
解体工事では、建物を撤去する過程で様々な埋設物が発見されることがあります。これらの埋設物は、解体工事の進行に影響を及ぼすだけでなく、安全管理や法的な対応も求められる場合があります。今回は、解体工事中に発見される埋設物への対応方法についてご紹介します。
解体工事における埋設物について
埋設物とは、土壌や地下に埋められた各種の物質を指します。これらは建物やインフラの一部として配置されており、解体工事中や解体工事後に見つかることがあります。
以下でどのような埋設物の種類があるのかみていきましょう。
建物基礎
これから解体しようとしている建物以前の建物基礎が残っている場合があります。建物基礎は解体工事に伴い取り崩し処分して更地にしなければなりません。
井戸や浄化槽
井戸や浄化槽は、これから解体しようとしている建物以前にそのまま放置されたり埋め戻されたりしている場合があり地中埋設物となっている場合があります。
瓦やコンクリートガラ
瓦やコンクリートガラは最も多く見つかる地中埋設物の一つです。瓦やコンクリートガラは建築廃材と呼ばれます。これから解体しようとしている建物以前に建築廃材を撤去していれば地中から見つかることはないのですが、ずさんな解体工事など地中に埋めてしまっていると、解体工事の際に見つかることがあります。
岩
地中から岩が発見される場合はほとんどが自然発生です。重機などを使って掘り起こしをしていると見つかることがあります。
地中埋設配管・ケーブル類
電気・ガス・水道・通信ケーブルなどが地中に埋設されていることがあります。これらが撤去されずに残っていると、解体工事中に損傷を受ける可能性があり、事故につながる恐れがあります。
産業廃棄物
過去に埋められた建築廃材や生活ゴミ、産業廃棄物が地中から見つかることがあります。特に石綿(アスベスト)を含む廃棄物や有害物質を含む廃棄物が発見された場合は、適切な処理が必要です。
地歴に関わる埋設物(文化財・遺跡)
特に歴史のある地域では、遺跡や文化財が埋まっていることがあります。こうした埋設物が発見された場合、文化庁や自治体に報告し、発掘調査の許可を得る必要があります。
未爆弾・危険物
戦時中の爆弾やガスボンベなどの危険物が埋まっている場合があります。これらが発見された際には、すぐ警察や専門機関に連絡し、適切な対応を取る必要があります。
なぜ埋設物の撤去が必要なの?
埋設物の撤去は、主に安全性の確保、法的遵守、土地の有効活用の観点から重要です。地中に残された埋設物は、解体工事や建築の際の障害となるだけでなく、事故の原因となる可能性があります。例えば、古いガス管や電気ケーブルが破損すると、ガス漏れや感電事故の可能性がありますし、未爆弾や有害廃棄物が埋まっている場合、それらが発見されずに掘削された際に大きな危険を伴います。
また、埋設物の中には、産業廃棄物処理法、文化財保護法、労働安全衛生法などの法律で適切な処理が義務付けられているものがあります。例えば、遺跡が発見された場合は発掘調査が必要となり、不法投棄された廃棄物を撤去しないと罰則を受ける可能性があります。
そして、建物の基礎や埋設物が残ったままでは、解体工事後の新しい建築物の施工が困難になります。土地の価値を最大限に活用するためにも、埋設物を除去し、適切な整地を行うことが必要です。
このような理由から、埋設物の撤去は解体工事の円滑な進行と安全な環境の確保のために欠かせない作業です。
解体工事を行う前に埋設物の有無を確認する事前調査をしよう
解体工事を行う前に、埋設物の有無を確認するための事前調査を行うことが重要です。
調べる方法として、①地歴調査、②非破壊検査、③ボーリング調査の3種類あります。下記でみていきましょう。
①地歴調査
地歴調査とは、地中に埋設された物質や施設の歴史的な文書や図面、記録を収集し、それを基に現地での調査を行うプロセスです。歴史的な地図や建設プラン、建物の設計図などの資料を参照し、地中埋設物の位置や性質を把握します。地歴調査によって、地中埋設物の種類や用途、過去の変更点などが明らかになり、調査の方針や計画を立てる上で重要な情報源になります。3種類の調査方法の中で一番手軽に行うことが出来ます。
②非破壊検査
非破壊検査とは、地中埋設物を損傷せず調査するために使用され、主に地中の状態や位置を確認するプロセスです。非破壊検査の中でも地中レーダー探査が一般的です。地中レーダー探査は、高周波の電磁波を地中に送りこみ、その反射パターンを解析して地中埋設物を検知します。地中レーダー探査は、非常に迅速で地下の異なる密度の物質を区別することが出来ます。実際の現場に行って調査する点から地歴調査と比べてより実践的な調査方法です。地歴調査・非破壊検査の両方を組み合わさることにより地中埋設物を見つける精度が高くなります。
③ボーリング調査
地歴調査、非破壊検査を経て、地中埋設物がある可能性が高い場合に、ボーリング調査が行われます。ボーリング調査では地中に直径の異なる穴(ボーリング)を掘り進め、その穴に挿入された試料を分析することで地下構造を詳細に調査します。土壌汚染を発見するのにも有効です。地中埋設物がある場合、ボーリング調査を通じてこれらの情報を得ることが出来ます。
解体工事中に発見される埋設物への対応方法
解体工事中に埋設物が発見された際には、以下のような手順で対応することが推奨されています。
①埋設物の発見時には作業を停止する
解体工事の安全を確保するため、埋設物が発見された時点で作業を一時停止します。埋設物には、有害物質を含むものやガス・電気などのインフラ設備、さらには未爆弾などの危険物が含まれている可能性があります。無理に作業を続けると、爆発や感電、ガス漏れによる中毒などの重大な事故につながる恐れがあるため、直ちに作業を停止する必要があります。
②発見された埋設物の状況の確認と記録を行う
発見された埋設物の詳細を確認し、記録を行います。埋設物の記録には、以下の項目を含めることが推奨されています。
・発見日時
・発見場所
・埋設物の種類
・埋設物の状態
・周辺環境の確認
③専門機関への報告と相談
埋設物の状況の確認と情報を記録した上で、関係者と共有し適切な対応を協議します。埋設物の種類によっては、専門機関への報告が必要になる場合があります。例えば、電気・ガス・通信ケーブルの場合は、各インフラ事業者へ連絡し対応を依頼する必要があります。また、文化財が発見された場合は、自治体の文化財課へ報告し、発掘調査の指示を受けなければなりません。
④適切な処理・撤去作業の実施
埋設物の記録と報告が完了した後は、適切な処理方法を決定し、安全に埋設物の撤去作業を進めます。産業廃棄物や有害物質を含む埋設物は、法令に基づいた処理方法で適切に処分し、処理証明を取得することが求められます。
⑤解体工事の再開
適切な処理・撤去作業が完了した後、最終的に安全を確認し、解体工事を再開する流れとなります。
埋設物への対応は、適切な記録と報告が不可欠です。これにより、後のトラブルを防ぐだけでなく、法的な問題を回避し、安全な解体工事を実現することができます。

最後に
解体工事中に発見される埋設物は多岐にわたり、その対応には慎重な判断と法令遵守が求められます。事前調査をしっかり行い、万が一埋設物が発見された場合には、速やかに対応をとることが重要です。埋設物の撤去を含め、解体工事をスムーズに進めるためにもコミュニケーションを取りやすく、サポートが万全な業者を見つけることが大事といえます。
株式会社エコ・テックの解体工事について
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