解体工事は、建物や構造物を撤去するために行われますが、その際にはしばしば周辺の道路や歩道を使用する必要があります。しかし、道路使用許可を取得することなく工事を行うと、法律違反となります。今回は解体工事における道路使用許可についてご紹介します。
道路使用許可とは
道路使用許可とは何でしょうか?道路使用許可は、道路や歩道を工事や作業で一時的に占用する際に必要な許可です。これは他の利用者の安全や通行の妨げとならないように自治体が管理する公共の道路や歩道を利用する際に必要な手続きです。解体工事は大型の重機やトラックが使用されるため、特に道路使用許可を取得することが重要となってきます。
道路使用許可は、道路を使用する行為の形態によって4種類に区分されます。
①1号許可・・・道路において工事もしくは作業をしようとする行為
②2号許可・・・道路に石碑、広告板、アーチ等の工作物を設けようとする行為
③3号許可・・・場所を移動しないで、道路に露店、屋台等を出そうとする行為
④4号許可・・・道路において祭礼行事、ロケーション等をしようとする行為
解体工事では①の、1号許可が必要となります。
道路使用許可の許可基準
解体工事においても必要となる道路使用許可は、その許可基準についても法律上で定められている規定があります。道路交通法第77条第2項で、以下の①から③のいずれかに該当する場合は、警察署長は許可をしなければならないと定められています。
①現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき
②許可に付された条件に従って行われることにより交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき
③現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき
この3点が道路使用許可の許可基準となっており、いずれかに該当する場合に道路使用許可を取得することが出来ます。解体工事では③の基準が適用される場合がほとんどです。
道路使用許可の申請手続き
道路使用許可が必要な場合は管轄する警察署長の許可(道路仕様の許可行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する2以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの警察署長の許可)を受けなければなりません。円滑に道路使用許可の手続きを進めるために事前に十分な時間的余裕を持っておくことが良いとされています。
道路使用許可の申請に必要な書類は、下記の書類が必要です。道路交通法施行規則第10条に規定されています。
①道路使用許可申請書(2通)
②道路使用許可申請書の添付書類
・道路使用の場所又は区間の付近の見取図
・道路使用の方法又は形態等を補足するために公安委員会が必要と認めて定めた書類
①道路使用許可申請書には、
・道路使用の目的
・場所又は区間
・期間
・方法又は形態
・添付書類
・現場責任者の住所・氏名
を書く必要があります。
道路使用許可を受けようとする道路の場所を管轄する警察署(交通規制係)が申請窓口になります。
道路使用許可と道路占用許可
道路使用許可と似た名前で道路占用許可というものがあります。許可の対象となる道路や目的なのが全く違うものです。道路使用許可と道路占用許可では基になる法律が違います。道路使用許可には道路交通法が、道路占用許可には道路法が定められています。
そのため、「道路」として扱われるものも違ってきます。道路交通法で道路として扱われているのは、
①道路法第2条第1項に規定する道路
一般交通の用に供する道で、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道をいいます。
②道路運送法第2条第8項に規定する自動車道
専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で①以外のものをいいます。
③一般交通の用に供するその他の場所
①、②以外で不特定の人や車が自由に通行することが出来る場所をいいます。(不特定の自由な通行が認められている私道、空地、広場、公開時間中の公園内の道路等)
道路法で道路として扱われているのは、
①高速自動車国道
②一般国道
③都道府県道
④市町村道
この4つで、いわゆる公道として扱われる部分で私道、空地等は含まれません。道路占用許可は、この4種類の道路で行う場合、それぞれの道路管理者に対して必要となるものです。
つまり、人や車が自由に通行出来るところであれば、ほとんどが道路使用許可の対象になります。
事前協議とは
事前協議とは、道路使用許可の許可取り扱いに食い違いが生じないように、使いたい道路を管轄する警察署長へ事前に打ち合わせを目的とした連絡を行うことをいいます。事前協議では、道路使用許可を申請する作業者が使用したい道路を管轄する警察署に赴いて具体的な話し合いを行うため食い違いが起こらず、どのような目的で道路を使用するのか、どこからどこまでの範囲を使用するのか等を話し合うことが出来ます。解体工事や作業内容において必要な日数分の許可が下りるのか、初めて道路使用許可の申請をする場合は事前協議を行って警察署からアドバイスを受けることで不安を解消することが出来ます。
情報共有、リスク管理、効率の向上、信頼関係の構築などメリットがあります。
道路使用許可の申請についての注意点
解体工事において道路使用許可は誰が行うのかという点についてですが、道路使用許可の申請は道路交通法で「作業者」が行うと定められているので業者がおこなうことになっています。基本的には業者が行うものですが、施主が自身で道路使用許可の申請を行うことも出来ます。ただし、解体工事を行う場合は道路使用許可の他にも様々な申請が必要となるため、業者に任せることが無難です。
道路使用許可には使用期限があります。道路使用許可を申請する際にいつからいつまで道路を利用するという形で期限を定めなければなりません。それにあわせて警察署側からも許可が出ます。期限は作業に必要最低限の期間で許可が出ます。希望した期間許可が出るわけではないので注意が必要です。また使用期限の長さに関しては申請内容や許可の種類、都道府県によっても変わってきます。道路使用許可の申請をした期間を1日でも過ぎて道路を使用した場合は、道路交通法によって厳しく処罰が下ることになるのでこちらも注意が必要です。道路使用許可を申請せず道路にはみ出して作業をした場合や期間を1日でも過ぎて道路を使用した場合は、道路交通法119条に違反する行為として3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられる場合があります。
道路使用許可は解体工事の何日前までに申請すればいいかというと、2週間程度かかるとみておいた方が良いといえます。道路使用許可は申請してすぐ許可が下りるものではありません。申請してから許可が下りるまでの期間は、警察署によって変わりますが大体10日程度だとされています。そのため、道路使用許可を申請する場合は余裕をもって2週間程度かかるとみておくのがよいといえます。
道路使用許可の期間は、解体工事や作業に必要最低限の期間を考えて決めなければなりません。道路使用許可を出すことで一般の人や車両が自由に通行出来なくなるため、長期間にわたって出すことは避けなければなりません。
最後に
解体工事における道路使用許可は、工事の安全性や周辺環境への配慮を示す重要な手続きです。適切に取得し、許可に基づいて解体工事を進めることで法的なトラブルや近隣との対立を避けることが出来ます。道路使用許可の取得をし、安全かつ円滑な解体工事を行う業者を探すことが重要です。
株式会社エコ・テックの解体工事について
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参考URL
・道路使用許可の概要、申請手続等 | 警察庁
(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/seibi2/shinsei-todokede/dourosiyoukyoka/permission.html)