解体業を始めるには、「建設業許可」または「解体事業者の登録」が必要です。また、工事内容によって必要な許可申請が異なるため、注意が必要です。
建設業許可の対象となる建設業の種類
建設業許可を必要とする業種は以下29種類の業種があります。
・土木工事業:総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事
・建築工事業:総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事
・大工工事業:大工工事、仮枠工事、造作工事
・左官工事業:左官工事、とぎ出し工事、吹付け工事、モルタル左官工事
・とび、土工工事業:とび工事、機器・重量物の運搬配置工事、鉄骨組立て工事、掘削工事、くい打ち工事、コンクリート打設工事
・石工事業:石積み石張り工事、石材加工工事、コンクリートブロック積み張り工事
・屋根工事業:瓦屋根ふき工事、スレート屋根ふき工事、金属薄板屋根ふき工事
・電気工事業:発電設備工事、送配電線工事、変電設備工事、構内電気設備工事
・管工事業:ガス管配管工事、給排水工事、冷暖房設備工事、空気調和設備工事
・タイル・れんが・ブロック工事業:コンクリートブロック積み張り工事、レンガ積み張り工事、タイル張り工事
・鋼構造物工事業:鉄骨組立て工事、橋梁上部工事、鉄塔工事
・鉄筋工事業:鉄筋加工組立て工事、ガス圧接工事
・舗装工事業:アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事
・しゅんせつ工事業:河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事
・板金工事業:板金加工取付け工事、屋根かざり工事
・ガラス工事業:ガラス加工取付け工事
・塗装工事業:塗装工事、溶射工事、布はり仕上工事
・防水工事業:アスファルト防水工事、モルタル防水工事
・内装仕上工事業:天井仕上工事、壁はり工事、床仕上工事 たたみ工事
・機械器具設置工事業:昇降機設置工事、プラント設備工事
・熱絶縁工事業:冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事
・電気通信工事業:電気通信線路設備工事、電気通信機械設置工事、放送機械設置工事、データ通信設備工事
・造園工事業:植栽工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事
・さく井工事業:さく井工事、温泉堀さく工事、さく孔工事、揚水設備工事
・建具工事業:サッシ取付け工事、金属製建具取付け工事、木製建具取付け工事
・水道施設工事業:取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事
・消防施設工事業:屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事
・清掃施設工事業:ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事
・解体工事業:工作物解体工事、家屋解体工事
建設業許可が必要なとき
500万円以上の工事をする場合には、建設業許可が必要となりますので、500万円未満の工事であれば建設業許可は不要です。
ただし、建築一式工事(家を丸ごと一軒、ビルを一棟建てる工事や大規模な増改築工事をする業種)については建設業許可が必要な基準が500万円ではなくなります。
この500万円がどこまで含まれるかということですが、塗料や木材、エアコン、太陽光パネルなども工事金額に含まれ、かつ消費税込みとなります。また、施主や元請から材料を支給されたという場合であっても、その材料費も含め500万円となります。
建設業許可基準が例外である建築一式工事の場合は、税込1,500万円未満の請負金額になるか、または、金額に関係なく木造住宅建築で延床面積が150平米未満になるかのいずれかに該当した場合に建設業許可が不要となります。
建設業許可の種類について
建設業許可には以下の種類があります。
①国土交通大臣許可
建設業を営業する事務所が複数あって、なおかつ2以上の都道府県にまたがっている場合は、国土交通大臣許可が必要となります。しかし、営業所が複数あったとしても建設業については本店でしか営業しない、ということであれば知事許可でも問題ありません。商談や見積、契約にあたる行為が営業にあたり、それを行う場合は許可を取った営業所でしか行えませんが、建設現場に関しては日本国内のどこで行っても良いとされています。大臣許可に関しては申請受理後120日というのが処理期間として定められており、実際にはそれほどかかることは少ないですが、早くても2ヶ月~3ヶ月程見といたほうがいいです。
②知事許可
営業所が一つの都道府県内にのみある場合は知事許可となります。営業所が複数あったとしても、すべて同じ都道府県内にある場合は知事許可となります。許可取得に関しては、県によって異なりますが、申請受理後30~45日程度で許可がおります。
③特定建設業許可
元請として工事を受注し、その工事のうち4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)を下請けに発注する場合に必要となります。また、特定建設業許可を得るためには、資産要件をクリアする必要があります。まず、資本金が2,000万円以上で自己資本が4,000万円以上なければなりません。会社を設立してすぐに特定建設業許可が欲しい場合は、4,000万円以上の資本金で設立しなければなりません。その他、流動比率75%以上、欠損額が資本金の20%以下という基準があります。これらの資産に関しての要件は一度クリアしたらOKというわけではなく、5年経過ごとの許可更新の際にも必ずこの条件を満たしておかなければなりません。
④一般建設業
特定建設業許可以外の場合は一般建設業となります。特定建設業許可については、元請の場合に判断されるだけなので、下請工事であればどんな工事であっても、どんな受注金額になっても、一般の建設業許可で事足りるということになります。
解体工事事業登録について
以下の建設業許可を受けている場合、登録は不要となります。
・土木工事業 ・建築工事業 ・解体工事業
上記の許可を受けていない場合は、解体工事業登録が必要となります。
解体工事業を営む方は、元請・下請の別にかかわらず登録が必要であり、解体工事を行う現場ごとの都道府県知事の登録が必要です。解体工事業の登録で請け負うことができるのは、軽微な工事(請負代金の額が500万円未満(税込み)の工事、ただし、建築一式工事にあっては、請負代金の額が1,500万円未満(税込み)の工事又は延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事)に該当する解体工事のみです。軽微な工事に該当しない解体工事を請け負うためには、建設業の許可が必要です。
解体工事業登録を受けるための要件
以下のいずれかに該当する技術管理者を選任していることとされています。
1.以下のいずれかの資格を有する方
①建設業法による技術検定
・1級建設機械施工技士
・2級建設機械施工技士(「第1種」又は「第2種」に限る)
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士(「土木」に限る)
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士(「建築」又は「躯体」に限る)
②建築士法による建築士
・1級建築士
・2級建築士
③技術士法による第二次試験
・技術士(「建設部門」)
④職業能力開発促進法による技能検定
・1級とび・とび工
・2級とび+解体工事実務経験1年
・2級とび工+解体工事実務経験1年
⑤国土交通大臣の登録を受けた試験
・国土交通大臣の登録を受けた試験に合格した者
2.以下のいずれかの解体工事に関する実務経験を有する方
①大学、高等専門学校において土木工学等に関する学科を修了した方
実務経験2年以上、国土交通大臣が実施した講習又は登録した講習を受講した場合の実務経験年数1年以上
②高等学校、中等教育学校において土木工学等に関する学科を修了した方
実務経験4年以上、国土交通大臣が実施した講習又は登録した講習を受講した場合の実務経験年数3年以上
③上記以外の方
実務経験8年以上、国土交通大臣が実施した講習又は登録した講習を受講した場合の実務経験年数7年以上