大規模建築物の解体作業は、安全性と効率性の両立が求められる高度な工事です。適切な機械の選定と運用は、作業の成功につながる重要な要素となります。特に近年は、環境への配慮や周辺地域への影響を最小限に抑えるため、最新技術を搭載した専門機械の導入が不可欠となっています。本記事では、大規模建築解体に必要な各種機械の特徴や選定基準、効果的な運用方法について、実務的な観点から詳しく解説します。

大規模建築解体に必要な主要機械の種類

出典元:写真AC_ビル建築工事

大規模建築物の解体工事では、建物の規模や構造、周辺環境に応じて適切な機械を選定することが必要です。

解体工事で使用される機械は、主に解体用重機、専用アタッチメント、環境対策機器の3つに大別されます。これらの機械を効果的に組み合わせることで、安全かつ効率的な解体作業が可能となります。

ここでは、各機械の特徴と主な用途について詳しく説明します。

解体用重機(圧砕機・油圧ショベル等)の特徴

大規模解体工事の中核を担う重機は、圧砕機と油圧ショベルです。圧砕機は、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の建物を効率的に解体する専用機械です。

一般的に20トンから50トンクラスの大型機が使用され、1日あたり100150㎥の解体能力を持ちます。超高層建築物の解体に対応するため、最大で30メートルまでのロングアーム仕様も開発されています。

 主力となる油圧ショベルの特徴は以下の通りです。

・標準ブームが長く広範囲の作業が可能

・クローラー式の採用で不整地でも安定した作業を実現

・多彩なアタッチメントに対応し、様々な解体作業に適応 

付属機器・アタッチメントの種類と用途

解体工事の効率と精度を高めるために、様々な専用アタッチメントが開発されています。コンクリート圧砕具は、対応圧縮強度最大50N/mm²の構造物を破砕可能で、建物の部位や目的に応じて複数のサイズを使い分けます。

鉄骨カッターは、最大1100mm程度のH形鋼を切断でき、建物の鉄骨部分を効率的に処理します。

これらのアタッチメントは、解体対象物の強度と規模、作業現場の環境条件、必要な作業精度などを考慮して選定します。また、施工期間と予算に応じて、購入かリースかを判断することも重要です。

環境対策・産業廃棄物処理用機械

近年の解体工事では、環境への配慮が求められます。粉じんの飛散を防止するため、自動制御式の散水システムと微細粉じんに対応する集塵機の設置が標準となっています。特に市街地での解体工事では、以下の環境対策機器の導入が不可欠なのです。

騒音・振動対策機器の性能をまとめると以下の通りです。

・低騒音型重機による騒音低減

・防音パネルによる騒音カット

・制振装置による振動の低減

また、解体材の分別・処理を効率的に行うための破砕機や選別機の性能も、リサイクル率の向上に大きく貢献しています。

解体工事における機械選定のポイント

出典元:写真AC_解体工事

解体工事の成功は、適切な機械の選定から始まります。建物の特性や現場条件を十分に理解し、最適な機械を選ぶことで、安全性の確保とコスト削減の両立が可能です。ここでは、機械選定における重要なポイントについて解説します。

建物規模・構造に応じた機械の選定基準

解体機械の選定では、まず建物の規模と構造特性を正確に把握しておきましょう。高層ビルの解体では、圧砕機のアーム長や作業半径が大事な選定基準となります。30メートル以上の超高層建築物では、特殊な超ロングアーム機や階上からの解体工法に対応した機械を用意しましょう。 

建物の構造種別による選定ポイントをまとめると以下の通りです。

・鉄筋コンクリート造:強力な圧砕力を持つ大型機械が必要

・鉄骨造:切断能力の高い専用アタッチメントが重要

・複合構造:多機能な油圧ショベルと各種アタッチメントの組み合わせが効果的 

周辺環境を考慮した機械構成

都市部での解体工事では、周辺環境への配慮を怠らないようにしましょう。住宅密集地や商業地域では、低騒音・低振動型の機械を優先的に選定します。また、作業スペースが限られる場合は、小回りの利く小型機械と効率的な配置が求められます。

環境配慮型機械の選定では、以下の要素を重視します。

・粉じん対策:高性能な集塵システムを備えた機械の導入

・騒音対策:最新の低騒音型重機の採用

・振動対策:制振装置付き機械の選定

・排ガス対策:最新の環境基準に適合した機種の使用

・搬出入計画:周辺道路への影響を最小限に抑える車両選定

最新技術を活用した解体機械の動向

解体機械の技術革新は日々進化しています。GPSやセンサー技術を活用した施工管理システムにより、作業効率の向上と安全が実現できるのです。また、電動式の解体機械も開発され、環境負荷の低減に貢献しています。

最新の解体機械の特徴をまとめると以下の通りです。

・リモートコントロールシステムによる安全性向上

・AIを活用した最適な解体手順の提案機能

・作業データの自動記録と分析が可能

・省エネルギー性能の大幅な改善

安全管理と効率的な機械運用方法

解体工事の安全性と効率性を確保するためには、適切な機械の運用管理が不可欠です。日常的な点検整備から作業計画の策定まで、管理体制の構築が求められます。ここでは、解体機械の安全で効率的な運用方法について解説します。

日常点検と定期メンテナンスの実施

解体機械の性能を最大限に発揮し、安全な作業を継続するためには、適切な点検とメンテナンスが重要です。作業開始前の日常点検では、機械の基本性能や安全装置の確認を確実に行いましょう。特に油圧系統や駆動部分は重点的にチェックしなければなりません。

重点的な点検項目は以下の通りです。

・油圧システムの漏れや圧力低下の確認

・アタッチメントの摩耗状態の点検

・安全装置の作動確認

・足回り(クローラー等)の状態確認 

また、定期メンテナンスでは、メーカー指定の基準に従って、部品交換や各種調整を実施します。これにより、突発的な故障を防ぎ、工期の遅延やコストの増加を抑えられるでしょう。

作業工程に応じた効果的な機械活用

解体工事を効率的に進めるためには、作業工程に応じた機械の配置と運用がポイントです。事前の作業計画では、建物の構造や解体順序を考慮し、最適な機械の組み合わせを決定します。

複数の機械を使用する場合は、作業効率を最大化できるよう配置を工夫します。また、各工程での作業時間を適切に配分し、機械の待機時間を最小限に抑えることで、コスト効率を高めることができるのです。

安全対策とオペレーターの教育要件

解体工事の安全確保には、十分な技能を持つオペレーターの育成が欠かせません。必要な資格の取得はもちろん、継続的な技能訓練や安全教育を実施することが重要です。

安全管理の基本をまとめると以下の通りです。

・必要な技能講習・特別教育の受講

・現場での安全ルールの徹底

・緊急時の対応手順の確認

・危険予知活動の実施 

特に大型機械を扱う場合は、誘導員との連携や合図の統一など、チームワークによる安全確保が鍵となります。また、天候や視界などの作業条件に応じて、適切な判断ができる経験もあるとよいでしょう。

株式会社エコ・テックの解体工事について

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