解体工事って?

ひとくちに解体工事といっても建物の規模や業者によって様々。見積もりをとってもらっても、なかなか納得できないので、他でも見積もりを…というのが、ごく一般的なことでしょう。まず、工事の内訳を知り、詳しく掘り下げることから始めましょう。

大きく分けると、以下のようになります。

①家屋、建物調査

②建物全てを解体する

③建物の一部を解体する

④建物の内装を解体する

 

解体工事費だけではなく、諸費用がかかります。その内訳をしっかり把握することで、賢く見極めることが肝要です。

続いて、4つの項目について詳しくみていきます。

①家屋、建物調査

意外と見過ごされるのが、この事前調査。工事が始まってから近隣から「玄関前にひび割れができた」「家の柱が傾いて、戸が閉められなくなった」と解体工事の振動によるものだと訴えてきてトラブルになるケースがあります。近隣に工事前に事前の挨拶をすることはありますが、誰も工事の影響が周辺に及ぶなど思ってもいません。しかし、えてして起きることがあります。養生シートを準備することも必要です。そのために事前に調査をしておくのがベストでしょう。

工事開始前と後の状態を比較できるように写真撮影をしておけばいいわけです。のちのち裁判に発展しかねないので念には念を入れておくのがいいでしょう。

土地家屋調査士に依頼する方法がありますが、一般的には解体業者に調査、書類の作成を依頼することが多いようです。大規模集合住宅や工場といった建物を解体する場合は特に必要でしょう。

なお、大気汚染防止法が改正され(令和265日施行)、令和441日以降に着工する一定規模以上の建築物等の解体、改造、補修工事について、アスベスト(石綿)に関する事前調査の結果報告が義務付けられているので、注意が必要でしょう。

 

ここで解体工事について触れる前に、予備知識として「建物リサイクル法」について解説します。この法律は、平成12531日に制定されました。

解体というと、廃材を分別することなく取り壊す「ミンチ解体」と思い浮かべるでしょう。一般家庭でゴミを分別して出すように、解体作業においても同じことなのです。

建設リサイクル法とは「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」が正式な名称です。廃棄物の発生量が大きく増え、最終処分場が逼迫した結果、不法な投棄が相次ぎ、社会問題化していた頃、解決策として制定されたのがこの法律です。資源の有効活用いわば廃棄物の再資源化を行い、再利用していくことが制定理由です。

建設リサイクル法では、特定建設資材(コンクリート、アスファルト・コンクリート、木材)を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって一定規模以上の建設工事(対象建設工事)について、その受注者等に対し、分別解体等及び再資源化等を行うことを義務付けています。

依頼主は、工事に取り掛かる7日前までに、以下の書類を自治体へ届ける必要があります。

・分別解体を行う届出書
・工事の進め方を記載した分別解体等の計画書
・解体工事現場を示した地図
・設計図や写真など
・配置図
・解体工事全体の工程表

以上のことを頭に入れておきましょう。

建設リサイクル法ができてから、ミンチ解体で短期間で工事を終えることはできなくなりました。違反して不法投棄した場合は「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」と重罰が課せられます。

依頼する側としては、同法にある「解体工事業者の都道府県知事への登録制度」が確立されているので、専門業者に依頼するのが望ましいでしょう。

②建物全てを解体する

廃材を分別することに加えて、工事中に地中から廃材が出てきた場合は「地中埋設物」として扱われ、瑕疵(かし)担保責任(見ただけでは発見することが難しい欠陥や不具合)を問われることになります。工事中では注意が必要となります。

そして主流の「分別解体」についてです。分別解体は建物面積80㎡を超える解体工事に義務付けられている方法です。

施行方法は以下の4つです。

・事前調査の実施
・事前調査に基づく分別解体等の計画の作成
・工事着手前における作業場所の確保、搬出経路の確保、残存物品の搬出、付着物の除去等の事前調査の実施
・工事の施行

以上になります。

建物の周囲に足場を組み、建材ごとに分別をしながら進めていくため、工期はミンチ解体と比較して長くなる傾向にあります。それにマニュフェスト(産業廃棄物管理票)が必須になっています。分別をおろそかにはできませんので仕方がないでしょう。

分別解体等基準に従って、その建築物等に使用されているコンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、コンクリート・アスファルトを現場で分別することが必要となります(大阪府ホームページより)。

③建物の一部を解体する

建物の減築や長屋のみを解体するといった「建物の一部を解体」には、「はつり作業」があります。「はつり作業」とは、主にコンクリートで作られた壁や土間などを壊したり、形を整えるために表面を鑿(のみ)を使って表面を削ることです。人手で行いますが、建物によっては油圧式のアタッチメントを使うことがあります。建物の構造に手を加える訳ではないので低コストで行えます。

専門的高度な技術が必要です。騒音が発生することもあり、業者選びは慎重にすべきです。

④建物の内装を解体する

店舗、事務所の撤退やリフォームなど内装を解体する場合は、総称して「建物内装解体」と言います。間の仕切り1枚を撤去するだけでも内装解体工事になります。壁や天井などの構造物を除いた内装がその対象と考えます。

照明器具や持ち込んだ椅子などは撤去して原状に戻さなければなりません。ビルやテナントの場合、営業時間が影響して作業時間が限定されるので注意しましょう。

「建物内装解体」は期日が短く、広さによりますが数日間で工事が完了することです。室内の作業ですので、台風などの悪天候でも作業が順調に進められます。作業費用が低く抑えられることもメリットでしょう。

ただ、壁などからアスベストなどの廃棄物が出ると産業廃棄物として処理しなければならないのでコストがかかってしまうのが難点でしょうか。

対して「スケルトン解体」は建物の構造物以外の内装を全て原状回復することを指します。英語であるスケルトンの意味は「骨組み」。建物の「骨組み」いわば“中身”を解体することです。仕切り、天井、壁、床を撤去するだけではありません。原状回復ですから、入居時の状態に戻さなければなりません。

建物の構造自体を解体する訳ではないので、トラブルに発展することが少ないでしょう。しかし、建物を補強する必要がある場合は費用がかさむことになります。

いろいろある解体工法

最後に、簡単に工法について触れておきます。大きく分けて、木造と鉄骨もしくは鉄筋コンクリートとなります。

木造の場合は重機による「機械による解体」、はつりなどの手作業が必要な「手壊しによる解体」があります。

大きな建築物は「機械による解体」が中心となりますので、重機を搬送してもらわなければなりません。その輸送にかかる費用を見積もっておかなければなりません。解体する建物が狭い路地にあると重機を運ぶ車が入れず、「手壊しによる解体」も併せて考えておく必要があるでしょう。

鉄骨物の場合は、対象物が木造よりも頑強なので、日数を要しコストが高くつきますが、鉄筋よりはコストは安いです。工法にはアタッチメントを使ってコンクリートを圧砕する「圧砕機工法」、カッターがついた機器が移動しながらコンクリートを切断する「カッター工法」、杭やノミを機器の先端に取り付けて連続して打撃することで破砕する「ブレーカー工法」、他に柱や壁を倒してから解体する「転倒工法」があります。

解体工事の内訳は以上になりますが、厳密に言うと敷地内の廃棄物や物品の撤去も工事に含まれます。

株式会社エコ・テックの解体工事について

株式会社エコ・テックでは、家屋、建物の事前調査から解体計画の作成だけでなく、解体工事の専門家として様々なアドバイスを行っています。全国(東京・名古屋・大阪・岡山・福岡等)で、無料相談・無料見積もりを実施しておりますので、解体工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。