1坪あたりの単価」×「延べ床面積」の式で求められる①「工事費」②廃棄物の処分代 ③養生費 ④重機などの利用代 ⑤車などによる運搬代 ⑥人件費 ⑦書類などの事務手数料 などです。

産業廃棄物の処分費なども「1坪あたりの単価」に含まれるか、どうか確認する必要があります。〝明朗会計〟にしてもらうようにきっちり事前に話をしておくべきです。廃棄物は売却後に見つかるとトラブルの元になりますから。

建物の立地条件によって変わる

○敷地

解体工事は建物の立地条件によっても大きく変わってきます。敷地の広さは言うまでもないですが、その敷地まで重機が運べるトラックが駐車できるか、そして重機が運び込めるのかといった条件をクリアしなければリーズナブルな費用は望めません。

○敷地前の道路形状

最低4tトラックが入れるスペースがないと重機が入れないので割高になります。ガラを運ぶために人の手配をしなければなりません。

それに周辺の状況、特に車の交通量や歩行者の数が多いと警備員(ガードマン)を雇わなければなりません。

○高低差

例えば、敷地内まで階段があったり、上り坂があったり、進入路が狭くなったりして運搬するトラックが長時間駐車することになります。その駐車許可を取りに役所へ行かなければなりません。それだけ費用が膨らむことになります。

○築年数

築年数の浅い場合は頑丈に作っているためです。築年数が長い建物でもリフォームをして強化している場合は、工事者に前もってその旨を伝えた方がいいでしょう。別に重機を発注することになりますが、後々発覚すると余計に工事期間が長くなりかねません。

○地中埋設物

井戸などは完全撤去した方がいいでしょう。地盤沈下の影響を受けたり、後々、訴訟になっては厄介です。

○養生費

都市部は隣の敷地と近いケースが考えられます。最低30センチ以上は必要とされています。30センチ以下なら、手作業での解体になります。

建物の構造によって費用が変わってくる

建物の構造は大きく3つに分けられます。安い順(いずれも1坪あたりの単価)に並べると以下のようになります。

①内装・外装解体

25,000円〜

②木造

30,000円 (25坪まで)
40,000円〜(26坪以上)

③鉄骨

35,000円 (25坪まで)
40,000円〜(26坪以上)

④RC(Reinforced Concrete)

40,000円 (25坪まで)
50,000円〜(26坪以上)

⑤ビル・アパート解体

40,000円〜

以上です。これらは重機が使える場合であって、人力に頼らなければならない環境では追加料金が発生します。1坪平均10,000円増が見込まれるでしょう。

 

次に「付帯工事費」について見てみます。突発的に発生する事案(上記の井戸が見つかったなど)があると工事費はどんどん膨らむ一方です。ある程度考えられる範囲を想定して相談してみましょう。

産業廃棄物の処分

産業廃棄物の処理は当初の見積もりには含まれていません。その都度、業者から別費用を請求されます。敷地がある地域によって費用が決まっています。クーラーなどの家電も処理費用がかかりますが、これは法律に基いて処理されます。自分で処分すれば、余計な支出を抑えられることを頭に入れておきましょう。

ブロック塀などの撤去

ブロック塀などの撤去も見積もりに含まれていないことが多いです。規模にもよりますが、数十万円かかることを見込んでおくべきでしょう。中途半端にせず、完全撤去して後顧の憂いを断ちましょう。

樹木などの撤去

意外と盲点となるのが樹木です。忘れられがちで、「解体作業の邪魔になるから撤去しなければ…」と気づいて、あとから取り除くこともあるようです。例えば、桜の木は根が広く張って人海戦術では取り除くことが難しいものです。そのために重機が〝出動〟すると別途費用がかかります。

文書の届け出

重機を運ぶトラックや作業に伴う道路使用許可など追加でオーダーした分の費用は、事務手数料とは別の請求となります。見積もりの時に決めておきたいところです。4〜5万円を見ておけばいいでしょう。

土間・コンクリート撤去

2,500/㎡〜(大きさ1㎡以上)

ブロック撤去

2,500/㎡〜(大きさ1㎡以上)

物置撤去

5,000/個〜(大きさ10㎝以上)

庭石撤去

10,000/㎥〜(大きさ1㎡以上)

樹木撤去

12,000/㎥〜(大きさ10㎝以上)

残置ごみ撤去

12,000/㎥〜(現地での見積もり)

カーポート撤去

20,000円〜(1台分)

ソーラーパネル撤去

30,000円〜(現地での見積もり)

ウッドデッキ撤去

30,000円〜(現地での見積もり)

アスファルト舗装

1,000円〜/厚み5㎝から

リフォーム箇所撤去

30,000円〜

電化製品

3,000円〜/1台あたり(TV、クーラー、PCなど)

重機運搬費

現地での見積もり

事務手数料

現地での見積もり

費用を賢く抑えるには…

以上、様々な費用を目にしますと「少しでも安く抑えたいな」と思いがちです。ここで発想を切り替えて、費用が高くなる場合を下記に挙げますので参考にしましょう。

その1 築年数は新しいほど高くなる

その2 敷地は広いほど高くなる

その3 隣地との距離が短いほど高くなる

その4 隣接している道路幅は狭いほど高くなる

その5 道路と敷地に高低差があると高くなる

その6 残置物、倉庫、外構などがあると別途処分費用が必要

その7 地中埋蔵物、井戸、浄化槽があると別途処分費用が必要

その8 ガレージの撤去は別途処分費用が必要

信頼できる業者に頼むのがベスト

解体工事費用は文頭に明記した「1坪あたりの単価」✖️「延べ床面積」+「付帯工事費」です。しかし、特に「付帯工事費」はケースバイケースで、あとになって、アレもコレも追加で費用がかさみます。そんな時は頼れる業者に相談するのが一番。〝あいみつ〟を取るのは大事ですが、信頼できる業者にお願いしましょう。

中間マージンを省く

最後に、社会で行われているビジネスの多くに中間業者(例えば卸売業者など)が存在しています。メーカーと購買者の間に立ってマージンを得る代わりに迅速に商品の手配から搬送までこなしてくれるので有難いのですが、価格にマージン分が加算されています。そのため消費者は高めの価格で買わされています。いわば、このマージンがなければリーズナブルに買えるわけです。

解体工事においては、住宅メーカーや不動産会社、元請けが中間業者にあたります。工事を依頼する側は直接、業者とやり取りすればいいでしょう。〝直取り引き〟はルールに反してはいません。一度、検討してみてはいかがでしょうか。

株式会社エコ・テックの解体工事について

株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。

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